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おはじきが出来る人にしかわからない話だが、子供のころ不思議に思っていたことがある。おはじきは親指に人差し指を引っかけて、これはサッカーで言うところのトウキックだが、あるいは逆に親指を人差し指に引っかけて、これはインサイドキックと同じだが、そうやってねらいを定めて指に力を入れ、「ピーン」とはじく。

おはじきの出来ない小さな幼児は、この「ピーン」と、というところが出来ない。なぜ出来ないのか。またなぜそうやって何かに引っかけておくと劇的に速くなるのか。サッカーボールを蹴るのに足はただぶらぶらするだけであるが、人差し指を何にも引っかけることなくただ動かしてもスピードは出ない。

指は同じだから筋肉も同じだ。それなのになぜこんなに速度が違うのだろうか。似たようなことはつまずいて転ぶときの速度にもある。どんなにまねしても、わざと転んではあの恐ろしい速度は出ないような気がする。指の筋肉が同じなのに、なぜ指をどこかに引っかけた状態で力を入れ、その止めを外すとあのようなスピードになるのか。

おはじきの出来ない幼児におはじきを教えるときに起こる困難は、形はすぐ教えられるのに、「ピーン」という部分が説明できないことだ。引っかかりの部分をどうやって外しているのか、そのとき何をしているのか、何を考えているのか、おはじきが出来る人もそれを知らない。従って説明は出来ないのだ。

説明してすぐ出来る子供がいたら、それは説明のせいではない。そもそも「それ」を、「それ」が何かはわからないが、前から知っている子供なのであって、説明が良かったからではない。

もし説明して出来ない子供がいたら、もはやこの先に出来る説明はない。子供が「それ」を、「それ」が何かはわからないが、出来るようになるのを待つしかない。

私はスウェイ打法が出来る。こうやって打ってみようと思っただけで、思った通りに打てた。体がピョンとタイミング良くはねた。しかしなぜクラブがこんなに素早く動くのかはわからない。

私はただクラブを引いて、あるところで何となくひざを曲げるだけだ。ひざを曲げた次の瞬間、体はバネのように跳ね返りながら、しかもなぜかクラブが振り出されている。

いつひざを曲げるかも、いつクラブを振り出すのかも、バックスイングしているときには全くわからない。自分でもわからないのだ。バックスイングしていく途中で、ほとんど無意識に「この辺かな」と思うところでひざを曲げ始める、ただそれだけだ。後のことはわからない。

そもそも打とうと思ってひざを曲げてはいないのだ。ひざを曲げるとスイングが始まってしまう。おはじきも、指先に力を入れていった後、離したいところで、「ピーン」としたいところで、勝手にピーンとするばかりで、何をどうしているのか聞かれても説明できない。どうやったらスウェイ打法を人に知らせられるだろうか。筆者

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