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使えるわけもないのに、ただよく飛ぶはずのドライヴァーが作りたくてレディースシャフトを差したドライヴァーを作ってしまったが、練習場へ行けないので自分で試すことは出来ない。知り合いに頼んで打ってきてもらったらスライスが出ると言う。やはり相当柔らかい。

スライスに悩む初心者はこのドライヴァーをしばらく打ってみた後で自分のクラブを振れば真っ直ぐに飛ぶ。初めから自分のクラブを振っていてはいつまでたってもスライスがとまらない。この手の練習方法を過負荷法と呼ぶことにすれば、大リーグボール養成ギブスも過負荷法である。

過負荷法は当たり前の練習方法だが、ゴルファーは自分でクラブを作れないし、わざわざ実際には使えないグニャグニャのドライヴァーを買うのも馬鹿馬鹿しいので誰もやらない。

ゴルファー一人一人に固有の筋肉のバランスや体型から自然に出るスライスを直球に作り変えるためにこの過負荷法は役に立っている。ただそのクラブを振るだけで、そのクラブではスライスしても、自分のクラブでは真っ直ぐになる。何の調整も加減もしない自分のフルショットで真っ直ぐなボールが打てる。

スライスやドローを考えるとき、私はいつもコンデンサーやコイルの時定数を思い浮かべてしまう。時定数は便利に使えるときはいいが、邪魔になると実に厄介な代物で、今では出来るだけこの種の時定数を持った部品を使わないのが普通になっている。

たとえば3分間タイマーを作るにはコンデンサーを使うのが簡単だが、10分(ぶん)の1秒まで正確に作るとなると、コンデンサーを使っていたのでは一万個のコンデンサーを一つ一つ試していかないと作り切れない。今時そんな時間の無駄はやらない。もっと別の方法を考えるわけだ

ゴルフシャフトのしなりは物質が持つ時定数であり、時定数を計算しなければ真っ直ぐに打てないから使いにくい。一万本のドライヴァーから一本を選ぶようなものだ。デジタルにするにはしなりゼロの硬いシャフトが必要だが、それでは飛ばない。

余程パワーがないと時定数レスの回路は組めない。と言うわけで、今しばらく飛ばしたいゴルファーは時定数との戦いを強いられる。回路設計が時定数から逃れるために考え出した工夫のプロセスを、ゴルフスイングに応用できないだろうかと、思う。

今時はシャフトメーカーがテストルームを作ってお客のスイングを調べ、そしてシャフトを選んでくれるからそれでいいと思っているゴルファーもいるだろうが、あれはそのゴルファーに合うシャフトを選んでいるのではない。ゴルファーのニーズを調べているだけだ。

ゴルファーが何を望んでいるかをリサーチしているのであって、スコアが良くなるシャフトを選ぶわけではないし、実際に選ばれたシャフトも当てにはならない。確かにもっともらしいシャフトは選ぶが、そもそも何がもっともらしいか、それをリサーチしているわけだし、選べるシャフトの種類がまた非常に限られている。

そりゃそうだ。どんな性質のシャフトがお客のお好みなのか、それをリサーチしている最中なのだ。大学のゴルフ部員ならばシャフトはほぼ確定するが、一般ゴルファーはわがままというか、本当にゴルフがうまくなりたいかどうかさえ怪しい。

従ってメーカーはそのスイングからシャフトを決定することはできない。「お好みの」シャフトでなければならない。そこが難しい。勝ち負けよりも楽しいかどうかが鍵なのだ。シャフトメーカーの苦悩がわかるような気がする。

電子回路屋のアプローチはクラブ屋のそれとは違うだろう。クラブ屋はシャフトが持つしなりという時定数と、それにヘッドが付くことにより生じるねじれという時定数のふたつを、オーダーメイドで合わせようとしている。

それは昔電気屋がコイルとコンデンサーで時定数を作ったり、逆にそれらの部品を使ったために、本来不要な時定数の発生とその処理に悩んだのと似ている。

電気屋は出来る限り時定数の発生する部品を排除するが、それはしなりもねじれもないシャフトとスワンネックを使うことである。しかしスワンネックはルールで規制されている。しなりとねじれは飛距離に欠かせない。ここがゲームのための道具と産業機械のための道具との違いだろうが、方法はきっとある。筆者

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