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前向きパットは横向きパットに対して方向性の点で絶対的なアドヴァンテイジを持っている。何しろライン上から面と向かってラインを見るのだから。ところが距離感についてはどうも横向きにはかなわないらしい。

私が前向きパットをするようになってからもう10年近くなるだろうか。今日私は横向きのパターを制作した。出来上がったパターは普通のパターだが、ひとつだけ違う点がある。ライ角が普通ではなかった。

自分で作ることのおもしろさは、当たり前だけれど好きなように作れることだ。私は私にとって一番打ちやすい感じのするパターを作った。普通の横向きだが、ライ角が27.5度あった。わざとではない。

ヘッドを地面に固定してシャフトを差す。一番しっくり来る角度にシャフトを曲げて、これだと思ったところで固定したら27.5度だった。市販のパターを持ち合わせていないので比較できないが、こんな角度のパターは売られていない。

ライ角について27.5度という表現は妙だと思われるだろう。ライ角は地面からの角度で呼ばれることになっている。だから本来はライ角62.5度のパターと言わねばならない。しかし前向きパターでこのライ角の規制に苦労した私は、そう言わざるを得ない。

スワンネックアイアン(アメリカ流の、先手必勝目的の、実体のない空しい商標の関係で私のアイアンはイージースワン)を作ったときも、R&Aの巧妙な規制に驚いた。あのときはシャフトをヘッドの中心へ平行に移動する量が15.8ミリで、私が作ったスワンネックアイアンがその量ギリギリを行き来していた。

前向きパターを作るとき、一番いいライ角がある。規制があることさえ知らなかった私は好きなように作ったのだが、そのライ角は約80度だった。しかしR&Aのルールブックを見ると垂直から12度以上、と書いてあった。

つまりパターのライ角は78度以内でなければならない、と言うのだ。私のやることにことごとく微妙に反発するR&A。その微妙さに驚いた。

今日作った横向きパターのライ角は規制にかからないと思うが、一般的に27度の、つまりライ角63度のパターは存在しない。ゴルフに文部科学省の指導要領に添った教科書はないが、パットをするときには視線を垂直にするという不文律がある。

眼がボールの真上に来るように、ということだが、ライ角63度ではそうならない。前向きパットはライン上から真っ直ぐカップを見込む。これが距離感を怪しくする、と書いたことがある。ライ角63度の横向きパターでは視線はライン上にない。

カップとボールを結んだ線があり、ボールを見る視線があり、そしてカップを見る視線がある。前向きパットの場合、全ての線が重なり、一本の線になる。横向きでも眼がボールの真上にあれば同じことが起こる。

方向性という点でそれは有利だから、横向きでは眼をボールの真上に置くという考えになるのだろう。ところがそれでは距離感はどうやって生まれるのか。距離感には三角測量しかない。
残念ながら前向きパットでも、眼をボールの真上に置いた場合の横向きでも、測量の精度は眼と眼の間隔の広さに依存し、かなり制限される。その間隔で距離を見ているわけだ。ところが、眼をボールの真上に置かないのならば、話は違ってくる。

ライ角63度の横向きパターでは三つの線を結んだ平面は地面に垂直にはならないで、やや斜めになる。したがって測量は眼と眼の間隔に依存しない。この平面が地面に同化すると距離感は完璧になるが、逆に方向感はゼロになる。

横向きの距離感と前向きの方向感、それを同時に実現するにはどうすればいいかと考えながら、久しぶりに横向きパターを使うことにした。前向きで方向感が出たから、横向きの方向感の誤差を校正できる。

補正とか校正は元が正確であればあるほどいい。横向きで打ったときにどちらにどれだけブレるのか、それは前向きから換算できる。距離感は前向きよりいいに決まっている。

初めからパットの上手なゴルファーを除けば、パットの技術は方向感と距離感だから、両方を鍛えればいい。私は前向パットだが、別にこだわっているわけではない。方向感が問題だと思うゴルファーは一時的にでも前向きパットで方向感を養えばいい。

つまり前向きパットは横向きパットの精度を上げるために一度は使ってみる価値があるということだ。最終的にどちらに落ち着くか、そんなことは気にせず、とにかく方向感の訓練には前向きを、距離感の訓練には横向きを使う。

要はパットがうまくなればいいわけで、横向きの練習だけでは限界を感じている全てのゴルファーに、私は前向きパットを勧める。練習の時だけでもいいから、前向きを試みてみたら如何だろう。

パターは横向き用でも間に合うが、出来れば前向き専用の方がいい。使っていないパターのライ角を曲げて78度にするだけでいい。本当に前向きで行くと言うなら、私の作る前向きパターを使えばいいと思うが、売るほどの持ち合わせはない。 筆者

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