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少し前に、珍しく国内トーナメントをテレヴィで見ていると、スイング解析のヴィジュアル化が進歩してボールのスピン数やヘッドスピードがわかりやすく画面に出るようになっていた。

「スイングスピードとヘッドスピード」というタイトルを書いたのはずいぶん前のことだが、興味を持った読者は少なかった。しかしあれはゴルファーにとってとても大事な話だったのだ。

テレヴィで使われた解析システムの結果から、ヘッドスピードはさほど変わらないのに飛距離が70ヤードも違う場合があると知った人も多いだろう。その要因は主にスピン量の違いだが、スピン量はパワーの分配に過ぎないから、それだけでは何の意味もない。

テニスではボールをコントロールするためにスピンを使う。スピンに利用するエネルギーとボールの速度に使うエネルギーの合計がパワーと言うことで、どちらにエネルギーを使うか、テニスもやはりそういう問題として片づけられる。両方欲しければパワーがいるのだ、というだけの話になる。

これらはゴルフやテニスをスポーツとしてみた場合には当たり前のことだが、スコアメイクやテニスの勝敗を技術的な方面から考えると、そのパワーの配分、あるいはパワーの出し方にこそ、謎が隠れているような感じがしてくる。

相対性理論(相体勢理論ではない方の)の説明に、電車の中のキャッチボールというのがある。時速100キロで走る電車の中でキャッチボールをする。ピッチャーが電車の進行方向と同じ方向へ時速140キロの剛速球を投げると、時速240キロのボールがキャッチャーミットに突き刺さる。本当だろうか、という話である。

これはアインシュタインでなくニュートンの相対性理論の方だろうが、ともかくも線路が見える丘の上からその光景を見ている人には、確かにボールの速度は時速240キロである。しかしピッチャーもキャッチャーも電車の中にいて、彼らもまた時速100キロで進んでいるから、キャッチャーが受けるボールは時速140キロのままだ。

スイングがゴルフクラブのヘッドを走らせる。それがヘッドスピードだとするなら、ヘッドスピードとスイングスピードは同じだ。しかしボールをたたく部分、つまりクラブフェイスの速度はヘッドスピードと同じだろうか。

時速100キロで走る電車の窓から手を出す。電車の外に何か物体があれば、手は時速100キロでその物体にぶつかる。たたくと言ってもいい。その瞬間、もしも手をコキッと進行方向に動かしたら、手は一体時速何キロでその物体をたたくか。

そう、手はコキッと動かしたその速さだけ100キロに上乗せした速度で物体をたたく。クラブヘッドにはトルクというのがある。「ヘッド自体のトルク」という概念は私だけの概念だが、普通ゴルフクラブのトルクと言えば、それはシャフトがねじれて戻る力を指す。(しなりではない)

つまり、インパクトの寸前までクラブフェイスが目標より右90度の方向を向いていて、インパクトの瞬間に目標方向を向けば、それはクラブフェイスが、ほっぺたにビンタを喰らわすのと似たような感じでボールをたたいていることになる。

当然のことだが、そのクラブフェイスはヘッドの一部だからヘッドスピードを持っている。ヘッドスピード+ビンタスピード=フェイススピード、すなわちインパクトスピードになる。ゆっくり打っているように見えて驚くほど飛ぶゴルファーの仕掛けはこうなっている。

トルクが大事というのもそういうことだが、考えてみればわかるが、そんな危ない橋を渡る必要があるだろうか。私はインパクトの前には出来るだけ多くの時間、出来るだけフェイスを目標に近い方向に向けておくようにスイングする。だから飛ばない。

飛ばしたければ、インパクト寸前まで出来るだけフェイスを開いておけばいい。スライスの心配があるようなゴルファーには空恐ろしいことだが、インパクトで出来るだけ強いビンタを喰らわすことが飛距離の秘訣だから、やりたければやればいい。

プロは飛ぶが、パワーで飛ばしているだけではなく、ビンタも使って飛ばしている。それであれほどのコントロールが出来るのだから、プロはすごいのだ。しかし、プロがアマチュアに自分と同じスイングを教えることはない。無理なんだから。

このタイトルは飛ばす秘訣を極力簡単に説明している。力で飛ばすヘッドスピードの方は割合わかりやすいが、ビンタスピードの方はわかりにくいから。しかしそういう神業のようなスイングを勧めているわけではない。神じゃないんだから。

ただ、知っていれば安心できるかも知れない、迷わないかも知れない、と、そう思ってこのタイトルを書いた。ルーク・ドナルドだってずいぶん迷って悩んで失敗して、結局あきらめたとき、彼の成功が起こったのだから。 筆者

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