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もし仮に、ヘッドがただの丸い球で、その中心にシャフトが刺さっているだけのことならば、ゴルフスイングに悩むことは何一つない。一番力が入るように振り回せばいいだけだ。

しかしクラブヘッドにはボールを打つためのフェイスがある。そのフェイスの方向を無視するわけには行かない。それにヘッドがボール状だと真っ直ぐ打つのはもっと難しくなるに違いない。(昔そういうパターを見たことがある)

野球の元祖であるクリケットのバットは野球のバットのような丸い棒状ではなく、一見羽子板のように見える。つまり面がある。面で打つので方向的にはわかりやすいような気もするが、ボールに力を与えるだけならこんな使いにくいものもない。面の向きを考えなければならなくなるからだ。

ところで、実はクリケットのバットはよく見ると羽子板のような板ではない。断面は細い6角形になっている。つまり板に見えるものの裏表が完全な平面ではなく、傾斜の緩やかな屋根状になっている。だからその右側でボールを打つか左に当てるかでボールの飛ぶ方向は変わる。

バッツマンはその面を自在にコントロールして打っているのだ。水平に振る場合、面の下半分に当てるとゴロになり、上半分に当てればフライが上がる。すくい上げるようにバットを立てて打てば、今度は左右に飛ぶ方向を選べることになる。

野球のバットは丸いからそういう加減は非常に難しい。けれども、気付いた方もいると思うが、野球のバットもクリケットのバットも、水平に振る限り、正面方向へ打ち出すためにバットが目標ラインに対して直角になっていなければならないのは同じだ。

ロフトのない、ロフトゼロ度のアイアンも理屈は同じだ。(細かく言うと、ライ角もゼロでなければならないが、)それは長さ1メートルの竹製の物差しを握るとよくわかる。ゴルフスイングの研究用に是非一本購入していただきたい。この物差しをクラブ替わりにアドレスして構え、そこから剣道の竹刀のように持ち上げて水平にする。

水平を通り越して真っ直ぐ上に上げていって最後は右肩に担ぐ。野球のバットと同じ構えになる。この時物差しの平面(目盛りが書き込まれている面)は向きを変えないからずっと目標を向いたまま動く。

さて、その姿勢からゴルフボールを打とうとしたら、どう動かすか。どう動かせるだろうか。物差しを日本刀のような刀と考えればさほど難しい話ではない。だからゴルフの初心者は左ストロングの右ホックグリップという、いわゆるハンバーガーグリップになるのだ。

しかし物差しの刀で思い切りボールを切るのがゴルフではない。ゴルフボールを打つのは刀の腹、横の面で打つのである。刀の腹で思い切りたたくのは難しい。かなりの工夫がなければ力が入りにくい。それがゴルフスイングの基本的な問題。

さて、野球のバットよろしく右肩に担いだ物差しの平面はクラブフェイスであり、当然目標に真っ直ぐ対向している。インパクトでもその面の方向が変わらないような振り方を考えたとき、一番簡単なのは剣道の面打ちのように、上段から真っ直ぐ振り下ろすことだ。

これはフェイスの向きが変わらないという点ではいい方法だが、ボールは飛んでくれない。しかしボールを打つためにちょっとでも別の動きをすれば、たちまち面の方向は狂って、元に戻せるかどうか怪しくなる。

日本刀でゴルフボールを切るような動きなら、右肩に担いだ物差しを横に倒しながらボールを打っていけばいいかも知れないが、実際それでボールは打てないのはわかり切っている。

その方法で正しくボールを打つには、ハンバーガーグリップを使ってグリップの位相を90度左に回し、初心者のセットアップにするしかないのだ。いわゆる「大根切り」という奴である。

面の向きに気を付けながら、もう一度物差しを右肩に担いで、どう動かせるかと考えていると、ふとフレッド・カプルズのスイングを思い出した。なぜだろう。彼のドライヴァースイングを見ていると、いつも何だか野球のバッティングのように見えるのだ。

つまり彼のダウンスイングは野球のバッティングに似ていて、肩に担いだバットがいきなりボールに向かって一直線に出ている、ように見える。そして彼のバックスイングにも特徴があって、ヒョイッと肩に担ぐ感じがある。

彼のドライヴァーの飛距離が半端でない理由は間違いなくそこにあるのだが、まだ詳細はわからない。両ひじを曲げてスイングしてもいいなら私にも出来るが、フレッドの左ひじは野球のバッターのように曲げられた状態からインパクトに向かって伸びていってボールを打っているわけでもない。

物差しでお尻をたたかれたことあるかどうか知らないが、パチンという大きな音がしてとても痛い。悪ガキだった私は小学校の先生に年中たたかれていたのでよく知っているのだが、面が少しでも斜めに当たると音が小さいし痛みも小さい。

如何にしてヘッドの力を無駄なくボールにぶつけるか、それが問題だ。1メートルの竹の物差しを持てばいろいろなことに気付く。インパクトでクラブフェイスを目標に向けるためにどういう手が使えるかとか、どういう手が一番パワーのロスを防げるか、考えるきっかけが山のように見えてくる。

さらに、シャフトのねじれが見えてくる。柄杓(ひしゃく)というのがある。北斗七星のひしゃくはスプーンというかグースネックのように安定感のあるひしゃくだが、時折コップの真ん中に棒を通してあるような形のひしゃくもある。

そのなかでも最悪なのが、ろうそく立てのように棒の上にコップが乗っているタイプで、これは握る力が弱くなった途端ひっくり返る。物差しの刃の部分にバケツのような柄の付いたコップをぶら下げても物差しは安定しているが、逆にコップを接着剤で物差しの刃の上に取り付けたようなものだと、安定しない。

つまりアイアンを構えるということは、棒の上側に重りが乗ったとても不安定な状態で構えているということになる。だからそれを振り回せばフェイスはゴルファーの感受性を遙かに越えた挙動をする。

全体的な挙動の様子は想像できるが、細かな時間的な変化までは読み切れない。だからインパクトでフェイスの向きがどうなるのか、予測が付かない。ヘッドが暴れる、と私が言うのはそういうことだ。

ヘッドの暴れが少ないスイングは存在するが、その分飛距離の夢が絶たれる。したがって妥協点を探すしかない。1メートルの竹の物差しはそういうことをイメージさせてくれる。

和ばさみは裁縫道具にしか入っていないからほとんど絶滅危惧種だと思うが、洋ばさみに比べて力が入りにくい感じがする。しかしそれは事実ではない。刃と刃がクロスするのが洋ばさみのミソで、クロスする場所が支点に近い。

しかし指を入れて力を出す力点はクロスする点から遠いのでテコの原理でよく切れる感じがする。しかし洋ばさみの先の方で切ろうとすれば切りにくい。和ばさみは逆に先の方に力が入るし、微妙な力加減が出来る。

洋ばさみと和ばさみの違いに似たことはいろいろ存在する。私は剣道を知らないが、胴を打つとき、胴の右側を打っても左側を打ってもいいのだと思うが、カッコイイの刃向かって左側、相手にしてみれば右の胴を打たれたとき、打ち込んだ剣士の腕はクロスしている。

まともに右側を打とうとすれば、その腕は野球のバットを振るのと同じになっている。つまり腕がクロスするのは打った後ということである。左側を打つ場合、腕は胴を打つ前にクロスする。だからカッコイイというか、速い。

木こりが使う斧(おの)もチェーンソーのおかげで絶滅危惧種だが、力を入れるには野球のバットのように持って水平に振るしかないが、スピードが優先される場合はクロスの方が速い。重いからそうやって振るのは困難だろうが。

テニスでもゴルフでも、リヴァースの方が速く動かせる。洋ばさみだからだ。「逆手のゴルフ」というタイトルもあるが、ヘッドの走りが遅れてくるようになったらクラブを逆手で握って素振りをする。そうするとヘッドは素早く返ってくる。

その感じを順手で再現できれば、簡単にプッシュアウトを修正できる。ただし他に原因がなければの話だが。クロスする、という物理的な構造はある意味魔法である。ゴルフで手首のクロスを使う使わないは、だから重要な考えどころになっている。

剣道はどうか知らないが、手首をクロスさせて竹刀を左へ傾けた後に打ち込む方が速いのは至極当然の力学で、それが胴一本になるのか、逆胴と言われるものなのか、私は知らない。 筆者

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