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関数電卓片手に、アイアンのロフトはどういう割合で傾いていくのがいいのかと考えた。大抵のアイアンは3度ずつ変化する。アイアンセットによっては長い方は3度だが、7番から先は4度くらいずつ寝てくるようなのもある。その逆は見たことがない。

普通に考えると、短いアイアンのロフトは相当寝ているから、高く上がる分距離の違いは小さくなりそうだ。だからロフトの変化を少し多めにするのかも知れない。逆に長い方はきちんと当たれば3度の差でも距離は違ってくる。

クラブ屋がどのような考えでロフトの変化を決めているか知らないが、3度ずつ等差数列で行って10ヤードずつ等差数列で距離が変わるというのはちょっと出来過ぎというか、安易に過ぎる。

力学的計算は出来ないが、自然界の変化は「差」で動かない場合が多く、大抵は「比」になる。等比が重なって等差もどきになることもあるが、自然界は比の世界なのだ。完全に比の世界だと結構大変だから、せめて等差の二階をとってみると、たとえば3番を18度として、4番は3度足して21度にするが、その次の5番は3度半足して24.5度にする。

その次は4度足して6番は28.5度、そのまた次は4度半足して7番は33度といった風に番手の変化に対して0.5度ずつ足す角度を増やしてみたら、9番は43.5度になって、これは少し寝かせ過ぎで、ピッチングウェッジに近い。

ロフトの変化率を考えるのは非常におもしろい。目的は飛距離を同じ距離ずつ、たとえは10メートルとか10ヤード、あるいは15ヤードといった風に正確に変化させることだからはっきりしている。問題は二つある。一つはクラブの本数が制限されていることだ。

1度ずつロフトが減っていくアイアンセットを3番の18度からサンドの60度まで作ると42本のアイアンが出来上がる。ただしロングアイアンになってくると、当たりのわずかな違いが大きく出てくるから、そんなに細かく変化させる必要はない、と思うようになる。

昔はアイアンセットは2番からだったが、そういう理由で今では3番からになった。しかもキャディーバッグには4番からしか入っていないゴルファーも少なくない。これが二つ目の問題である。

そこで約10本というアイアンの本数を、どのように割り振るかが重要になる。飛ばし屋で8番より長いものは使わないというなら、8番からサンドまで、だいたい33度から56度まで、2度刻みのクラブを作ればかなり細かく使い分けが出来る。飛ばし屋の有利はこういうところにあるのだ。

元々ウェッジはロフトの差が大きい。9番まで3度刻みで来たのに、そこからいきなり20度の変化を2本でまかなうわけで、7度以上急に違ってしまう。私がことあるごとにフルショット以外、ウェッジを持ってはいけないと言い続けているのも、ピッチングウェッジは9番の次のクラブではないからだ。

私のクラブは3番からサンドまでほぼ同じ角度変化で作っているが、そうすると一番手違うと角度がかなり違う。私のレヴェルでは困らないが、上手なゴルファーは困るだろう。

ただ逆にウェッジで急に差が開かないからコントロールショットをしないで済ませられるという強みもある。いつでもフルショットで何とかグリーンのそばまで届く。今作っているのはドライヴァーからウェッジまでの等比だが、どうなるかはわからない。

関数電卓には何の何乗というキーがあるから、10乗まで使ってアイアンのロフトをいろいろな比で試作できる。ただ実際にクラブを計算通りのロフトに作っても、距離の差を正確に測る練習場がないので、どこまでも気分的なものだ。こういうのは組織力のあるクラブ屋さんにがんばってもらたいたい。

少なくとも等差の3度というのはやめてもらいたい。現代のゴルファーはウェッジを9番の次のクラブだと信じ込んでいる。ウェッジはもはや特別な人だけが持つことを許されるクラブではない。

それならば、3度刻みで9番まで行って、突然ガクッと8度も違うウェッジをそれと知らせずに使わせるのは酷だ。それは5番アイアンのつもりで8番を持ってしまったのに等しい。

したがってウェッジで突然角度が大きくならないように、長い方から徐々に角度変化を大きくしていくべきだ。プロやシングルは別にしても、何も知らないガキを相手にあんまりだ。

ゴルファーは誰でも、番手一つの差は10ヤードとか10メートルと言っているが、本当だとは思えない。プロにしたって相当の端数でクラブを認識しているだろう。ロフトについて本気になりさえすれば、どこのクラブ屋でも使いやすいロフトのクラブは作れる。

もっともお客様がアホではどうにもならないところに、商売の苦労がある。それはわかる。筆者

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