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ヘッドアップでスライスするゴルファーは幸せである。なぜなら彼等のゴルフには大きな未来があるから。ヘッドアップでドローするゴルファーは悲惨である。そのゴルフ人生は放って置けばほどなく終着駅に達する。

そもそも人の頭はボーリングのボールほど重い。そのボールが軸を中心にきれいに回転するのなら百利あっても一害ないが、いわゆる摺動すれば大変だ。

コマが勢いを無くしてきたときに、コマのトップが首振り運動をする。そのうちに倒れるのだが、その首振り運動のことを摺動と呼ぶ、ことにする。(歳差運動)のこと。

スイング中に人間の頭が摺動すれば、クラブの方の頭はどこへ向くかわからなくなる。コマがきれいにスピンしているならいいが、ふらふらし始めたら誰でもそれはまずいと思うだろう。

軸が摺動してはスイングはがたがたに崩れる。特に激しく動けばヘッドアップと呼ばれる。どういうわけかその逆のヘッドダウンはあまり問題にならないし、見かけることも少ない。

ちなみに北極星はいつも真北にあるわけではない。地球の軸もコマのように摺動している。確か二万年かそこらの間にその摺動によって地球の真北は北極星の辺りをうろうろするのである。

星の方は動かないのだから、どちらが真北かという疑問はあるが、一応地球がメインなので、地軸の方角が北だ。

ヘッドアップがドローを発生するスイングはゴルフでは普通でない。一般的にヘッドアップはスライスを生み出す。アドレスで真っ直ぐ構えた後、首だけ動かして目標を見ると、クラブフェイスはかすかに開く。

ただしそれは誰かに頼んで見ていてもらわないと、ヘッドを見ているときは真っ直ぐだが、目標を見ると開いているのを自分では見られない。ヘッドを見ればフェイスは戻る、というチャプリンもどきの一人芝居になってしまう。

この人間工学的な自然現象に逆らって、なぜヘッドアップするとドローするスイングが生まれるのか。高速道路を走っているときに、わざと右側の景色を見ると、車は必ず右に動く。

左を向けば車も左に動く。車線変更はうまい具合になっていて、変更したい側にちょっと気を向けるだけで、その車が何をしたいか後続の車にわかる。つまり車はかすかにそちらの方へよれるのである。これも一つの自然現象である。これはヘッドアップがドローを生む原因を素朴に説明している。

ところがゴルフスイングはこの二つの相反する自然について、初心者には前者を、ヴェテランには後者を選択させる。車線変更の方では、左を向けば右肩が左に引っ張られるので、右手がハンドルを押す形になり車は左に向きを変える。

アドレスの方からは、目標に顔を向けると、左肩が引っ張られて上がるために、フェイスが開く。この理屈に気を付けていられるならば、ヘッドアップしても問題ない。

つまり、腕とクラブだけをインパクトのところに置き去りにしてヘッドアップするとスライスする。逆に、ヘッドアップを腕もろともにすればドローする仕掛けだ。

初心者はインパクトで顔を残せと言われるものだから一生懸命残そうとするのだが、それでは首が窮屈だからやっぱりヘッドアップする。別に飛んでいくボールを見たいわけではないのだが、自然生理現象だ。

日本人は首がよく回る方で、後ろから声を掛けられると首だけ回して相手を見るらしい。ヨーロッパ人にはそれが非常に不気味に見える。

私は映画は見ないが、日本の映画とヨーロッパの映画を、役者が振り向くところだけに集中して見れば、あっと驚くだろう。体が回っているのに顔が回らないというのは、つまり首がねじれているということだ。

日本人の得意技なのだが、残念ながら軸が動く。本当は首は回っても回らなくてもよい。ヘッドアップというのは軸が激しく摺動することを指す。軸さえ動かないならば、顔は回って首は回らない、妙な言い方だが、それでいい。

とんがり帽子で説明することが多いのだが、アドレスで構えたとき、とんがり帽子の先はどこかを指している。北極星を指しているとすれば、スイングが終わるまでずっと北極星を指していさえすれば、帽子自体がスピンしても一向に構わない。

けれどもそれはなかなか出来ないものらしい。顔を動かさない方が帽子の先も動かない。顔を回して帽子をスピンさせる方が楽なのだが、それをするとスピンでなく摺動してしまう。

顔を上げて激しくヘッドアップしても世界一になれるゴルファーはそれを知っている。首という棒状の軸が、摺動(しゅうどう)することなくただ回転するだけならば、顔が回る方が体にいい。ヘッドアップとは高々それだけの話である。

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