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アップライトとフラットには定義がない。だから一般的な印象はゴルファーの見た目でだいたい一致するが、詳細な話になると意見は分かれる。横峯さくらプロのドライヴァーショットを見てアップライトなスイングだと言う人は少ないが、かと言ってフラットスイングと決めつける根拠は何か。

彼女のスイングがアップライトかフラットかという問いかけをすれば、果てしのない論争が巻き起こるだろう。ジェフ・スルーマンはU.S.PGAのトーナメントで優勝経験のあるゴルファーの中で最も小柄な選手である。しかしそのスイングはフラットではない。彼のスイングを見ているとアップライトとは何か考えさせられる。

リー・トレヴィノは少し古いがスルーマン以前には最も小柄なチャンピオンだった。全盛期の身長を比較したらトレヴィノの方がわずかに背が高かったと思う。トレヴィノはフラットなスイングをした。アップライトとフラットは身長に関係するだろうか、それとも無関係か。

日本人ゴルファーの平均身長で今時のドライヴァーを構えると、クラブは地面から44度の角度でゴルファーに握られている。つまりベタソールのドライヴァーがあればそのライ角は44度である。

腕とクラブシャフトはアドレスの際に真っ直ぐにはならない。腕は肩から地面に向かって63度で下りてきている。つまりその腕の先に真っ直ぐクラブがあればライ角は63度になるはずだ。

クラブを構えたときに腕とシャフトの成す角は118度で、これがスイングしてインパクトの時にはほぼ真っ直ぐになる。アドレスというものの怪しさがここにもあるのだが、それは置いて、仮に腕とシャフトが真っ直ぐになったとした場合、その一本の線は地面に対して50度の傾きを持っている。つまりライ角50度のスイング平面がそこにある。

私がドライヴァーのライ角60度はおかしいと言うのも、アドレスを怪しむのもそういう当然から出るのだが、今それよりもっと当然の不思議な話はこのライ角50度のスイング平面である。スイング平面を決めるのは、自然に考えた場合、ゴルファーの身長とクラブシャフトの長さ以外にはない。

それは平均的日本人ゴルファーが45.5インチの普通のドライヴァーを持ったとき50度と決まっている。そうするとアップライトかフラットかを決めるのは何だ。50度のスイング平面をフラットかアップライトかと判断するだけの話になる。しかしそんなことは誰も信じない。

スルーマンの身長は日本人ゴルファーの平均身長と同じで約169センチだから、彼が45インチのドライヴァーを振ればスイング平面の傾斜は50度になる。50度というと45度で半分だからそれよりちょっと立っている程度だ。

しかし明らかに彼のスイングはアップライトに見える。50度のスイング平面で打っているゴルファーを見て、あなたはフラットと思うか、それともアップライトと思うか。

スイング平面上を腕が通るのかグリップの位置が平面の上を動くのか、はたまたシャフトが乗っているのか、ヘッドだけか、誰も知らないのだが、それによって同じスイング平面を使うと言っても感じは変わる。ケニ・ペリーのスイングはコックを使うスイングのエキスを抽出したようなスイングだが、そのスイングからアップライトの仕掛けが見えてくる。

横峯プロのスイングは引き初めはフラットだが、途中から手首を折って大きなコックを使い始める。そうするとケニー・ペリーと同様に腕の動きはスイング平面通りでもその先のシャフトの動きが変わる。

ノーコックスイングとフラットスイングは深い関係にあるが、手首を折る方向の違いでコックにも違いがあり、それによってノーコックもアップライトとフラット両方のスイングを実現している。

スイング平面の角度だけではアップライトかフラットかを決めかねるゴルファーの気分はそういう事情から来ている。しかし基本はあって、定義をすれば区別は付いている。ただその定義が幾つもあること自体に気付かない。

定義なしに分別ゴミは出せない。当たり前だから、という理由は理由にならない。人それぞれにあっと驚くほど違った「当たり前」が幾つもあるという事実を知らない単一民族の誤解がそこにある。

アップライトと縦振りは同じではない、と私は書いた。フラットと横振りは違う、とも書いた。それは私の定義である。ダスティン・ジョンソンのスイングは絵に描いたようなフラットだが、背が高いので縦振りに見える。

ジェフ・スルーマンはアップライトなスイングで、背が低いのに縦振りに見える不思議な選手だ。縦振り横振りはスイング面の角度から察するものだが、フラットとアップライトはスイングの本質から決まっている。

用語は英語と日本語を逆にしても構わないが、本質を間違えてはいけない。 筆者

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