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ニクラウスのフライングエルボは、ハイエースなど貨物車の後ろのドアに取り付けられている油圧のシリンダーに似ている。ドアノブを引いて上に持ち上げると油圧の力で上へ開く。この動作にはねじれがなく、ドアを手で押し下げていくと、自動的にピタリとドアは閉まる。

フライングエルボの右腕はそのシリンダーと同じ動作をするので正確にボールを打つことが出来る。シャフトの硬さ、バックスイングの向きなど、調整する部分はあるが、基本的にリニアに動く。

そのためボールを捉えることにはあまり神経質にならずに済むし、シャンクの心配は少なくなる。ベン・ホーガンのような普通のゴルフスイングに比べてスイングのねじれ、あるいは柔軟性に欠ける点で飛距離はたぶん2割程度落ちるが、練習量に対する安定性は比べものにならないほど高い。

私自身のスイングはブレーキを踏みながらアクセルを踏むタイプだからロスが多く、8番アイアンで125ヤードがやっとだが、フライングエルボを使えば飛距離は約10パーセント増える。ただその日の体調によるショットの乱れは予測できない。

ホーガン式のスイングはフライングエルボ式に比べてさらに飛距離が出せる。ただし、このスイングは油圧のシリンダーのような単純で直線的な動きを回転に変えるのではなく、体の中で使用可能な可動部分、ジョイントを全て使ってムチのようなスイングを実現しようとする。

つまり初めから体やクラブのねじれを利用する。だからボールをコントロールし切れるようになるまでに大変な労力と才能を必要とする。

フライングエルボ型の、右腕のシリンダーで真っ直ぐに固定した左腕を動かす方式はプロゴルファーとしてやっていくにはパワーが不可欠だが、アマチュアのプレーする短いコースではパワーがなくても十分通用する。

クレイグ・スタドラーやザック・ジョンソン、ロコ・メディエイトなど、ちょっと風変わりに見えるスイングは皆、フライングエルボ型の亜流と言えるだろう。彼らのアイアンショットはその驚くほどの正確さで知られている。当然なんだ、それは。

アマチュアの場合、年齢的に体力や筋力が落ちてくると、ホーガン式の繊細なスイングはコントロールを失いやすい。かといって軽く打って安定感を維持するにはパワーが足りなくなってくる。

フライングエルボ型スイングは仕掛けが単純だから比較的無神経に思い切り打ってもミスが出にくい。年齢が高くなると、パワーだけでなく、カミソリのような鋭いショットをワンラウンド打ち続けるだけの集中力も不足してくる。

というわけで、実戦では使わないつもりでも、練習中の気分転換に時々フライングエルボ型のショットを練習してみては如何だろうか。理論上飛距離は落ちるが、気楽に思い切り打てる分、実際の飛距離はさほど変わらないかも知れない。 筆者

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