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ゴルフをスクエアグリップで済ませているゴルファーには無縁な話だが、ストロンググリップを使う場合にどの程度のストロングにするか、これは相当難しい問題である。私は一応45度という切りのいい数字でやっているけれども理論的でもなければ納得しているわけでもない。

ただそれ以上深くするとボールが上がらなくなるので使わないに過ぎない。十分な練習量があればもっと深い、70度くらいのストロングで真っ直ぐなボールが打てるようになると思っている。それが可能なものなのか、理論的に正しいのか試行してみたいが、時間もないしすでにボロボロになっている腰がもたない。

一般のゴルファーは考えるより練習する方が圧倒的になるので、どのくらいのストロングにするかは理論値ではなく経験値で判断する。

機械的な理想は90度であり、これに疑いの余地はない。つまり左手の甲を上に向けて、その人差し指にシャフトを差し込み、そのまま左手の甲がスイングプレーンの下側を這うように振れば、ヘッドのトルクやシャフトのねじれを無視する限りこれ以上シンプルで完璧なスイングは存在しない。

これは初めからクラブとクラブヘッドのロールを前提にしているスクエアグリップではなし得ないレヴェルのスイングである。実際にゴルフマシンはこういう動きをする。

スクエアグリップが持っている自然なスイングとはクラブのロールを取り込んだ自然であり、そこではタイミングが全てを決める。ちょっとでもリズムがずれればボールの行き先が変わる。これに対して90度ストロンググリップの自然とは機械的な自然であり、道具にねじれもトルクもなければ誰がやっても真っ直ぐ飛ぶボールしか存在しない。

ところが実際にはそうならない。クラブのしなりとねじれは理想のスイングに誤差を生じさせ、また90度ストロンググリップは不可能に近いと人間工学が警告する。機械と違って人がやることはすべからく曖昧なものであり、その曖昧さを考慮した結果、スクエアグリップが生き残っている。

アメリカのツアープロでスクエアグリップを使う人は最近ほとんど見かけなくなった。かといって45度を超えるストロンググリップもほとんど見かけない。手の構造から考えて70度を超えることは不可能だろうし、そこまで行くとゴルフスイング自体が成り立たない。

それでもとにかく、まずは90度のストロングを理論的に確立し、それを人間がやるスイングとしてモディファイすると、ストロンググリップの深さが何度に収まるのか、それを確かめたい。その上でクラブの歪みを考慮すれば完璧なストロンググリップの角度が求まる。

この研究はたぶん、ストロンググリップがスクエアよりも優れているという結論を導かないだろう。人間がやるゴルフだから全ては無限の曖昧さの中に飲み込まれてしまう。しかしその先には必ず白黒を決める何かが見えてくる。そうやって科学は進化してきたのだから。

ただし残念ながらその成果はすぐに一般のゴルファーには届かない。最新の科学を、理解できないまでもせめてそれを信じられるまでにかかる時間は、普通の人の世界では約150年と言われている。だからそれを当たり前だと思って使うまでに200年はかかる。

ゴルフスイングは力学的だけれど、それだけではない。力学以前に人間学的である。したがって力学と言うより熱力学に近い。ミクロの世界で戦い続ける物理学と、マクロの世界を極めた熱力学、理解するにも信じるにも、こちらの方がよほどややこしいかも知れない。

応用科学の世界はすでに相対性理論や量子論を無視できないところまで来てしまった。それは他方で社会科学の世界がエントロピーという概念なしに進化できないということを示唆している。ゴルフスイングも社会生活の一部分である。力学だけでは前に進めない。うーん、筆者。

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