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私は人に教えるほど下手ではないから同伴者のゴルフに意見を持ったこともないし、そもそも人のスイングを見ることもない。ただナイスショットが出ればいいなと、それだけ思って打つのを眺めている。ただ一度、親しい人からラウンド中に気付いたことを話してくれないかと言われたので、気にして見たことがある。

スイングは好きずきだから気にもならないが、クラブ選択が妙だと思った。「グリーンに届く距離のクラブを持つ」のが基本なのはプロの話である。アマチュアゴルファーの基本は「打てるクラブを持つ」ことである。

距離がどうのこうのはその次に考える。ライがちょっとでも悪ければ即座に刻む。私はそれに慣れているので、刻んだ場合のその後のプランが豊富に用意されている。この場合は小さなクラブを使うということである。

もう少しましなライの場合、たとえば浅いラフに入った場合は、理想的なライからのショットに使うクラブよりも2番手ほど大きいクラブを使うことになっている。経験上、ラウンド中の飛距離はティーアップできるパー3を除いて、練習場での飛距離から20ヤード差し引いた飛距離である。つまり2番手大きいクラブを持たないと届かない。

私は彼のライに関する見極めがかなり無謀なのに驚いた。私にアドヴァイスを頼んだゴルファーは100を切れないゴルファーなのだが、私自身がこのライでは打てないと思うクラブを平然と持つ。このゴルファーの場合ライの見極めだけでスコアは最大15縮められると読んだ。

もう一つ気付いたのはフェアウェイから打ったボールがゴロになるのだが、それを本人はトップしたとか、ボールの頭をたたいたとか言っていることの不思議さである。私が見る限り真芯に当たっているように見える。トップしているとは到底思えない。

私はふと考えた。シャフトが柔らかいと、バックスイングをかなり大きく取らなければヘッドは戻り切らない。もしもシャフトが柳の枝ほど柔らかかったら、クラブのロフトが20度あっても、シャフトのしなりが戻らなければ、ロフトは簡単にゼロになる。つまりロフトゼロの状態でボールを打つはずだ。

あるいはしなったままボールの位置まで来れば、しなった分シャフトの長さは直線になおせば短くなる。ボールまで届かないでボールの上を通過するか、頭をたたくこともあるだろう。この場合は本人の言うとおりだ。

短いのに打てたということは、もしもそのスイングが正しいと思って次のショットをすると、クラブが短ければ当然シャフトのしなりは小さくなるから、今度はダフるだろう。その繰り返しが起こる。


私はシャフトの硬さを尋ねた。すると彼が言うには、力がなくなってきたのでレディースシャフトを付けていると言った。女性の初心者がフェアウェイでゴロゴロやるのは下手だからではない。

シャフトが柔らかくて難しいからである。アイアンマットは滑るから自動的にボールが打てる。しかも練習場は一発勝負ではないから力が入らないスイングも出る。ところがコースは一発勝負なので力が入り、バックスイングが小さくなって思い切り振る。

まるで鴨がねぎをしょって来たかのように、シャフトがしなりまくったところでボールを打つ。あるいはしなった分シャフトが短くなってボールの上をかすめる。絵に描いたような話だ。女性が下手だと思ってはいけない。レヴェルの高い難しいクラブを使っているのだ。

さてそこで私は実験を試みた。フェアウェイでチョロした直後に、私のバッフィーを使ってもう一球打ってもらった。ご承知の通り私のクラブはグリップもひどく太いし、シャフトはミズノのエクサーの8である。これは恐ろしく硬いシャフトで、しなりゼロかと思うほど全くしならない。

だからいきなり打つのはなかなか難しいと思ったが、しかしそれはその日最高のナイスショットで、30度ほどの角度で飛び出し、150ヤード飛んでいった。興味深いのはそのあとに起こったことである。次のホールでは自分のレディースシャフトのクラブで打ったが、やはりゴロになった。

その次のホールではレディースよりも少し硬いシャフトのウッドを持ってナイスショットになった。これで数ホール行ったのだが、再びゴロが出た。そこでエクサーの出番となり、このショットがウェッジのナイスショットのような天ぷらで、60ヤードしか飛ばなかったのだ。

ここの経緯が非常に興味深い。エクサーで打ったときにナイスショットすると、その感触は手に残る。しかしレディースシャフトのクラブでも同じようなナイスショットが出せるほどではなかった。それで少し硬い方を使うと、きれいに打てたのだが、長く続かない。

そしてその幾らか硬いもので上手に打ったあとにエクサーに代えると、ボールの下をくぐったわけで、理屈が合っている。クラブメーカーは飛ぶクラブを作る。つまりシャフトを柔らかくする。そうするとスイングはややこしくなる。レディースは非力なので、目一杯振ってもちょうどいいペースでヘッドの戻りが起こる、ようにメーカーはシャフトをセットする。

話はどれも筋が通っているように思えるのだが、実は最大の問題が無視されている。それはメーカーの責任ではない。ゴルファーの責任である。つまりゴルファーは真っ直ぐ打てるクラブよりも飛ぶクラブを選ぶ。ゴルフの基本は「真っ直ぐ飛ばす」ことで、その次に「遠くへ飛ばすこと」が来る。「遠くへ飛ばすこと」が基本なのはプロの話である。

プロはとりあえず必要最低限遠くへ飛ばさなければ勝負にならない。アマチュアがパープレーするための必要最低限は180ヤードくらいである。100を切らないということは28打もの余裕があるわけで、その際の必要最低限は150ヤードだ。これ以上は必須ではなく、基本の次に考えることである。クラブシャフトは柔らかい方が飛ぶ。長い方が飛ぶ。ヘッドが重い方が飛ぶ。

これらはクラブの基本的性質であるが、真っ直ぐ飛ばすにはしなりゼロが一番簡単である。ゴムの棒で出来た箸が使いやすいわけはない。これは真実だが、初心者用のクラブのシャフトはなぜか柔らかい。

メーカーが仮想の初心者を設定して勝手に柔らかさを決めているからだ。だからパワーヒッター向きと断る場合にだけ硬いシャフトが使われている。それもこれも飛距離を考えなければ売れないからに他ならない。

メーカーだってもしも飛距離を無視していいなら、フライホィールの原理を利用できる適度な重さのヘッドに、しなりゼロの硬いシャフトを付けたクラブを売る。初心者がもし、簡単にいいスコアを出したければ、エクサーのフレックス10というシャフトを付けたクラブでゴルフをすればいい。

ただし、ゴルフの楽しみがスコアではない場合はこの限りでない。100を切れないゴルファーは、一度でいいからエクサーのフレックス8から10という、恐ろしく硬いシャフトのクラブセットでラウンドしてみて頂きたい。うまくなるにしたがって少しずつ柔らかいシャフトを付けていくのが正解である。

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