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スチールがカーボンに変わってアイアンに進歩が訪れたと思ったら、ゴルファーはさっさとまたスチールに戻ってしまった。しかも大枚はたいてやっと手にしたカーボンはお蔵入りで、古いスチールのセットが蔵から出てきたわけではない。ゴルファーはまた新しいスチールのセットを買ったのだ。

儲けたのはクラブ屋ばかり。ただしそのあぶく銭があってこそ飛ぶドライヴァーを開発できたわけで、文句も言えない。その高反発ドライヴァーが公式ゲームで使用禁止になってしまった。ゴルファーの欲とクラブ屋の企業戦略と、全てがグルになって、結局天罰が下った。カーボンアイアンのたたりかも知れない。

今ではカーボンシャフトはレディースと初心者用のアイアンに格下げされてしまったが、ドライバーには使われている。軽くて飛距離が出せるからだが、それがアイアンに向かない理由はない。一般ゴルファーがプロのまねをしたがるのは人情だし、私にしてからがプロモデルという名前のアイアンばかり使っているのだが、セスナの免許でF84戦闘機に乗るのは無謀だとわかって使っている。

まだカーボンシャフトが出始めの頃、それは鉄にカーボンを被せたようなコンポジットだったが、程なく現在と同じカーボンが出来た。スチールシャフトでバランスD-1のアイアンをカーボンに換えると、長いクラブはバランスが10ポイント落ちた。3番アイアンはC-0になったが、8番アイアンはさほど変わらなかった。

シャフトをカーボンに換えると全体が軽くなる。それはいいことなのだが、ついでになぜかバランスも軽くなってしまう。ヘッドの重さは変わらないのだからバランスは重くなると思うのだが、ならなかった。それで元のクラブと同じ振り味で使いたいゴルファーからクレームが出る。そこでヘッドを重くしてバランス計を煙に巻いた。

そうすると木槌が金槌になったようなもので、同じ振り味なのに前より良く飛ぶと、ゴルファーは初めのうち喜んだ。ところがヘッドが効いているわけだからコントロールが難しい。こうしてカーボンアイアンはあえなくぽしゃってしまった。こういう事情を知らない下手くそなゴルファーが、カーボンアイアンは駄目だというデマを飛ばした。

プロはカーボンアイアンの良さを知っている。しかし長年培ってきた財産を使う方を取った。あと千年プロゴルファーでやっていくという状況なら、先が長いからプロはカーボンを選択するだろう。大した財産のない下手くそが、カーボンアイアンの長所を利用しなかったのは、盲目的に保守的だからだ。

ドライヴァーは別の道を歩いた。カーボンに換えて軽くなったから振りやすい。もちろんバランスも軽くなった。そのときドライヴァーはヘッドを重くする代わりにシャフトを長くしてバランス計に対処した。これなら元と同じバランスのドライヴァーになるわけだが、シャフトが長くなって飛ぶ。こうしてカーボンはドライヴァーのシャフトとして生き残った。

私のプロモデルアイアンはドライヴァーと同じ道を選んだ。シャフトをカーボンに差し替えたとき、元のヘッドをそのまま使うためには重りを付けるかシャフトの長さを変えるかどちらかだ。

シャフトは単体で購入するときは定尺だから、クラブの番手に合わせて切らなければならない。貧乏人の私には高価なカーボンを切って捨てることがつらかった。そこで迷わずシャフトの長さを長くしてバランスを合わせるドライヴァー方式を選んだ。こうすればカーボンを捨てる部分が少なくなる。

私の7番アイアンは普通のゴルファーの3番アイアン位の長さだ。シャフトが長くなることの不自由よりも貧乏性が勝ったわけだが、意外にシャフトの長さは気にならない。背が高いわけではない。背が低ければそれだけ長いシャフトを使う方が「自然」だと思っている。

軽いシャフトは便利だし錆びないから将来的にはアイアンも再びカーボンになると思うが、スチールも相当軽くなって来て、今頃の軽量スチールは案外カーボンと変わらない軽さを実現しているから、カーボンが研究を怠ればスチールに負けることもあり得る。

スチールがいいと言って喜んでいるゴルファーは、新しいスチールシャフトのクラブが実は前に買ったカーボンアイアンとほとんど変わらないということに気付かない。昔使ったスチールシャフトのアイアンを持ち出してきたら、重たくて打てない。

カーボンシャフトの厚みを増して剛性を高めれば、幾らか重たくなって今のスチールと同じ振り味になる。錆びない分カーボンがいい。ミズノのエクサーというシャフトはとても硬い。スチールのS-400から差し替えてもこちらの方が硬そうに見える。

カーボンシャフトが生まれたとき、なぜドライヴァーではシャフトを長くしてバランスを調整したのに、アイアンではヘッドを重くして対応したのか、それはわからないが、結果としてクラブは倍売れた。二重に売れたと言った方がいい。偶然か知恵か、それはわからない。

これでドライヴァーもスチールに戻るように計画出来ていたらハットトリックだったが、いくらゴルファーが保守的だといっても、気分だけでは生きていけない。スチールアイアンへの回帰は、下手くその言い訳に過ぎない。カーボンアイアンに変えて本当にスコアを悪くしたのはプロゴルファーだけだ。

普通のゴルファーがカーボンアイアンでスコアを良くすることはあっても悪くすることはない。違いのわかるゴルファーがいるにしても、それでスコアを悪くするほど上手はいない。あると思うのは錯覚であり、統計を取ればすぐにわかる。

そればかりではない。軽いクラブは18ホールのプレーを考えたとき、疲れの影響がショットに出にくい。打ち間違いの本質は道具の重量にあるから、疲れたときにその重さが効いてくるが、カーボンは明らかに有利だ。

シャフトが長くなることへの不安が杞憂であることをゴルファーに理解させられるならば、アイアンもカーボンを使って少し長めにする方がいいのだが、鉄は何しろ地球の基本物質で、しぶとい奴だから先のことは分からない。筆者

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