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猫にマタタビじゃないけれど、私は子供の頃から左肩のうしろ側、左脇のちょっと背中側をくすぐられると妙に気持ちがいい。そこは不思議なポイントで、筋肉がピクピクするのだ。

 
ダウンスイングを始めるとき、普通に始めれば腰の回転で打つ普通のスイングが出来るが、そういうやり方ではなく、今紹介した場所の、小さな面積に全神経を集中させ、そこの力だけでボールを打とうとすると、普段と違ったスイングが生まれる。

このスイングは普通よりも一瞬ダウンスイングが早く始まる。勝手に始まるからいつものスイングに比べて、あらっという感じになって、一人時間差みたいなことが起こる。足腰を使う間がなく、これでいいのだろうかと不安になるが、スイングは案外速い。この手のスイングは体がブレないし、実に滑らかで、普通のパワフルな感じのスイングとは趣が異なる。

こういう妙なタイミングのスイングは時々見かけるが、大抵滑らかで体のブレが少ない。世界のプロゴルファーを見ていると、どこに力を入れているのか全く分からない不思議なスイングに出会うことがあるが、この一見骨抜き風に見えるスイングもそういうスイングの一つだ。

アマチュアには滅多に見られないし、プロにも決して多くはないが、たとえばヨーロッパツアーにルーク・ドナルドというゴルファーがいて、彼のスイングはパワーで打つスイングに比べてやはり一瞬ダウンスイングのタイミングが早いから、左の背中で打っているだろう。ティム・ペトロヴィックなんかも感じが似ていて、骨抜きだ。

この骨抜きスイングが、たぶん弓型スイングの典型ではないかと考えられる。金井清一プロのスイングは、体が前に突っ込まないよう踏ん張っているように見えるが、別の見方をするとやはり弓型である。

わかっていただけないかも知れないが、この手のスイングはパワフルなプロの世界でやっていくには非常に勇気のいるスイングで、スランプに落ちれば不安がつきまとっただろう。これを変えずに続けた金井プロは賢(かしこ)い。

このスイングは少ない練習量で安定したショットを約束するので、本来アマチュアのすべきスイングだが、出来るまで、気付くまでが大変なスイングでもある。自転車は乗ってしまえばずーっと便利だが、乗れるまでに子供はずいぶん大変だ。

それでも子供はがんばるが、大人になって似たような事情に出会うと、大人はがんばらない。がんばる代わりに、走ればいいじゃないかと負け惜しみを言って、自転車を追いかけて走る。だから大人にはこのスイングはなかなか見つけられないだろう。

足腰を全く使わないスイングはないが、使わないように見えるスイングはある。日本のプロ野球投手のモーションは下半身を十分に使って実に美しい。それに引きかえ大リーグの投手は上半身だけのパワーで投げているように見える。

弓型スイングを自分のスイングとして発見するために、足腰を使わず、バックスイングで張りが出てくる左脇の後ろの、あの筋肉だけで振ってみることを勧める。

左の胸にも筋肉があるが、そこの力を絶対に使わないよう気をつけながら、さらに決して左膝を動かしてはいけない。それは後から自然に付いてくるのを待つ。うまくいけば、あらっという一人時間差を感じるだろう。それが弓型のスタートラインだ。

これを説明するのにJ.Cスニードと言ったって古すぎて駄目だろうが、弓は止まるのに弓型スイングは止まらない。皮肉だ。弓型スイングの特徴はトップオブスイングで止まらないことである。止まらないのに間(ま)がある。

さあこれからダウンスイングに入るぞ、という時の、ぐっと力の入る瞬間が、無い。ルーク・ドナルドのスイングがちょっと物足りない感じになるのはそのためだが、それが弓型の極意でもある。

私はサム・スニードよりJ.C.スニードのスイングが好きだったが、もっと古くはやはりブルース・クランプトンにとどめを刺す。映像が残っていなければ、彼のコピーとしてデイヴィッド・グラハムでも同じだが、彼等のスイングの美しさは弓型からやってくる。ただし余りに無駄をそぎ落としてあるのでピカソの絵のようになっていて、わかりにくい。

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