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グリーンにコインのような禿頭(はげあたま)を見かけるのは日本だけだ。ゴルフ場の責任者はフェアウェイの保護を訴え砂袋を用意する。同時にグリーン上のボールマークを修復するためのフォークも用意している。しかしゴルフ場の責任者自身がそのフォークの使い方を知っているとは思えない。

禿頭の原因はまじめにグリーンの修復を心がけるゴルファーである。そこが問題だ。どこのゴルフクラブでもグリーンの保護には気をつかっているし、ゴルファーにお願いもしている。しかしどうやってボールマークを直せばいいのか、その手順は全く明らかにされていない。

グリーンにボールが落ちると芝を押し上げる。芝が隆起するとへこんだ部分に土が見える。これを元通りにするにはどうするか。まず最初に、ボールが飛び込んだ方向の逆側、つまりグリーンの奥の側からフォークを入れる。これが大原則だ。禿頭を作るゴルファーはそれを知らない。

逆側からフォークを入れて盛り上がった芝を押し戻す。土を掘り起こしたり持ち上げるのではない。差し込んだフォークをぐっと傾け、盛り上がった芝の上に倒し込む。芝は押し戻されてへこんだ穴に戻っていく。つまりすべてを元に戻すように、芝に与えられた打撃と同じ力を逆方向に掛ける。禿頭にはならない。

それで大抵は元に戻るが、それでも間に合わないときは穴の左右にフォークを入れ穴方向へ倒す。そうやって芝を引っ張って土が見える分を覆い隠すようする。芝を引っ張っても穴が隠れそうにないと思ったときは、まず穴の回り2センチ程度離れたところへフォークを入れてねじる。

ねじると芝は広がる。穴の回りをぐるっと一回りそうやって芝を広げると穴は周りの芝に押されて小さくなる。ここぞとばかり芝を引っ張って穴を隠せばほとんどのボールマークは消え、全く跡(あと)のない美しいグリーンに戻る。

私はその方法をオーストラリアで学んだ。イギリスでも同じだ。日本のゴルフ場の支配人で知っている人が何人いるか、それは実にあきれた話である。知っていてパンフレット一枚作ろうとしないのならもっとふざけた話だ。日本がゴルフの発展途上国なのは当たり前だ。それでは石川プロが世界に出ても絶対に勝てない。

一人のゴルファーが作れるボールマークは多くて一つだ。私のようにセカンドがグリーンに乗らずカラーから転がす場合はマークは出来ない。それでもグリーンに上がったら目に付くボールマークを修復する。ゴルファー一人が二個のマークを修復すればグリーンは常に非常に美しいままでいられる。筆者

要はグリーンの表面に土を出さないことだ。引っ張った芝がやや隙間だらけだったとしても、それは水を撒いたらすぐ密集する。しかし土の上に芝は生えない。とにかく土を覆い隠す。それでいい。

補2

キャディのいないゴルフ場が増えて、日本のゴルフは健全化してきている。ただ、キャディがいるとボールマークを修復する方法を覚えられない。キャディのいるゴルフ場でプレーしてきたゴルファーが上手になって、キャディのいないゴルフ場でプレーする。それで多くのゴルフ場が穴だらけのグリーンになってしまう。

ボールマークが作れるということは、遠くから打ってグリーンをヒットできるということだから、そういうゴルファーがボールマークの修復をしないと、とても困る。素人はセカンドでグリーンにオンせず、グリーン周りから転がすのでボールマークは作らない。

かなり上手な、年季の入ったゴルファー4人のパーティの後ろを回ったことがある。グリーンは見事に穴だらけだった。それを全部修復しながらラウンドした。名門コースでは、たとえキャディがいても、ボールマークは自分で直すようなエチケットが浸透している。

グリーンに穴が出来ると、それを平らにしようと思うのは人情だが、それがいけない。芝生の歴史が浅い日本では、たとえグリーンキーパーでも、ゴルフ部の学生でも、芝を知らない。

何千年という芝との暮らしの中で、イギリス人は芝の性質を肌で感じた。それは本を読んで理解したものとは段違いの知識なのだ。穴を平らにしようと思えば、へこんだ部分を掘り起こさねばならない。そんな必要はないのだ。芝の成長力は竹よりも大きい。

私が説明した通りに、芝を引っ張ってきて穴を完全に隠せばいい。散水すると泥が流れ出して穴を埋めてくれる。その上にあなたが引っ張ってきた芝が根を張る。あっという間の出来事なのだ。

中の空洞は一晩でなくなると思ってかまわない。私はゴルフ場で最後に回ることが多い。後ろの組はいないが、その代わりにワラビーの群が私のあとをじっと見つめながら、決まった距離を置いてついてくる。

グリーンの修復をするスターフ達だ。当然散水は行われる。だから、翌日の朝には美しいグリーンがよみがえる。とにかく、土を芝生で覆い隠せばいい。穴という空洞は気にしなくていい。これは日本人の感覚では理解できないことだが、芝生の力を知っている人々にとって、当たり前のことだ。

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