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畳には縫い目のところだと思うが、溝がある。50本以上の溝が、長方形の畳の縦方向に並んでいる。この溝にゴルフボールを置いて、目に沿って打てば、真っ直ぐ転がる。打ち出しを誤ると溝から脱線する。これはライン通りに打ち出す練習になる。

もっと興味深いのは、一本の溝の遠くの方へ目印を置いて、同じ溝のこちら側にゴルフボールを置く。目印とボールは同じ溝にある。

したがってボールから向こうの目印を狙えば、目印は真っ直ぐ溝の先に見えるはずだが、それが見えない。私はこれに気付いたとき愕然(がくぜん)とした。私の目には、目印は少し左側にあるように見えるのである。

つまり、もしも私が真っ直ぐ目印に向けてラインを書いたとすれば、そのラインは畳の目と交差する、ということだ。そんな馬鹿なと思うだろう。私は目印を動かして、ちょうど真っ直ぐ畳の目の正面に来ると思われる位置に目印を置いたら、それは畳の溝ほぼ二つ分右側の溝でなければならなかった。

そんな馬鹿なと思うだろう。やってみるがいい。畳の目が真っ直ぐなら、私が畳の溝に沿ってボールを打てば、真っ直ぐに遠くの目印に当たることはわかっている。 しかし、目印を目がけて打とうとすれば、私のボールは目印の左側を通ることになる。

畳の溝の間隔は15ミリ、目印は約2メートル先だから、私が思ったライン通りに打つと、ボールは目印の左3センチを通る計算になる。そんな馬鹿な、と思うだろう。やってみるがいい。

試しに他の人の眼で試してみたら、目印が右に見えると言う。私の逆方向だった。そこで目印が真っ直ぐに見えるところまで動かしたら、畳の目一本分左に置いたとき、真っ直ぐに見えると言った。私は逆方向に二本分だったから、私の錯覚の方が大きい。

グリーン上にラインは書かれていない。畳の場合、沢山のパラレルなラインが目に入る。そのラインに対して、自分の見たラインが交差するのだ。ラインの真後ろから見ているのに、何でラインが曲がっているのだろうか。

調べてみると、畳の目は真っ直ぐだった。このとき、畳は長方形の畳が縦につながっている状態のところで、目印との距離は2メートルちょっとあったが、ジョイント部分にも乱れはなく、ほぼ真っ直ぐなラインであった。

相体勢理論で考えても、ラインを真後ろから見て、その中心を通るラインだけを考えれば、誤差が生まれるはずはない。真っ直ぐ前にあるものが、なぜ少し左にあるように、あるいは右にあるように見えるのだろうか。それではグリーン上で真っ直ぐホールへ向けて描いたラインは本当にホールに向かっているのだろうか。

畳の上のこの怪奇現象は、目に入る沢山の真っ直ぐなラインによって生まれるだろう。ラインがなければ、目標とボールを結ぶ線に右も左もないはずだから。

この実験をしてみたとき、目印が真っ直ぐ先にあると見えたゴルファーは幸せである。その目には全く錯覚がない。グリーン上でラインを描くときに、全く不安はないし、たぶんパットがうまいゴルファーだろうと思う。

パットの異常に下手な私はどうすればいいのだろうか。私の利き目は右だが、目標が右に見えると言った人の利き目も右だった。この錯覚が四角い部屋の中だけに特有のものならば問題はないが、保証はない。

パットラインに錯覚があれば、パットは終わりだ。そういえば私のパットを見ていた人が、右の方へ打っていると指摘することはあるが、左に打っていると言われた記憶がない。これは実験の逆だが、それも不思議と言えば不思議なことだ。

私のパットは前向きパットだから、ライン通りに打っている。引っかけやプッシュアウトは起こり得ない。ただラインが読めないだけだ。それにしては確かに真っ直ぐの40センチを右に外すことが多い、かも知れない。

ゴルファーは畳の目で自分の錯覚を確かめてみる必要がある。何の錯覚もなく、一本の畳の目という筋の両端に置いた目印とゴルフボールが、真っ直ぐ畳の目の先にあるように見えれば、あなたは大丈夫だ。

もう少し詳しい数値を上げると、何度もやってみた結果の平均値は、2メートル60の距離に対して錯覚量はボール半分、約22ミリだったから、1パーセント弱の誤差があることがわかった。

左利き2人、右利き2人、利き目は左が1に右が3人だが、目印が私同様左にあるように見えたのが2人で、右に見えたのも2人だった。右に見えた2人はともに女性で、一人は左利きいま一人は右利きで、その一人は利き目が左だった。

つまり、性別以外の要素では因果関係が見えなかった。しかし性別に意味があるとは考えられないから、結局何もわからない。ただ錯覚の事実があるばかりだ。さらにテストを重ねる。

壁際の床にレーザーを置いて、3メートルほど離れたところにゴルフボールを置く。レーザーのビームをボールのど真ん中に当てる。パターのフェイスに直角プリズムを2個組み合わせたものを取り付ける。

パットの要領でボールにアドレスし、レーザーのレンズをカップの中心と思ってそこへ狙いを定める。狙いが定まったところでボールを退(ど)かしてもらう。組み合わせたプリズムによってレーザービームが目標方向に反射する。

鏡をパターのフェイスに付ければ簡単に同じ実験が出来る。私はパターフェイスと鏡が完全に同じ方向を向いているか心配だったので、手間をかけた。

ビームはレーザー装置の左の壁に当たっていた。やっぱり。何度やっても、結果は変わらなかった。この眼の歪みは利き眼云々よりもガチャ眼に由来するかも知れない。実は、コンタクトで左右両眼の視力をそろえている人が比較的歪みが少なかった。

無論資料がわずかだから事実とは思っていないが、可能性はある。そうなるとガチャ眼の人はかなり多いだろうから、パターのフェイスを本当に目標に向けているゴルファーがどれだけいるか、怪しい。

私の誤差は距離に対して左側へ0,8パーセントだから、10メートルの真っ直ぐのラインではカップの右8センチに狙いを付ければいいということになる。私の視力は右が1,5で左が1,2だった。昔の話だが。

今は測る機会がないのでわからないが、運転免許の更新で見えないと言ったことはないし、一番下の1行2行も見えそうだが、聞かれたことがないので当たり外れはわからない。

しかしガチャ眼であることは確かだ。これから私は眼の誤差を補償してパットをしなければならない。私ばかりではない。大半のゴルファーが自分の眼の歪みを調べ、補償量を算出しなければならないだろう。

あるいは真っ直ぐ目標に向けられるように、レーザービームを見ながら慣れていくしかない。慣れといっても、結局は頭の中に誤差を補償する回路を作ることに他ならない。何年かごとに、あるいは何かしら体に大きな変化があった後には、眼を調べなおしておく方がいいだろう。

現時点では歪みの原因は分からないし、補償方法が適当かどうかもわからないが、パターフェイスが目標に向いていないという歪みを確認することはゴルファーに不可欠である。

 
私の場合、2メートルで2センチ弱の誤差だから、距離50センチでは4ミリで、入る入らないにはさほど影響しないが、1メートルだと1センチになるので、ちょっと気になる誤差だ。

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