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0356 ゴルフクラブのセットが変わりはじめる
ブブックを公開した当初から、ウッドはアイアンよりもやさしいと言い続けてきた。ヨネックスが作ったウッドもどきのアイアンセットがなぜ爆発的に売れなかったのか、なぜ定着しないのか、普通の人が考えることは私には理解できない。
私はフェアウェイからの150ヤードを6番アイアンで打つ。ティーアップしてもやはり6番で打つが、その先はティーアップしたときと地面からでは使うクラブが変わる。165ヤードを残している場合、私は3番アイアンを持つ。同じ165ヤードがパー3のティーならば4番を持つ。
これがもしもウッドのようなソールの広いクラブなら、ティーアップしようがフェアウェイだろうが、距離に合った同じクラブを持つ。同じ距離飛ばせるからだ。むしろティーアップしない方が距離が出る。私にとってアイアンとウッドの差はそういうことなのである。無論熟(な)れればどちらでも同じになるが、相当熟(な)れなければならない。

アイアンとウッドの差は何か。なぜアイアンが作られたのか。ウッドはボールを打ったあとにフェイスが地面に潜り込めない。だから安全なのだ。アイアンは打球のあとヘッドを地面の下まで打ち込める。つまりボールに多くのスピンが掛けられる。
アイアンが生まれたのはボールの表面にディンプルが出来る前の話だ。ディンプルはスピン量を劇的に増やした。ついでに揚力も桁違いに大きくなった。アイアンというと短いクラブでピンをデッドに狙うイメージがあるが、初めて生まれたアイアンはショートアイアンではない、と思う。
ボールにスピンを掛けて揚力を稼ぎ、飛距離を出すにはクリークよりもドライヴィングアイアンの方が有利だったのだろう。ディンプルのないツルツルのボールを打つならばその方が飛ぶ。したがって最初のアイアンは長いアイアンであったはずだ。
現代ではバックスピンはグリーン上でボールをとめるためにある。アイアンは打ち込めるから、ただロフトだけに頼ってパッシヴなスピンを掛けるよりもはるかに大きなスピンが掛けられる。だからアイアンが出来た、のではない。だからショートアイアンからアイアンが開発されたのでもない。
だからアイアンセットが出来たあとにウェッジは作られた。もしもアイアンがバックスピンでボールをとめるために開発されたのならば、最初に作られるのはウェッジであったはずだ。アイアンは飛ばすために作られた。ディンプルがない時代に。
今やアイアンはボールをとめるために欠かせない、と、プロのトーナメントを見ているゴルファーは思う。しかし私たちがプレーするゴルフ場で、グリーンエッジ手前がすぐに池で、しかもカップがエッジから1メートルのところに切ってあるような恐ろしいセッティングはない。
私は残り170でクリークを使う。手首のロックを外した打ち方なら5番アイアンでも届くが、ティーアップ出来ない限りアイアンは使わず、ウッドを軽く打つ。その方が打ち損じが少ないからだ。
私はウッドを5本持っている。ブラッシーはうまく当たると220ヤード飛ぶ。ロフト15度のスプーンが210ヤードで、伝家の宝刀19度のバッフィーは190ヤードほど飛ぶ。そしてクリークが180まで。目下の問題は160ヤードから170ヤードを安心して打てるクラブがないことだ。
そこでロフト25度程度のウッドを作ろうと思っているうちにふと、アイアンはいらないのではないかと思うようになった。サンドウェッジでさえドライヴァーのロフトを56度にした形の方がザックリやらないで済む。
サンドウェッジはソールが大きいが、あれは地面に平らに置けるような形ではない。だからフェアウェイからコントロールしようとするとザックリやる。やはりウェッジも地面を滑るようなウッド型ソールで作る方がいい。
飛距離とミスショットの両方を考えてみて、限られた練習量でいいスコアを出すにはあの忘れられたヨネックスタイプのアイアンセットが最適だと、そういう結論になった。昔からそうだったのかも知れない。
プロにしても、何時までもディンプルのないボールを打つために作られたアイアンを使う必要はない。近い将来彼らもそれに気付くはずだ。すでに過剰なバックスピンを減らす必要に迫られているアメリカツアーのプロゴルファーたちは、そのうちに地面に打ち込めないクラブの必要性に気付くだろう。

その上ウッドの方がトルクが少ないから、ヘッドの予期せぬ回転によって微妙に難しくなるコントロールショットを避けられる。現代的な言葉を使えばハイブリッドというのだろうが、アイアンは程なく全てウッド型ソールのハイブリッドになる。その方がプロもアマチュアもゴルフが楽になるから。

ゴルファーはなぜアイアンが開発されたのかその事実を知らない。だからウッドのあとに開発されたアイアンの方が高級だと信じている。ディンプル付きのボールが出来たときに、すでにその神話は崩壊しているのに、誰もそれに気付かない。
ハイブリッドは非力だから使うわけではない。それがアイアンより優れているから使うのだ。アイアンを打ち込んでスピンを掛け、その揚力で飛距離を伸ばすパワーがあるなら、素直に打ってやさしいゴルフをする方が合理的だ。
私の場合、今のところはウッドのソールでロフトがアイアンセットと同じになっているものを作ろうとしている。これも作って使いながら改良しなければならないだろう。安易な想像力では優れたハイブリッドは作れない。ヨネックスが失敗したのもそこに原因があったのかも知れない。
それにしても、ゴルファーというのはいつまでたっても保守的だなぁ。筆者
ティーショットをラフに打ち込むことの多いプロゴルファーにはアイアンが必要であり、新世界のゴルフセットは似合わないが、これはあくまでプロのレヴェルの話に限る。
アマチュアはたとえラフからでもアイアンよりウッドの方がいい。グリーンまでの距離に合わせたウッドを持ってラフの中のボールを打つのは無謀だが、ただ出すだけの場合、7番アイアンよりも7番ウッドの方が安全に出せるし距離も稼げる。

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