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80そこそこで回るゴルファーが、80を切ってみたいと思う。90そこそこの人が、90を切りたいと願う。それはあるいはすでに達成されただろう。しかしその時どう勝負に出たのか、覚えている人はいないと思うし、記憶のある人も、大抵間違って記憶する。

ゴルフのスコアは力通りに出る。悪いスコアもいいスコアも、平均すれば実力通りで、多くのラウンドで出る普通のスコアが平均スコアであり、実力である。ゴルフの不思議さは、たとえワンラウンドでもハーフでも、プロのように4ラウンドでも、始めに決めた数のホールを回ったときに、実力通りの結果が出ることだ。

前半のハーフが悪くても、後半でいいスコアを出して結局いつも通りのスコアに収まる。別段後半に気合いを入れたわけでも何でもないのに、そうなることが多い。逆に前半いいスコアだと、後半スコアを悪くして、結果はいつも通り。

ベストスコアが出るのはどういう時かというと、つまらないラウンドだったときだ。スコアをほめてもらってうれしいというより、何だかさめた感じになっている場合が多い。私はベストスコアの出し方を知っている。

実力通りの平均スコアに対して、たとえば5ストロークいいスコアが出たとき、それがベストスコアだとして、それ以上のスコアは、実力がアップしないと出ない。しかし、まだ平均より5ストロークいいスコアを出していないゴルファーならば、現状の実力のまま、ベストスコアは、出る。

どうするかというと、勝負に出ない。前半良かった場合、後半に夢を見ないで、ドライヴァーが曲がりやすい人は、後半、ドライヴァーを持たない。普通はドライヴァーを持っていつもより飛ばそうとする。それがもしもうまく行けば、セカンドが楽になって夢がふくらむ、ような気がする。これが勝負に出ることだ、と思っている。それは逆だ。

繰り返して言うが、ゴルフは実力以上のものは出ない。そんなことは絶対に起こらないと信じることが肝心だ。実力以上は出ないが、実力通りが続けて出る可能性は、ある。

ゴルフで勝負に出るというのは、ドライヴァーをスプーンに持ち替え、8番アイアンを5番アイアンに持ち替えることだ。ここが普通の、いわゆる勝負と違う。100メートル飛ばす勝負に、絶対100メートル飛ばない道具で勝負することはあり得ない。私たちは一般にそういう勝負に慣れているから、勝負に出る、ということを勘違いする。

ドライヴァーで、普段滅多に出ないすごい当たりを出そうとするのが大勝負ではない。スプーンで、正確に打ったショットが方向も正確なら距離もいつもより出ている、というショットをしようとする方がよっぽど大勝負だ。

次の5番アイアンで、いつもの8番アイアンよりピンに近いショットを打とうとすれば、そりゃもっと大勝負だろう。可能性が、より小さな方へ挑戦するほど大勝負なのだ。しかしそれは気分的な意味での可能性である。そこが問題だ。

今までのベストスコアが、あまり印象に残らないラウンドで出ているのは、その時大勝負に出ていたからに他ならない。釈迦力になってドライヴァーを振り回すような「勝負に出る」出方でベストスコアは出ていないだろう。だから、印象の薄いラウンドにベストスコアが生まれているのだ。

ゴルフで勝負に出るというのは、パー5で滅多に出来ないツーオンを狙うことではなく、逆に、そこでスプーンを持ち出すことである。これぞゴルフにおける、本当の大勝負である。

実際、パー5をツーオンしてバーディーを取った経験よりも、第3打が転がってカップインしそうになって、それでバーディーを取ることの方が多い。イーグルだって、パー5のツーオンワンパットなどというプロのようなことが起きる確率よりも、第3打が木に当たって跳ね返り、そのままホールインする方が余程現実的だ。

プロにしたって勝負どころでドライヴァーを持ってうまく行くことは少ない。勝負だからこそ、奇跡的なスプーンのナイスショットを狙うべきなのだ。プロがドライヴァーをスプーンに持ち替えて失敗するのをよく見かけるが、あれはそれが勝負だと思わず、安全策だと思って打つからだ。

このように、ゴルフで勝負するというのは、後ろへ一歩下がる勇気を指す。それを勝負という。だから、いつかラウンド前半でとてもいいスコアが出たら、後半は一歩下がって闘志をうちに秘める事を薦める。

表向きの闘志は、ゴルフでは勝負と呼ばない。ゴルフというスポーツの不思議なおもしろさは、ここにその真相があるのだ。コンヴィニの店先を通っていた子供たちが「おまえ、ここで何かひとつ万引きする勇気があるか」という会話をしながら歩き去った。

法を犯すことを勇気とは言わない。悲しいことだが、法を守ることの方が苦しく危険なのがこの世の常である。したがって勇気というのは間違った法を直す戦いと、それでも法である間それを守ることを勇気という。

ベストスコアには勇気が必要だが、ゴルフにおける勇気とは、己を知ることである。自分を知ることが勇気だとは、実に悲しい話である。それほど私たちはアホなんだ。筆者

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