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シャンカーの私がとうとうダフッたことがある。ゴルフの神様は「シャンカーは決してダフらない」という定理をお創りになった。ぎんぎんのシャンカーである私は、どんなに調子のいい日でも後半のどこかで必ず一度はシャンクする。それはウェッジと8番アイアンで出ることが多い。ところがその日はパー3のティーショットで8番を持ったらダフッた。

半年ほどボールを打たずに相変わらずシャンクをとめる方策を練ってみた果てに、私のスイングは幾らか変化していたのだ。そしてもっと大きな変化がバンカーで起きた。あれだけうまかったバンカーが全てホームランとダフリに変わっていた。

私のバンカーショットは普通と違って砂を取らない。スローモーションのようなゆっくりとしたスイングでボールだけすくい取る、あまり見かけない方法でバンカーをこなしていた。それが出来なくなっていた。

シャンカーはトップはするがダフらない。そのトップも出なくなっていた。スイングの変化は、今思えばボールを以前より体に近づけたことに尽きる。シャンクを避けるならボールを遠くへ置くというのはド素人が考えることで、筋金入りになると逆療法を試みる。つまり私のスイングはアップライトになった。

そこで、身体に変化が生じてスイングに揺れが出たとき、フラットスイングのゴルファーはシャンクし、アップライトなゴルファーはダフる、という仮説が真実みを帯びてくる。

スイングは飽くまでクラブを引っ張るものなので、アップライトならインパクト後は上に伸び上がる。フラットでは後ろに引っ張ることになるが、こちらはあまり意識されない。いずれにせよ疲れてくれば引っ張る量が減る。そこでダフリやシャンクが出るのは理の当然だ。

私のバンカーショットが、ゴルフを始めて以来、それまで二、三度しか経験したことのないホームランになったのは、私のスイングがずっとフラットだったことを知らせている。今まで一度もアップライトに振ったことがなかったから、伸び上がることでヘッドの「高さ」が変わるという経験をしたことがなかったし、意識することもなかった。

スイングを横に振る限り、伸び上がり過ぎというイメージは左の後ろへ引っ張り込むことなので、ボールからヘッドが離れ、伸び足りなければシャンクになる。アップライトでは伸び上がれば当然トップになるが、伸び足りなければダフる。

私のバンカーショットは砂を薄く取るので砂の面に対する高さのズレは致命的だが、横振りなのでズレは上下には出ない。ズレが起きても、ネックぎりぎりかヘッドの先端かということになってボールは打てる。

逆にアップライトで打つゴルファーのズレはトップとダフリの両方に挟まれているから、たとえエクスプロージョンにしても、ズレが少しでも大きくなればアウトだ。練習もしないのになぜバンカーショットがうまかったのか、やっとワケが分かった。

フェイスの横幅いっぱいにズレが出ても、ミスは起きない。同じ幅のズレが縦に起きたらホームランかざっくりだ。従ってバンカーが苦手な人は、バンカーだけフラットに振ればいい。そもそもプロゴルファーがバンカーでフェイスを開けと言う理由は、実はロフトを大きくして高さを出したいからではない。

それはたぶん今まで誰も言わなかったし知らなかったことで、私もたった今気付いたのだが、私自身、以前からバンカーでフェイスを開きたい自分の気持ちに不思議さを感じていた。

バンカーのアゴはほとんど無いくらいに低く、しかもピンまでの距離は20ヤードもあるというのに、どうしてもフェイスを開きたい気持ちになる。開かないとうまく打てそうもない。

しかし開く意味は無いじゃないか、遠くのピンに対してこれ以上フェイスを開いたら、余程強く打たないと届かないし、第一こんな浅いバンカーでボールを高く上げる必要はない。何でわざわざそんなことをしたいのか、不思議だった。

そういう時にはサンドウェッジをやめてピッチングウェッジを持ち出すことさえ少なくなかった。ピッチングウェッジならフェイスを開かないと飛び過ぎる気がするから、フェイスを開く正当な理由はある。しかしなぜそこまでしてフェイスを開くのか。

それはフェイスを開けばクラブのライ角がフラットになるからだった。高い球を打つためにロフトを大きくしたかったのではなく、ライ角をフラットにして、スイングをフラットにしたいがためだ。これが真相だった。

無論クラブ自身のライ角を曲げるわけではないからクラブ自体のライ角は変わらない。しかしフェイスを開けばライ角がフラットになったのと同じ効果が生じ、スイングは自然とフラットになる。

ちょっと開いただけでもかなりライ角はフラットになる。安全にバンカーを脱出したいと思えば思うほどフェイスを開きたくなったのは、フラットに振ればヘッドの高さは急激に変化しないし、全体的にもアップライトに振るほどの大きな変化はない。つまりホームランもざっくりも無いということを、本能的に感じていたからだ。

アゴの低いフェアウェイバンカーに捕まったとき、アイアンではミスしやすいのに、かえって距離があってウッドを持たなければならない時の方が案外ミスが少ない、ということは言われてみて気付くことだが、それはウッドはフラットに振るからに他ならない。

実際バンカーのうまいゴルファーの半分くらいはフェイスを開きたがるタイプではないかと思う。その理由はバンカーショットをフラットスイングで済ませている、私と同じタイプだからだ。

アップライトスイングでバンカーの上手なゴルファーは、ピンまでの距離に合わせて、あるいはバンカーのアゴの高さに合わせてフェイスを開いたり開かなかったりするだろう。それが正常な状態である。

しかしフラットの方が簡単なのは間違いないから、元々のスイングがフラットな人はバンカーはうまいだろうし、普通はアップライトに振る人も、バンカーだけフラットに打つというのは決して悪い手ではない。

アイスクリームを注文したときに出てくるスプーンは、普通のスプーンと違って平らに作られている。サンドウェッジのライ角は60度以上あるが、ライ角を50度にすると、何だかアイスクリーム用のスプーンに似てくる。

スープはこぼれそうで飲めないが、その分バンカーでざっくりやりそうもない形だ。いっそのことサンドウェッジにフェアウェイウッドのような長いシャフトをつければバンカーがうまくなるという、信じられない話をこの理論は支持している。ライ角がフラットになるからだ。

ライ角50度のサンドウェッジはクラブ屋には作れない。ポリシーのない者にはそんな度胸はないだろう。そこで自分で作ってみることを薦める。ライ角をフラットにするのは案外簡単で、しかもうまい具合にライ角をフラットにしていくと、自然にロフトも大きくなってくれる。

昔使っていて今はゴミ同然になっている9番とか8番のアイアンヘッドのライ角をフラットにする。古いクラブで、しかもかなり上級者用のクラブでないとダメだ。これには鉄筋工が鉄筋を曲げるのに使う道具と同じ仕掛けのカギ棒がいる。

そのカギをネックに引っかけ、ヘッドを固定して置いて曲げる。私は専用の棒を買ってあるが、代わりになるものなら何でもいい。私の場合、ヘッドを固定する万力がないので、外を歩いてステンレスのドブ板を探す。

格子状の蓋(ふた)の、うまい具合のところを探してうまくヘッドの先を引っかけ、ネックに棒をかけてぐいっとネックを寝かせる。そうするとライはフラットになり、しかも方向を考えて曲げれば9番アイアンがサンドウェッジのロフトになる。

同じ理論で、ダッファーはスイングを幾らかフラットに変えるとダフリのないゴルフが出来る。ただし今度はシャンクが出る。逆にシャンカーはアップライトなスイングをすればシャンクは出にくくなるが、ダフる可能性が出てくる。

拷問を受けるのに、ムチ打ちがいいか針のムシロがいいか選ぶ自由を手に入れたってちっともうれしくはないので、何とも空しい話だ。そんなつまらない発見が、バンカーの苦手なゴルファーの助けになるということは、不幸中の幸いである。

ライ角50度、ロフト57度のウェッジは、なんだか靴べらみたいで妙なものだが、それはバンカーを苦手にするゴルファーにとって魔法のクラブである。この理論には矛盾がない。

したがってそれでシャンクが出るほど下手でない、ごく普通のゴルファーならば、古いクラブを持ち出して一つ作ってみるといい。筆者

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