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ミスショットというのは、プロならピンに寄らなければミスショットだろうし、ローシングルはグリーンに乗らなければミスショットだろう。普通のシングルはグリーンの周りに届けばそれはミスショットではないが、次のコロガシがピンに寄らなければそれがミスショットだろう。

それ以外の全てのゴルファーにとっては、トップしたりダフッたり、ドスライスしたり引っかけたりするのがミスショットで、ただグリーンの方へ飛んでいけばミスショットではない。グリーンに乗らないのまでミスショット扱いするからややこしくなるのだ。

出来もしないくせに出来ると思い込んでいるショットが出なかったからといって、それをミスショットというのはズーズーしい。ミスショットという言葉は、第三者が冷静にゴルファーを観察して、もう少しで素晴らしいショットになるはずのショットが出なかったと思った時に、「ああ惜しいなあ」と感じるところを言い表している。

ダフリやトップをするようなゴルファーにミスショットはないのだ。ミスという英語は、何というか、気分的に言えば「さみしい」という意味であって「くやしい」のでも、「間違っちゃった」のでもない。

ミスショットは「打ち損じ」である。年がら年中打ち損じるのを「ミスショット」とは言わない。ところが一般的なゴルファーはそれを理解していない。自分の能力を知らず、ピンに寄らないとミスショットだと信じているから無理をする。無理なんだからうまく行くわけがない。それでダフる、トップする、チョロする。「打ち損じ」と言うより「打ち間違い」の方が正しい。

打ち損じのないスイングの基本は動かないことである。熊手型は打ち損じのないスイングの一つだが、これは手首を動かさない。何も動かさなければゴルフは出来ないからどこまで動かすかというマネージメントが大切だ。本来の「打ち損じ」の場合大抵スイング自体は悪くない。だから自分のスイングを疑ってスイングそのものに悩む必要はない。

ただたまたまそこにボールがなかっただけだ。これを「打ち損じ」と呼ぶ。これがミスショットだ。これに対してドスライスはほとんどの場合「打ち損じ」ではなく、「打ち間違い」だ。スイング自体が間違いなのだ。

そういうゴルファーは真っ直ぐ飛んだ方が「打ち損じ」なのだ。さみしくはならないけれど。曲がって当たり前のスイングから真っ直ぐのボールが出れば、それはミスショット、つまり「打ち損じ」である。

「打ち間違い」を「打ち損じ」と勘違いしているゴルファーは90を切れない。「打ち損じ」だけのゴルファーは80を切る。プロはバーディーで「打ち損じ」を帳消しにするが、「打ち間違い」をバーディーで帳消しにしようとするゴルファーは100を切れない。

「打ち間違い」はさっさとプロに習う方がいいが、「打ち損じ」は自分で治せる。座っている猫の頭を押さえても猫はコケないが、猫が塀の上に飛び上がろうと腰を落としたその瞬間、頭を押さえたら猫はどすんとコケる。力を出せる強い状態というのは、別の一面では逆にスキが多く、弱くなっている。

手首を上手に使って力を出そうとすれば、それは力の出る状態だから強いように思うが、タイミングをわずかに外せばショックに対する抵抗力がまるでない。柳は強いがしなる。しなるから強い、ということだ。体の中で鈍感に動くところほど動きは安定している。一番敏感で器用な手首を使わないとスイングは安定するが、人によってどこを止めてもそれなりに意味はある。

せっかく力の出せるところを使わないのは実に惜しいと思うのは人情だが、力を出すより出さない方がスコアがいいとなれば、使わない方が理の当然で、使いたければ72を切れるようになってからでも遅くはない。それが出来ないままあの世に行くゴルファーがほとんどなのだから。

幾ら絵がいいと言っても、柿右衛門の皿にびっしり絵が書き込まれていてはたまらない。何時だったか、柿右衛門のところの元絵師が個人的にそういうのを描いた茶碗を見たことがあるが、派手だった。柿右衛門の皿は絵を愛(め)でるのではない、地の白を愛でるのである。大切なのは「間」だ。

そういうわけで、「打ち損じ」を減らすには、使えるものを使わない勇気が一番手っ取り早い。ただしそれは人間にとって最も難しいことの一つでもある。見にくいアヒルの子が、最後までアヒルで終わったら童話にならない。カエルが王子に戻らないままではお姫様がかわいそうなので、それも童話にならない。

軍隊は兵器を沢山持っていなければならない。使うのも簡単ではないが、持っているのに使わないのはそれ以上に難しい。大人の童話があるとすれば、それは価値あるものを持っているのにそれを使わないまま感動させられるストーリーということだが、なかなか書けないだろう。スコアのために有効かも知れないものをあえて使わないのは大変なのだ。

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