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0330 前向きパターの設計法
前向きパターは横向きパット用の普通のパターに比べて設計の自由度が小さい。その理由は前向きパットは横向きパッティングに比べてストロークに関する不確定要素が極端に少ないからだ。パターにとって真っ直ぐ打ち出すために何が必要かと考えたとき、横向き用パターは使う人のスイングによって千差万別、何だってありだという感じがする。

昔はL字型のパターが多かった。それはトルクが最大で、そのトルクによってフェイスの向きを関知する。昔は感性のゴルファーが多かったのだろう。しかし現代のパターはトルクを小さくする方向へ向かっている。感性で勝てる時代からむちゃくちゃな努力とパワーで勝つ時代になってしまった。オデッセイなどはその傾向の言わば終着駅だろう。

私がいつもやるようにパターをテーブルの上に寝かせ、ヘッドだけテーブルから外へ出す。そうするとヘッドはある決まった向きで停止する。L字型はアイアン同様フェイスが横向きになる。しかしトルクのないクラブは置いたまま回転を始めないはずだ。オデッセイはどうか知らないが、たぶんフェイスは上に向く。トルクがないからだ。

横向きパット用のパターにとってトルクがないのがいいことではない。オデッセイの流行が終わればみんなそれに気付く。しかし前向きパット用のパターはトルクゼロでなければ意味がない。真っ直ぐ引いて真っ直ぐ打つことの出来る唯一のスタイルだからだ。

したがってテーブルに乗せたパターのフェイスは真上か真下を向かなければならない。あるいはフェイスがパターを置いたまま動かないパターでなければならない。要(よう)はパターヘッドのセンターラインに対してトルクが発生しなければいいのだ。

L字型パターのように最大トルクのパターはヘッドの先の重さのせいで、びびって打ったときは左に引っかけやすいが強く打つときは真っ直ぐ打ち出しやすい。逆にヘッドの先の方へシャフトを差してあるパターは逆トルクになるので滅多に引っかけは出ないがフェイスの向きを手に伝える情報がないので打球感がないというか、悪い。

横向きパットではパターヘッドに「先」と「手前」か生じる。つま先とかかとでもいい。パターを完全に垂直に立てて振ったにしても人間の体の構造のせいでパターフェイスはバックスイングすれば開きフォロースイングで閉じる。そのためどうしてもつま先とかかとは同じ距離動くことができない。つま先の方が余計に動く。

そうなるとつま先が早く動けば左へ引っかけになるし、かかとが走り過ぎればプッシュアウトになる。それを補正するために幾らかトルクが出るように作る。自分のパターをテーブルの乗せてみれば、たぶんフェイスはやや上を向く。その状態のままフェイスの向きが変わらないよう注意しながらシャフトを起こしてくると、そのパターはシャットになりたがるように作ってあることに気付く。

最近のパターはそのシャットになりたがる度合いが小さくなってきているが、トルクゼロだとプッシュアウトしやすくなるので補正する。ただこの補正はボールを打つ強さ、つまりパットの距離によって変わるので距離ごとに補正しなければ本当には意味がない。だから横向き用パターの設計は何でもアリなのだ。

現代風のパターはトルクが小さいのでフェイスの向きを関知する情報は視覚だけになっている。その代わりトルクによって起こる思わぬミスヒットもない。テニスラケットの歴史も同様で、いわゆるデカラケが作られ打ちやすくなった代わり、真芯で打っても鋭い打球は出なくなった。

それで世界ランク上位3人はフェイスの小さなコンヴェンショナルラケットにこだわったが、残りの全てのプロはデカラケを使うようになった。ミケルソンは現代のパターを使わない。タイガーもやや昔のタイプを使うだろう。それ以外は全てトルクの小さなパターを使っている。

前向きパターにはつま先もかかともない。パターヘッドの両端は「左右」と呼ばれる位置関係にある。だからスイングの性質としてのトルクはほとんど発生しない。したがって前向き用のパターをテーブルの上に乗せた場合フェイスは必ず真上か真下を向くように作らねばならない。そうしないと真っ直ぐ振って真っ直ぐ当たらない。

フェイスが真っ直ぐ上に向くかあるいは真下に向くか、それは自由である。ただ常識的な人が作ればフェイスは真上を向く。その原理はパターのお尻の方を重くするからだ。私はそれに反対意見を持っているが、この点に関しては設計上自由である。

前向き用パター設計上の最後の問題点はライ角12度以上という規定で、これがあるために本当の意味でリニアなスイングにならない。その分だけわずかなトルクが発生する。私はその微(かすか)なトルクを補正した。

テーブルの上に乗せたパターのフェイス部分が20度ほど開く、つまり向かって左側にヘッドがあって右にグリップエンドがあるとした場合、私のパターフェイスは下向きで、かつやや私の側に向いている。私の左足元の方向を見ている感じになる。水平から約20度傾いている。

このセッティングはまだテスト段階だが、この部分は設計者の自由である。結局前向きパット用のパターは基本的にトルクゼロで作るのが絶対条件で、そうなると設計の自由度はほとんどなくなる。シャフトの差込角(ライ角)は12度以上あればいいのだが、前向きの性質上12度ぎりぎりで作るのが普通だ。

もう一つ設計上の自由があるのがロフトだが、普通のパターは3度程度のロフトがある。しかし前向きパターの特長を生かすにはボールのうしろに立って打ちたい。横向きでは目の下にボールがあり、それはまるで90度のプリズムを付けた反射望遠鏡をのぞき込むような感じで実に不自由である。

屈折のいいところは目標の天体に望遠鏡の筒を向ければいいことで、それは実にわかりやすく使いやすい。ところが反射鏡はそうは行かない。目標と90度違う方向を向いて目標に照準を合わせるのはかなりやっかいな作業だ。横向きはそれをやっている。

ニクラウスのようにボールを左一杯に置いて何とかボールの後方に目を置こうとするタイプでも、前向きにはかなわない。と言うわけで前向きパットの有利を活かすにはボールの後ろからボールと目標を同時に視野に入れる。したがってロフトは小さくする方がいい。ボールを30センチ前に置くならばゼロでもマイナスでもいい。それでボールを打ったときにちょうど3度くらいのロフトになる。

前向きパター設計の要点はパターのセンターラインに関してゼロトルクでなければならないことだ。そしてたぶん効果的だと思われるのはまずバランスしたときにフェイスが上を向くのがいいような気がする。以前書いたとおり、パターの後方に質量があるとパターを引くのは大変だが打つときが楽だからだ。

次に効果的だと思われるのはボールをなるべく前方に置くことを前提にロフトをそれに合わせて小さくすることだ。フェイスの素材はルールぎりぎりのソフトなものを使いたいと思うが、これについては好みが出てくる可能性があるので必ずしも効果的だと断言は出来ない。

最後に考えるのは12度以上というライ角の規定で、この規定があるおかげで前向きパターは完璧には作れない。ルールは前向きパターの恐ろしさを知っていてこの規定を設けた。12度の影響を補正することは出来るが、スイングに個人差があるので最良点は無限にある。

したがってこの点では横向きパターと同じ泥沼にはまる。しかし横向きに比べたら補正値は桁違いに小さな値なのでその補正のためにトルクゼロという基本を破る必要はない。その日の体調の方が余程大きく影響するだろう。 筆者

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