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ロフトを調整する際に一番確かな方法は、レイザーポインタと定規を使うことだ。壁から2メートルほどの距離でアイアンヘッドを構え、フェイスに小さな鏡を張り付ける。壁の近く、床から3センチほどの高さから水平にレイザーポインタのビームを出して、アイアンに取り付けた鏡で反射させる。

そうすると壁にはポインタのスポットが映る。その高さを測る。たとえば私の3番アイアンだと高さは135センチになるが、135/200=0,675という風に高さを長さで割ってみる。関数電卓を使ってアークタンジェント0,675(タンジェントのマイナス1乗という奴だ)とやると34くらいになるが、これを2で割った値つまり17が、ロフトだ。

ロフトを調整するゴルファーはまれだが、このセッティングは普通のゴルファーにも非常に役に立つので説明しておく。何番アイアンでもかまわないが、このようにセッティングされた仕掛けを使って、自分でアドレスをとってみる。フェイスの向きをレイザーポインタが置かれた方向にしっかりと合わせる。

アドレスが正しければ、ポインタのビームはポインタの上方の壁のどこかに映るはずだが、そんなにうまいゴルファーは滅多に存在しない、と思う。ほとんどのゴルファーのビームは目標よりも左を向くだろう。そんなアドレスで真っ直ぐボールを飛ばしている。それで困らないか。いいや、それが気にならないからこそゴルファーなのだ、が。

実際の話はもう少しややこしい。先ほど私の3番はロフトが17度だと言ったが、それはアイアンを正規の状態にセットした場合のロフトで、実際に本当にボールを打つつもりでアドレスをすると、ビームの高さは55センチになり、計算するとロフトは7.5度しかない。これをダイナミックロフトと呼び、正規にセットした場合のロフトをスタティックロフトと呼ぶ。

ゴルフクラブの公称値としてカタログなどに書かれているライ角やロフトは全て、アイアンのブレードをピタリと床に貼り付け、グリップエンドが床から最も高い位置になるようにシャフトをセットした場合の値だ。しかし実際のアドレスではハンドファーストに構えるので、ロフトは小さくなる。

それどころか、ドライヴァーなどは刻印されている公称値のロフトと実際がメーカーによってかなり違っている。ゴルフクラブは遊びのためのおもちゃだから、JIS規格など無いのだろう。そうするとアホが喜ぶように測る。ロフト7度のドライヴァーを使えるのがエラいかどうか知らないが、アホを喜ばせて売るために、そういう測り方をしたクラブが少なくない。

ミズノのドライヴァーが一番辛くて、10度くらいかな、と思うのが12度と書いてある。逆に13度はありそうなドライヴァーに7度と書いてあるのも珍しくない。測り方に規定がないからウソとは言わないが、それほどゴルファーがアホだということが印されていると思え。ミズノが正しいとは言わないが、少なくともまじめだ。

つま先の上がった不当な状態のアイアンを使っているゴルファーがハンドファーストに構えると、ロフトが立ってくるだけでなく、フェイスが右に回転する。これは幾何学でなくて人間物理学の作用だ。ライ角は変わらないが、シャフトが短くなったのと同じで、ライ角はピタリと収まってくる。

つまりハンドファーストにすることで、目標よりも左に向いていたレイザーポインタのスポットが、センターへ戻ってくる。この奇妙な歪みが、ゴルファーのかすかな良心を狂わすのだ。正確に合わせたと思っているたった2メートル先の方向が、どれだけ違っているか調べてみて、自分の癖をつかむといい。

注意すべきは、壁に映ったポインタのビーム位置を確かめるとき、クラブヘッドを動かさないことだ。スポットを見ようとして頭が動くとスポットは右へ動く。それでは左にあったスポットがセンターに戻ってきてしまう。これでは一人芝居だ。

ビームが目標より左を向いていることを確かめても、心配することはない。ただ、ボールが真っ直ぐに飛んでいることが、正確なアドレスのたまものではないということに気付くだけでいい。ゴルファーがそれだけ謙虚になれれば、ゴルフに関する馬鹿らしい話が幾らかでも減ってくるだろう。筆者

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