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何を馬鹿なことを、それは飛距離を調節するために決まっているとゴルファーは言うだろう。確かにドライバーは長くてウェッジは短い。これを逆にしたら困ると思うのは自然だ。しかし、以前シャフトの長さを全部3番アイアンと同じにして調べたが、それで飛距離について何が起こったかというと、実は何も起こらなかった。

6番アイアンのシャフトを3番の長さに変えると、飛距離が3番に、ならない。そこまでならばロフトが違うからだと納得する。しかし、飛距離もほぼ6番のままわずかに伸びる程度だ。ちなみに3番アイアンのシャフトを短くしても、飛距離はほとんど落ちない。

違ったのは弾道の高さだった。6番が8番の弾道になり、高く舞い上がる。従ってキャリーは伸びるがランがない。結局飛距離は6番のままだ。現用のアイアンセットは標準より5センチほど長いが、飛距離は普通のゴルファーと変わらないか、やや落ちる。ただし弾道は高い。

短いクラブほどボールをつぶして打ち込みやすいから、シャフトが長くなった分、同じ番手でも打ち込み方が浅くなったのかも知れない。たぶん誰がやってもウェッジに長いシャフトを付ければ弾道は高くなる。

長いシャフトは飛距離を伸ばすと思うのは間違いではないが、それより弾道が高くなる不思議さに圧倒される。ボールの飛距離はシャフトの長さよりロフトの影響の方が大きい感じがした。キャリーだけ見れば3番アイアンも4番も変わらない。しかし力学的にはあり得ない話だ。

アイアンをシャットに構えればボールは低く出て距離は伸びる。それなら長尺のドライバーがなぜ飛ぶのかというと、それはゴルファーのエンジンが低速高トルクだからである。長尺のドライバーはオーバードライヴのギアと同じだ。

だから長尺に変えても飛距離の伸びなかったゴルファーのパワーはすでに飽和しているわけで、もっとギア比を下げた方がいい。逆にパワーはあるがヘッドスピードの上がらないゴルファーは、例えて言えば高速道路をローギアで走る車と同じだからシャフトを長くするともっと飛ぶ。

ローギアではブンブンとパワフルな音はさせてもスピードは出ない。そういうときはトップギアを使う。長いシャフトのドライバーにはトップギアという意味がある。逆にパワーがないのに長いクラブを使うのは、山道をトップギアで走ろうとするようなもので、スピードは出ないし、すぐエンストするだろう。腰痛を起こすかもしれない。

非力な女性ゴルファーの多くは、どのクラブでも同じ距離しか飛ばないという面白い現象を見せてくれる。軽自動車で関越道のスキー場を越えた辺りを新潟に向かって走ると、似たような経験をする。

かすかな登り坂をトップギアで走っていると、スピードは落ちないが加速もできない。そこでギアを一つ落としてガーッとやっても、同じ速度までしか出ない。そこがエンジンパワーの限界点なのだ。

エンジンを変えずに軽自動車のパフォーマンスを改善するには車体を軽くするのが一番早い。つまり非力な女性には長いクラブよりももっと軽いクラブが必要なのだ。そうすればクラブごとに飛距離は変わってくる。それでいままでより飛ぶかどうかはわからない。それはまた別の話で、ニュートンと相談しなければならない。

自動車のカタログで動力性能というグラフを見ると、パワーという項目とトルクという項目があって、最大パワーと最大トルクは同じ回転数のところで一致してくれない。車を設計する人は大変だろうな、と思うが、ゴルファーだって似たようなところでもめているのだ。

男性に比べてはるかに筋力がない女性のレイトビギナーが、ゴルフ場にフルセットを持ち込む姿ほど笑えるものはないが、彼女達が長さの違うクラブを使って上手にボールを打つのはほとんど不可能と思われる。長さの違いに慣れるだけで数年は要するだろう。

クラブの長さは自分のスイングに最適なところがある。その長さはスイングのスタイルで決まる唯一無二の長さである。それ以外の長さのクラブは「止むを得ず」使っている。得意なクラブが出来るのはそのせいだ。

クラブの長さがなぜ違うか。確かに43インチのドライバーより45インチの方が物理的に飛距離が出る。私は昔50インチのドライヴァーを作って打っていたことさえある。実は現用のドライヴァーは52インチを越えていて、スキー板を運ぶような心地がする。

同じスイングが出来る限り、長い方がスピードが出るのは当然だが、ゴルファーは通常その能力の限界で打っているから、長くした分スピードが落ちる限界点がある。物理的というより生理的な世界だ。従ってクラブの長さを変える理由の本質は距離ではない。距離であってはならないとも言える。

これは一種の逆説であるが、同じエンジンを使いながらギアを変えることで速度を変えるのと同様に、シャフトの長さを変えて飛距離を変えることは確かに出来る。クラブの長さがなぜ違うのか、という質問にこの手を使うことは自然だし間違っていない。

しかし実験の結果は、それをゴルファーが信じているほどには肯定していない。実験が主張するのは弾道の高さであって、飛距離ではなかった。だからロフトの立っているクラブほど上がりにくいので、それを上がりやすくするためにシャフトが長くなっていくのだ、と考える方が存外妥当ではないか。

シャフトは長ければ長いほど相対的に柔らかくなる。そのしなりはパワーを蓄積する。硬いシャフトは高いコントロール性を持っているが飛距離が落ちるのは知られた事実だ。徐々にしか出せないパワーを、しなりが蓄積してくれる。柔らかなシャフトを振ると軽く感じるのはその所為だ。

結局は長いシャフトによってヘッドのスピードが上がるのだが、同じ長さでも柔らかさを変えれば飛距離が変わるという予想が成り立つわけで、従ってシャフトの長さが距離を変えるのか、それとも長くなれば相対的に柔らかくなるシャフトが飛距離を稼ぐのか、どちらかということになる。案外自明でもないシャフトの長さと飛距離の話。

気楽にゴルフを楽しむだけならば、クラブの長さを一つに統一したセットを使う方が断然いいと思う。それならたった一つのスイングですべて間に合うから非常に楽だ。それで不足が出るレヴェルのゴルファーはゴルフ場に数パーセントもいない。

実際普通の月1ゴルファーはハーフセットでも持て余すのだが、生意気にフルセット持ってラウンドしている。そんなアホをするより、オーダーメイドで長さを統一したアイアンセットの方がカッコイイし、明らかにスコアはよくなるのだが、どうだろう。

オーダーできないのなら、たとえば8番アイアンの長さを基準にするとして、それより長いクラブのグリップ部分に印を付ける。8番の長さのところへ縫い糸を巻くとか輪ゴムを付けておく。

クラブを握るときは常にその印のところで握る。そうすれば8番から先、というか手前のクラブは皆同じ長さになるし、長くなるほどバランスも軽くなるので一石二鳥だ。

その上クラブのライ角は必要以上に立っているのが普通だから、短く持つと相対的にライ角が合ってくるので一石三鳥になる。冗談ではない。私は小さいときから冗談を言わないことで知られている。私の言動は冗談抜きでも十分笑えるらしい。

100そこそこのゴルファーならば、是非ワンラウンドだけこの方法でプレーし、何が起こるか調査して欲しい。筆者

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