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「横振りの話」はすでに書いた。同じことを別の言葉で書く。

横振りのイメージは大相撲の最後にやる弓取り式で、弓を使って土俵を掃く仕草に似ている。ドライヴァーヘッドがアイロンで、地面にアイロンをかけると思ってもいい。あるいは地雷探知機とか、砂浜で金目のものを拾っている人が使う金属探知器を想像する。

私がドライヴァーでティーショットを打つとき、実際にはヘッドは地面から離れるけれども、あくまでアイロンがけなのでソールは極力地面に向けている。ゴルフクラブを柄の長い大きな柄杓(ひしゃく)に持ち替え、ひしゃくに水を入れる。横振りだとスイングしても水はこぼれない。イメージだけだが。

アップライトではどうなるか、考えられないほど複雑だが、柄杓(ひしゃく)は逆さまになって水は全部こぼれる。アップライトに振るということは横振りの角度が急になっていって縦に見えるのとは本質的に違う。その話は「アップライトとフラット」で済んでいる。

アップライトは一度クラブを右肩に背負(しょっ)て、野球のバッターがバッターボックスで構えているような格好になることだが、フラットはボールを打つ構えをした人形を机の上でぐるっと回すのと同じで昔の野球盤みたいになる。アップライトでは手首が折れる。それも逆さまに折れるので、元に戻すのが難しくなる。

(逆さまと言うのは妙だが、最近の野球放送を見ているとカメラは投手方向からバッターを見るようになっている。昔はバックネット側からの映像だった。バックネットの席は指定席でも一番高い。バックスクリーンは外野だから一番安い。そこで昔は一番高級な席から見るような画面にしていた。)

投手から見ると、右バッターの場合、ボールを打つときはバットのヘッドが画面の左側にありグリップエンドは右にある。が、構えたときにはグリップエンドが左でバットの先は右になる。

つまり打つときと構える時とで180度変わる。バットがぐるっと回るのだから当たり前だが、それが不思議で仕方ない。私の頭が不思議なのだろう。

バットはどこでも円筒形だから方向はないと思ったら大間違いで、プロは必ずバットの同じ場所でボールを打つ。つまりブンブン振り回しているように見えてもクラブ同様に面でボールを捕らえている。したがって上手になればゴルフもバッティングも変わりないのだが、上手になるのは大変だ。

横振りは面の方向を変えない。といってもビリヤードのキューのような突き押しは出来ないから面の方向が変わらないという言い方は正確でない。山手線の電車は1時間ちょっとで一回りするが、電車の運転手はいつも真っ直ぐ前を見ている。運転席のフロントガラスがクラブフェイスである。

ガラスが新幹線のような傾きを持っていればウェッジのフェイスだ。線路上のどこにボールが落ちていてもきちんと打てる。ところがアップライトではそうはいかない。クラブフェイスはバリ島の踊り子の手の平のように向きを変えながら上がっていくのだ。

これを元に戻すのは簡単でないと私は思っている。だから出来るだけアイロンがけのような横振りで済ませたい。アドレス人形の地面を回すだけなら、人形の形は変わらないからインパクトの形も永久に変わらない。

ある意味で、横振りはウェッジのような短いクラブほど可能で、つまり振り方を外から見てもそれが横振りかどうか素人にはわからない。横に振っているから横振りとは限らないのだ。「アップライトとフラット」に詳しい。

ただしフラットスイングはマシンになれない。なぜか知らないが、マシン化しようとすると、ややこしいはずのアップライトスイングの方がむしろ簡単で、それはとても不思議なことだ。

もう一言付け加えると、横振りは左手スクエアグリップではイメージしにくい。左手はハンバーガーグリップでないとうまくない。右手はスクエアでもウィークグリップでもホックグリップでもかまわない。

ちょうど左手の平を下に向けて机の上に雑巾がけをする要領で、したがって手の平は常に机の面に密着して動く。手の甲が上に向いて動く。

実際にグリップしてしまうと手の甲の向きは見にくくなるから、始めはクラブを握らずにただ左手の甲を上に向けたままスイング平面上で動かし、バックスイングしてトップまで行く。そうすればイメージが出てくる。

これをスクエアでやるととてもおかしな現象を見ることが出来る。左手をスクエアに、つまり手刀というか空手チョップの形にしてアドレスした場合、手の甲の面は地面に対して垂直である。

正確に言えばストロンググリップでも、クラブシャフトを中指と人差し指の間に通さなければイメージ通りのバックスイングは出来ないのだが、少々の歪みを許せばイメージは出る。

ストロンググリップのいいところは、左腕を伸ばし手の甲を上に向けたまま、どこまでバックスイングしても手の甲の向きが変わらない、いつでもずっと同じ方向に向いていることだ。イメージだけだが。

これは手の甲に鏡を付けるとわかる。アドレスの位置で反射させた太陽光が壁などのどこかに当たっているとき、バックスイングを始めてもそのスポットの位置は変わらない。トップまで行っても同じところを照らすことが出来る。

スクエアグリップではそういう現象は起こせない。つまり安定して変わらない場所がないのだ。スクエアグリップは本質的にねじれる。スクエアグリップを使うということはねじれを使ってスイングすることを意味する。

無論どういうスイングにもねじれは起こるが、それが最小なのがストロンググリップで、最大なのがスクエアグリップだ。私はどこかで、「ストロンググリップは強くて飛ぶという意味ではなく、しっかり握れるという意味だ」と書いている。その代わりに動きが小さくなるからボールは飛ばない、とも書いたと思う。

野球のバットを肩に担いで構えたところからボールを打つまで約180度回転すると、バットの自転はどうなるか、それはクリケットバットを振るとわかる。私はゴルフクラブを握るのに飽きるとクリケットのバットを握る。それで不思議な妄想を見るのだろう。筆者

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