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練習場で打つボールの数より、ラウンドで打つボールの数の方が多い世界では、ゴルフが自然だ。ボール1個が600円で、グリーンフィーが1ラウンド600円の世界では、ゴルフが昔の野っぱらの草野球のように極めて自然なスポーツでいられる。

ティーグラウンドではボールを無くさないように心がける。そりゃそうだ。600円÷18ホールで1ホール当たりが30円なのだから、600円のボールを池に入れるのは損だろう。

たった30円のホールを攻略するために危険を冒す気にはならない。100円のロストボールでさえ、せめて4ホールは無くさないで使いたいと思うのが人情だ。日本のゴルフ場で、1個が1万8000円のボールを使ってプレーするのを想像していただければすぐわかる話だ。

それでも万が一ボールが池に飛び込んでしまったら、探す。ずーっと探す。私たちは釣り竿の先にニンニククラッシャーみたいなのが付いたボールすくいを持っている。それ以前は台所の流しのドレイン穴に付いているゴミ取りのような、らせんに巻いた針金ですくい上げていたが、それに比べるとかなり高性能になった。

それで駄目なときは泳ぐ。冗談ではない。600円のニューボールの方が、ワンホールのプレーより大事だ。キャディバッグに足ひれとシュノーケルを引っかけている奴がいても誰も不思議がらない世界なのだ。この世界にはゴルフ練習場という概念がない。280円でハーフラウンド遊べるのに、何で練習場で1個15円の練習球を打つ奴がいるか。

どんな田舎町にも最低9ホールのゴルフ場はあるだろう。アップルビーもノーマンも、あるいはカーリー・ウェブも練習場でゴルフを覚えたはずがない。アップルビーはメルバンの奥地、ミルデュラの方らしいからブッシュの中だ。ウェブに至ってはどこから来たのか誰も知らない。練習場などあるはずがないところから、すごいのが沢山出てくる。

養鶏場の鶏と野生の鶏くらい違うだろう。味も値段も段違いなのは当たり前だ。こういう世界ではボールは初め転がすもので、飛ばすものでない。1ラウンド何万円でプレーする訳じゃないから、1打1打にこれ一回で300円分だと、目をつり上げてまで真剣になる必要はない。つまり前進することだけで十分満足できる。この感覚が大事だ。

練習場でゴルフを覚えるとこうは行かない。高く美しく遠くへ飛ばなければゴルフじゃないと、本気で信じるようになる。ゴロの方がよっぽど安全な場合も多いのに、それには気づかない。クラブも初めは数本で済ませるのが自然だ。キャディバッグはルール上必ず持たねばならないが、普通のバッグは大き過ぎて重いから意味がない。

この世界には不思議なキャディバッグがある。猫が食べた後の魚は、きれいに骨だけになっているが、ハマチとブリの間くらいの大きさを想像して、その尻尾をつかんでステッキ代わりにする。尾ひれはT字型でちょうど握りやすい。口先はとがっているから、それを地面に突き刺す。

そうすると八木アンテナを縦にしたように骨が水平に沢山並ぶが、実はこの骨は雨どいのような形をしていて、クラブシャフトが乗っかる。無論シャフトを押し込むと固定される仕掛けだ。このキャディバッグは逆さにして頭を上にすると骨が閉じて一本の棒状になる。妙なものと思うだろうが、軽さでこれにかなうキャディバッグはない。

初心者はカートまで戻らなくて済むから非常に便利だし、上級者もセカンド地点へ向かうとき、その先に使う可能性のあるクラブは結構な種類だ。面倒だからと持ち合わせのクラブで済ませて失敗するゴルファーは後を絶たないが、カートに乗せるキャディバッグとは別にこのバッグを持っていれば、カートへ走る馬鹿馬鹿しさから解放されるだろう。

2010.11
最近これに似たものを持っているゴルファーをゴルフ場で見かけた。この話は20年以上前の話だから、20年たってようやく日本に登場したということだ。

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