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パットが下手でコロガシはうまい。ボールがグリーンエッジにとまっている。7番アイアンでほんの70センチ打てばグリーンへ直接オンする距離だ。そこからボールは2メートルほど転がる。

そんなところにカップが切られていることはないが、都合2.5メートルだからカップインする確率はかなり高い。これがグリーン上にとまっていると、たとえ2.5メートルでもパターを使わなければならないから、入る確率はほとんどゼロに近い。

7番で転がすとき、力加減はパターと変わらない。芝の抵抗分だけ強くなるが。ところが、コロガシでは膝の送りで打つ。手では打たない。もしもアイアンをパターと同じように手だけで動かしたら距離感が合わなくなる。

これは私にとって大発見だった。パターは腕だけを動かすことになっている。頭も足も、とにかく体は微動だにしてはいけない、ことになっている。それは正しいと思うが、そうするとパットはゴルフスイングとは全く別のものになってしまうのではないか。

イスに座って両足を上げた格好からスイングすると何が起こると思うか。変な感じになる。体はスイングの反作用で、スイングと反対の方向へねじれる。それではショットもパットもうまくできるわけはない。

千鳥が淵のボートの上でドライヴァーを振ったことはない、が、ボートの上で振ればボートは右へ回転する。スイングと逆方向へ回る。それが反作用だ。つまり私たちは足を使って踏ん張ってスイングしている。

地面は絶対的に動かない巨大なおもりだ。それに基礎を打って、私たちはスイングする。ボートの上でも普通に打てるのはイチローくらいだろう。そのイチローだってホームランを打とうとすれば踏ん張らねばならない。

スケートリンクの上でパットをすれば、パットの名手でもうまくは打てないと思う。足が滑って動くからだ。つまり、体を動かさないで打つパットでも、本当はドライヴァーショットと同じように足を使っているのだ。

どんなに小さなスイングであっても、それで体が動かないということは、踏ん張っているからだ。足が踏ん張っているということは、ドライヴァーショットと同じことだ。ここまで来て、はたと考え込んだ。それなら私はなぜパットが下手なのか。

私とラウンドした人は私のパットで爆笑する。パットが下手なだけならそこまで笑えないだろう。なぜそこまで笑えるかというと、ショットの正確さとパットの不正確さとのギャップがあまりに大きいからだ。

私はアイアンでコロガシをするとき、膝を送って打つ。手の動きでは打たない。手の動きは微妙なコントロールに適していない。動かすことは簡単でも、ピタリと瞬時にとめることは出来ないからだ。その点、膝の送り、つまり体全体の動きの方は安定している。

ものを動かすとき、ただ動かすだけならどんな力でもいいが、たとえば正確に1センチ動かす、ということになると動かし過ぎが問題になる。どうするか。質量に頼る。だから手の力より体全体の力を使うしかない。

パットは距離感が全てだ。その力加減が出来ないからパットが下手なわけで、それなら何で同じ力加減のコロガシがうまいのか。その理由はゴロガシやチップショットのタイトルに書いてあるが、原因はひとつではなかった。二つあった。

パットをするときに、私も体を動かさないで打つ。ヘッドアップはもちろん、膝も動かさない。ところが、今発見したように、どうせやっていることはショットもパットも同じなわけで、やはり足で踏ん張っていたのだ。

そうなるとイスに座って両足を上げた形からパットをするような不自然さが起こっている。しかし本人は気付かないから実に不自由な格好でパットをしていた。パットだって足で踏ん張っている、ということを了解した上で考えると、話は早い。

プロゴルファーを別にすると、一般のゴルファーの中にはパットはむちゃくちゃうまいのに、ショットはそれほどでない、という人がいる。以前からそのことは気になっていた。運動神経とパットのうまさが連動しないのはなぜか。

私はテニスコーチだから言わば職業運動家だ。運動神経が悪いはずはない。当然ショットは安定している。コロガシも非常にうまい。なぜパッティングだけ、救いがたいのだろう。

それはパットをするとき、運動神経を使わない方法を用いていたからではないか。それなら運動神経に縁のない人がパットの名手、ということもあり得る。体育の通信簿が3以下ということは、突き詰めて考えると体重移動がわからなかった、ということである。

ゴルフでボールが飛ぶか飛ばないかは、体重移動が45パーセント影響する。残りは「スイングスピードとヘッドスピード」にある。したがって運動神経がある人は常に体重移動を使って生活している。眠っているときを除いていつも上手に体重を移動させて生活している。

私はパットするとき、いつも何かしら不自然さを感じていた。それは体重移動をしないスイングでありながら、しかし実際はドライヴァー同様に足で踏ん張っていたからだ。足で踏ん張るというのは、体重を移動させてはいないが、移動するはずのものを移動させない力を使っているという点で、体重移動をしているのと同じことだ。

この事実により、私はパットのスイングを変えてみた。前向きなので横向きのゴルファーとは違うが、ボールを打つときに体が少し前に出るのを今までとめようとしてきた。ボールはイメージより強く出る。それは体重移動分だから当然だったが、それをとめる努力をやめた。

その代わりに積極的に使うことにした。体の動きは手の動きよりも重厚で、安定している。手を動かす代わりに積極的に体の動きでボールを転がすことにした。前向きなのでその動きが方向に影響することはない。

横向きの場合、体の動きはいわゆるスウェイになる。方向に影響が出るかも知れないが、本質的な考え方からすれば、手で打つよりも体をシフトさせることで生み出す力は距離感について手の力より安定しているし、制動がかけやすい。

行きすぎ、打ちすぎを瞬時に関知できた場合、それをフィードバックしてパターヘッドをコントロールする能力を、体と手で比較すれば、体の方が高速だし制動するパワーも桁違いに大きい。

というわけで、横向きのパットでは膝を送る気分で打った方が距離感が出る、という結論になった。体を動かすなというパットの掟は、運動神経のない人に非常に有利に働いているのではないだろうか。 筆者

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