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軽く打っているようで異様に飛ぶスイングの多くは体の大きさのせいで、テレヴィでは誰か大きさのわかっている人と並んでくれないとわからない。筋肉モリモリでも飛ぶらしいが、その場合はそのパワーを使ってスイングを速くするのだから目に見えるのが普通だ。

ところがポール・ケイシーのスイングは速くは見えない。筋肉質なのはわかるが、だから飛ぶと言えるその仕掛けが見えない。力学的には彼のアイアンが重さ4キロもあれば飛ぶかも知れない。4キロのアイアンを400グラムのアイアンと同じ速度で振っているなら話が早い。しかしそんなこともないだろう。

軽く打っているように見えて飛ぶスイングの仕掛けは一つではないが、大元(おおもと)はケプラーの法則で、それを実現する方法に違いがある。最近ダスティン・ジョンソンというゴルファーを見て驚いた。ケイシーと全く同じスイングをする。まるでケイシーの弟子のようだ。(ほとんどターフを取らないアイアンショットも不思議だが)二人のスイングには或る共通した特徴がある。

フィニッシュでのクラブシャフトが不自然にフラットになることだ。縦に振っているのに突然中村虎吉のフィニッシュになる。その不思議を解明しようとここ数日考えた。そして自然に彼等と似たようなフィニッシュを取れるスイングがあることに気付いた。それは右手と左手の握りを離して振ってみることである。

野球のバントと言うかホッケーのスティックを持つような持ち方をして振ると、あら不思議、ポールー・ケイシーになった。それってどういうことなのだろう。これでボールを打っても飛距離は出ない。シャフトが短くなったのと同じことだから。

右腕が左腕を追い越す瞬間の、つまり両腕が交差するときの左右の握りこぶしの速度差が大きければ大きいほど、それは当然シャフトの先の速度を大きくする。てこの原理で両腕を離してする場合は楽だが詰めて握ったらとてつもないパワーが必要になる。急角度に引き下ろしたシャフトをヘッドの遠心力によってインパクトへ持ってくる普通のやり方とは幾分違う。

しかし意識的にやるかやらないかの違いだけで、誰でも多かれ少なかれ右腕のパワーで追い越し動作をしている。ケイシーの方法は遠心力に頼らず、初めから自分の腕の力で追い越し動作をする。ゴルフを始めたときからそういうスイングを心がけていればかなり飛ぶようになるだろうが、お薦めは出来ない。

というわけで、ポール・ケイシーのスイングはケプラーの法則から2000年も前の紀元前数世紀、ギリシャのアポロニウスの周転円を使って作られていることがわかった。彼のスイング全体が従円であり、手首の所に周転円がある。つまり手首はスイングに従って大きな円運動をするが、その手首の所にもう一つ小さな円があって回転する。

大きな方の円運動が終わる前に小さな方がくるっと回り切ってしまうので、私たちはその周転円の方のフィニッシュを見て奇妙なフィニッシュだと感じてしまう。実際そこでスイングをやめてしまうから余計にそう見えるのだが、大きな方のスイング、つまり従円を最後のフィニッシュまで続ければシャフトはそれなりの位置に納まるはずだが、見たことはない。

ゴルフスイングは円運動だと言われている。周転円の場合も従円が1回転するのに同期してピタリと1回転すれば周転円は見えない。それがいわゆるゴルフスイングの円運動だ。しかしポール・ケイシーのスイングは周転円が同期せずにくるくる回る。実際は1回転しかしないが、従円、つまり普通に言われるゴルフスイングの円運動1回分の間に約3回転ほど回るタイミングを持っている。

ゴルフスイングは単純な円運動ではないらしい。ところで周転円の動力は何かというとそれは腕力である。力学は腕力を扱わない。ポール・ケイシーの飛距離が不思議に見える理由もゴルフスイングを自然界の力学で見過ぎるせいだろう。筋肉モリモリは自然の力をねじ伏せ、思わぬ仕掛けを作る。筆者

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