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だいぶ前のタイトルに、ジョン・マッケンローのサーヴを引き合いに出して、手首の動かし方には2種類あるという話を書いた記憶がある。投手がボールを投げるとき、バックスイングで手首は手の平側に折れている。

女性はボール投げをしなかったせいか、手首の使い方を知らない場合が多い。バックスイングで、ボールを握った手首が手の平側に折れないのだ。手首の動きを、時間経過を無視してただ空間的な変化としてとらえれば、確かに手首は手の甲側に撥(は)ねてから手の平側に閉じる。

野球のボールが鉛で出来ていたら、それはとても重いから、余程手首の強い人でも、オーヴァースローで投げるときには手首を甲側に折ってそば屋の出前のようにボールを手の平の上に乗せる形からスタートする。(普通の投げ方は出来ない。手首が壊れるから。)

そこから手首を手の平側に折りながら投げる。これは手首を筋肉を使って動かしている。手首の使い方を知らない女性は軽いものを曲げるときでもそれと同じ動きで投げるので遠くへは投げられない。

手首は筋肉の働きで動かすことが出来るが、その力ではボールを遠くへ投げられない。手首は棒の付いたカスタネットのように動かす。動かすのは棒で、その動きでカスタネットは強く打ち合わされる。

つまり手首はフリーの状態で何もしない。動くのは腕で、その動きで手首が激しく動かされる。野球のバッティングはそれに近い。だから飛ぶ。ただしバットが1キロほどあるから手首の筋肉を使って打っているような感じもするが、動かし方は棒付きカスタネットだ。

ところが一般的なゴルフスイングではこの方法は使わない。ボールがどこへ飛んでいくかわからないからだ。特別な感性を持ったゴルファーだけがこの方法でまともなゴルフをしているが、特別でない多くのゴルファーは失敗し続けるか、あきらめる。

トップからダウンスイングにかかるところの、手首の切り返しを棒付きカスタネットでやるか、それとも切り返しをせずに手首の筋肉の力で制御しながら、滑らかに折り返すか。ゴルフスイングは後者を選んだ。

つまり、ゴルフスイングでは左の手首が一旦手の甲側に折れてそれが戻る動作を、全く使わないスイングと、動作はあるが筋肉でコントロールしながらやるか、この二つのどちらかを使うのが普通のゴルフスイングだ。

私は手首を動かさないが、そういうゴルフスイングは一般的ではなく、一般的なのは女性のボール投げのように、意識的に左の手首を甲側に折り、そこから意識的に戻すやり方だ。

このゴルフスイングをバッティングで使えばヒットは出てもホウムランは出ない。それに打ったボールの速度が速ければ野手のそばに打っても外野へ抜ける確率が高いから、そうなるとヒットを打つにしても、強いボールを打つことの方が、内野手のちょうど真ん中を抜ける絶妙のコントロールで弱いボールを打つより有利になる場合も出てくる。

だから余程腕っ節が強くない限り、野球選手は棒付きカスタネット方式で強いボールを打つ方を選んだ。つまり手首の切り返しを腕の動きによって作り出すということだ。

右腕を水平に、手の平を下にして前方へ伸ばす。そこから水平を保ったままひじを曲げて、手の平を下に向けたまま手を顔のそばまで持ってくる。そこから勢いよく腕をもう一度伸ばしたとき、手首がカスタネットになる人とならない人が出てくる。

投手はそのカスタネットで速いボールを投げているが、手首は最初甲側に倒れ、次に反転して手の平側に倒れる。この動きの量が多ければ多いほど、速いボールを投げる素質があるわけだ。

バッティングの場合も、グリップをあまり強く握らず、腕の振りによって手首をフリーランさせる。だから長距離バッターほどバットを強く握らない。ヒットメイカーは逆に、しっかりとバットを握りしめる。バットをフリーランさせず、腕力でバットコントロールと振りの両方を行うからだ。

(長距離打者は時々誤ってバットを放り投げることがある。あれはバットを強く握っていないからで、逆にヒットメイカーはまずバットは投げない。)

100を切れないゴルファーを別にすれば、バットスイングで270ヤードを真っ直ぐ打てるゴルファーはシングルになっているが、そのパーセンテイジは10パーセントに満たない。残りのほとんどのシングルはゴルフスイングでゴルフをしている。

見方によれば、100を切れないゴルファーの半分以上が、飛距離の魅力に魅せられてバットスイングを捨てることが出来ずに、何十年もゴルフをしているのかも知れない。

このタイトルはバットスイングで飛ばすゴルフをするよりも、ゴルフスイングで確実なゴルフをした方がいいと考えたゴルファーに、二つのスイングの違いを理解してもらうために書いた。

冒頭のジョン・マッケンローは非常に希有なサーヴィススタイルを持っていた。彼はバックスイングで手首を手の甲側に倒してラケットを支えた。つまり彼は棒付きカスタネット方式を使わず、遠くまでボールが投げられない女性達と同じ手首の使い方でサーヴを打っていた。そんな打ち方をするのは後にも先にも彼しか知らない。 テニスコーチの筆者

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