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10年ほど愛用していたドライヴァーをやめて、新しいドライヴァーを買った知人がモメています。シャフトが柔らかいので、私にもう少し硬いシャフトへ交換してもらおうかと思っているようです。危ない話です。

たぶんシャフトが前のドライヴァーよりも柔らかいのではありません。ヘッドが効いているのです。ドライヴァーヘッドの、というよりフェイス面の反発係数に規制がかかったのはもうずいぶん前のことです。

つまりその時点でメーカーにはヘッドの反発係数を大きくするという開発の意味も、したがって探求心も閉ざされてしまったわけです。そして取りあえず残された道は力学と物理学の王道だけになりました。

私はずっと昔から規制ギリギリの47インチドライヴァーを使っていますが、それは素朴な力学だからです。最近同伴者のドライヴァーを握らせてもらったら、違和感がありません。46.5インチあるそうです。

私のドライヴァーをさんざん馬鹿にし、無視してきたゴルファー達のほとんどが、まるで大昔から使っている道具のような顔をして46インチのドライヴァーを使っているのです。私にとっては昔から見慣れた光景ですが、いつも不思議です。記憶とは何なのでしょう。

そう言えば、私にもそれに似た記憶力が一つだけあります。どういうわけか、近所で建て替えられた家を見て、ほんの半年前まで何十年も見慣れていた、以前の家の形を思い出せないのです。

さて、メーカーが飛距離を売り物にドライヴァーを開発するにはシャフトを長くする以外にもう一つ方法があります。それはヘッドを重くすることです。ただし、クラブ自体を現状よりも重くしたら売れません。

軽さを争ってきたメーカーにとって、この分野には何ら障害も規制もありませんから、とにかくヘッド以外を軽く作る方向に走ったわけです。そして軽く作れた分だけ、余った重さをヘッドに載せて、全体の重さは変わらない、というわけです。

要するに金槌をゴム金槌にしたら反発係数という規制に引っかかり、柄を長くすると47.5インチあたりで規制に引っかかり、もうどうしようもなくなって規制のない重さに目を付けたわけです。

かくしてドライヴァーは全重が軽くなる一方でヘッドが頭でっかちになってきています。同じ硬さのシャフトでもヘッドが重くなるほどしなりは大きくなりますから、使っている方はシャフトが柔らかいと錯覚します。

ハンマー投げというのがあります。あれは本来DIYに売っている、槌(つち)に赤いペンキが塗られている大ハンマーくらいのものを本当に投げて距離を競ったスポーツですが、今は柄の部分がひも状になっています。

つまり現代のドライヴァーと同じです。たぶん目的も同じだったのでしょう。柄の部分をひも状にする方が飛ぶんです。というわけで、これから先のドライヴァーは限界まで軽いシャフトに重いヘッドの付いたものになります。

そしてシャフトはどんどん柔らかく感じられるようになるでしょう。シャフトを軽くするには薄く作るしかありませんから、その成り行きで実際に柔らかくなっていきます。それを何とかして軽いまま剛性を落とさないように作るか、それは昔から変わらぬメーカーの心です。

好むと好まざるとにかかわらず、自分でクラブを作らない限り、そういう傾向になります。もう少し時間が経てば、若い世代はそれに慣れていて、今私たちの使っているようなドライヴァーを不思議そうに眺め、そのスイングもまた不思議に見えるときがやってきます。慣れるしかありません。

おもしろいことに、テニスラケットは逆の歩みを続けてきています。ストロークには硬いラケットの方がコントロールしやすく、ヴォレーには柔らかい方が断然有利です。ストローク全盛のテニスが30年続いて、ラケットは硬いシャフトのものしか作られていません。

買おうにも存在しないのですから、ダブルス専門のプレーヤー達はそういう硬いシャフトのラケットに慣れるしかないのが現状です。ガットをどれほど柔らかく張ってみても、効果はありませんでした。やはりラケットシャフトそのものの柔らかさ加減が重要のようです。

ドライヴァーにも同じような不自由な道が開拓され、今のゴルファー達は困惑し、これからの若いゴルファー達は当たり前に慣れていくでしょう。この状況を考えるにつけ、私はあのプロゴルファーを思い出さざるを得ません。

その名はジョン・デイリー。彼は100キロの巨漢ですが、身長は180センチ程度で、特に背が高いわけではありませんでした。彼のドライヴァーの飛距離はツアープロの中では一番でしたが、シャフトはレディースシャフトだと言われています。

バックスイングは非常に深く、柔らかいシャフトの弾性をフルに生かしたスイングだったのです。ちょうど横峰プロのようなバックスイングです。つまり、私たちがこれから先に手に入れられるドライヴァーの正しい打ち方の見本がジョンのスイングです。

無論、シャフトが柔らかいほど難しいクラブになっていきますから、これからのプロがどこまで対応し、どこまで硬いシャフトにこだわるかは微妙ですが、一般のゴルファーがドライヴァーの飛距離だけを考えるとすれば、メーカーはこの方向でドライヴァーを作るでしょうし、それ以外に方法はありません。

飛距離に限定するならばこの傾向は続くわけですが、飛距離とコントロールの妥協点がどこへ収まるか、特にプロゴルファーの選択がどういう方向に向くのか、それがドライヴァーの未来の形を決めるでしょう。

私は硬いシャフトでゴルフをし続けますが、プロの世界としてはコントロールが非常に難しいとしても、ジョン・デイリーの方法に向かうのではないかと思っています。筆者

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