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「スライス三重苦」の中で、右足かかとを上げなければ初心者のスライスはほとんど押さえられると書いた。そして最近になって、シャンク予防にも効果があると気付いた。

さらに、上級者が飛距離を犠牲にしてショットのコントロール性を重視する場合、右足かかとを上げる量を減らすと当然スイングのブレが小さくなって、安定感が増す。と、ここまで書いて思い出した。

右足かかとを上げないスイングはアップライトスイングでは自然だが、フラットスイングで利用するには工夫が必要だ。この話はとても長くなって嫌なのだが、大事な話なのでここで改めて書く。

(すでに以前のタイトルに書いたことを再び書かねばならなくなった理由がある。アメリカは研究熱心で、何でも最先端の研究をしているが、自分の置かれた状況でしかものを考えない。

人種が違って体格や体力が違うときにどうなるかということは考えない。それはやむを得ないことで、全部を考えていたらなかなか先へ進めない。ということで、アメリカの理論は常に自分を対象としている。

彼らのいいところは、それがほかで通用すると断言しないことだが、それにしても、まるでその理論がすべてのように聞こえるから困る。本人は決してそう考えてはいないことを、ここでアメリカのために弁護しておく。

日本の近代文化はドイツの流れを汲むので、部分的な理論は特殊理論とことわる習わしがある。だから誤解は生まれない。アメリカ人の平均身長から、彼らが考えるゴルフ理論はアップライトなスイングに限られる。

ところが、フラットなスイングはアップライトとは根底から違った動力源で動いている。アメリカはそれを知らない。というか、用がないから考えない。そういう理論をフラットスイングに混ぜようとすると、非常に高度なコンヴァーターが必要になる。

そういう事実に気付かなければ、話はややこしくなるばかりだ。)

テニスのサーヴの話を使って十分説明したタイトルがどこかにあるので、そちらを読んで理解された方はこれを読む必要はない。「右足かかと」を上げるかどうかは、スイングの本質に抵触する話である。

腰の捻転を使ってボールを打つ打法は野球のバッティングやテニスのストローク、あるいはゴルフのフラットスイングなどで使われている。腰の捻転と言うくらいだから水平に振るスイングほどわかりやすいし、力が出しやすい。

ところが、ゴルフはクラブをかなり縦に振るので、腰の捻転とは全く違う方法でボールを打つことが出来てしまう。これに気付かないゴルファーやコーチは、それぞれ全く違う形式の動力を使っているのを知らずに、意味のない議論を続ける。

それぞれの方式が全く違うことを理解した上で、どちらがいいか、というならば議論になるわけだが、同じように見えるゴルフスイングだから、気付かない。そうするとスイングの細部に対するアドヴァイスがトンチンカンになる。

私はテニスコーチなので当然サーヴも教える。日本には軟式テニス(ソフトテニス)という独自のスポーツがあって硬式と区別されるが、フォアハンドとバックハンドを両面使って打つ硬式と、片面だけで打つ軟式と、その程度の違いしかない。

卓球でペンという握りではフォアもバックも片面で打っていたが、シェイクというのは両面を使っていた。今はどうなっているのか知らない。ところがある時、テニスのサーヴが硬式と軟式では全く違うことに気付いた。

外から見ると同じようなサーヴに見えるが、足が違う。レンズシャッターとフォーカルプレーンのシャッターくらい違う。どちらでも写真は撮れるが、全然違う。サーヴはスイングが縦に動く。ここでゴルフスイングと関係してくるのだ。

軟式のサーヴ゛は腰の捻転で打つおなじみの方式だった。サーヴは縦に振るスイングだが、横に振るための腰の捻転で言わば代用していた。軟式のボールが軽いゴムボールなので、あるレヴェル以上の力を加えてもボールの物理的な性質が飽和して、意味を持たなくなる。だから人間の限界のパワーを使うことに意味がなかったからだろう。

腰の捻転で打つとき、足は地面にしっかり根を下ろす。腰から上を捻転させたときに、反作用で足は逆方向に捻転しようとする。足がしっかりと大地を踏みしめてがんばっていれば、エネルギーが全部ボールに加わる。

ところが硬式のサーヴはボールが硬いからもっとパワーを入れられるし、サーヴは縦に振るので、別の方法が使われている。腰の捻転はほとんど使わないのだ。ごくまれに、軟式と同じ原理のサーヴをするテニスプレーヤーがいるが、日本には比較的多いが、海外にはほとんどいない。

前に書いたと思うが、ドイツ人の二人のウィンブルドンチャンピオンは、実に対照的だった。ベッカーは典型的な硬式のサーブをし、一方、マイケル・シュティヒは外国人には非常にまれな、軟式流のサーヴをした。

(簡単に見分ける方法がある。サーヴした後に、左足から次の一歩を踏み出せれば、それは両足で地面を蹴る硬式流の打ち方である。軟式流の、腰の捻転で打つ場合、左足からは踏み出せない。無理にやろうとすればこける。)

あなたのゴルフスイングがアップライトか、それとも腰の捻転で打つフラットか、それを判別するのは簡単だ。ゴルフクラブ一本持って千鳥が淵へ行き、ボートに乗る。ボートの上でゴルフスイングをしてみる。

このとき、腰の捻転で打つフラット系のスイングならば、あなたのスイングが縦振りに見えようが横振りに見えようが、スイングした瞬間、ボートは急に左へ回転する。捻転の反作用だ。

それに対して、あなたのスイングがアップライトならば、ボートはさほど回転せず、それよりも一瞬下へ沈み込む。テニスのサーヴならばもっとわかりやすい。

アップライトに振るということは、両足で地面を蹴ってパワーを生み出すことだから、テニスの場合、腰の捻転で振ればやはりボートは回転するが、両足で地面を蹴るその反作用で打つ場合、サーヴを打った瞬間、足下をすくわれるというか、ボートが後方へ走り出して、本人は前方の池へ飛び込むことになる。やって見ればすぐわかる。

右足かかとを上げるか上げないか、それはスイングの本質に影響を与える。もっとも、二つの異なる動力は、厳密に言えばどちらか一方だけ使っているということはなく、多少なりとも混ざっている。

スイングで右足かかとが上がるのは右足で蹴るからだが、アップライトでは両足で地面を蹴るから当然右足のかかとも上がるが、その上がり方は腰の捻転を使うスイングと違って、ただ上がるだけだ。

それに対して腰の捻転で打つスイングでは、右足かかとはひっくり返るようになる。私はアップライトがいいと言っているのではない。ものを知らないコーチはそこを誤解するはずだから、ここに再度この話を書いた。

アップライトなスイング理論で振れば、右足のかかとはさほど上がらない。だからといってアップライトがいいわけではない。フラットスイングの方がいいとも言えるし、アップライトも捨てがたい、とも思う。

大事なことは、右足かかとを上げないことが、ゴルフスイングがアップライトかフラットかとは別の次元で、両方とものスイング理論について考慮すべきだという事実だ。 筆者

古典的スイングは右足かかとがひっくり返るほど右足の蹴りを使う。それがパワーを生み出すのは現在でも変わらない事実だが、道具の進化と、プロゴルファーの体格が全体的に大柄なゴルファーへとシフトしてきた関係で、飛距離とコントロールの妥協点もシフトしてきた。

つまり右足の蹴りをあまり使わないスイングが、特にロングヒッターのプロゴルファーに見られるようになった。昔からごく少数のロングヒッターには似たような傾向が見られたが、最近その数は増えている。

右足かかとを上げないとシャンクしにくい、というのはシャンカーが聞けば実にありそうな話で、それは実際効果がある。同時に、上級ゴルファーがショットの安定度を上げるために、もしも飛距離という要素との妥協点があるならば、右足かかとは必要以上に上げないスイングは効果がある。

ただし、スイングがアップライト系の動力源を使っているのか、それともフラット系の動力源を使っているのか、自分のスイングの基本を知った上で、考えるべきことだ。

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