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レディースシャフトはLと表示されている。Rは普通の男性が使うシャフトで、Sは硬いシャフトだ。プロはXというもっと硬いシャフトを使う。それでは女子プロはどうか。たぶんRを使っているだろう。

女子プロのトーナメントは大体レギュラーティーからプレーされる。つまりアマチュアの男性がプレーするのと同じところからプレーする。女子プロのティーショットの飛距離は同年代の男性ゴルファーとほぼ同じだから、飛距離もシャフトもほぼ普通の男性ゴルファーと同じものを使っているだろう。

ショットの飛距離がもたらす効果は男子プロよりも女子プロの方が大きい。女子プロは小技に優れているからだ。330ヤードのパー4だけが18ホール続くゴルフ場で男子プロと女子プロが戦ったとして、男子プロが必ず勝つとは限らない。

女子プロにとってティーショットの飛距離がスコアメイクにもたらす効果は絶大で、だから飛ぶスイングを考案し、飛ぶシャフトを使おうとする。柔らかなシャフトはエネルギーを貯める。油圧ジャッキのように、軽い力で大きな力を出す。

ただし、貯めるのにも、その力を排出するにも、時間がかかる。そこに時間差が生まれる。ちょっと遅れて力が出てくるのだ。タイミングのズレはなかなかやっかいで、一呼吸遅れるその一呼吸が微妙だ。

指揮者が振る棒はメロディーに合っていない。今出ている音の、何小節か先の音符を振っているからだ。そりゃ難しいだろう。右の耳と左の耳へ、同時に違う言葉を掛けられたら聞き取れるものではない。

シャフトが柔らかいほど、手の動きとヘッドの動きのタイミングのズレは大きくなる。この何十年かの間に、女子プロのスイングが機械的なつまらないスイングになってきたのは、パワーのある選手が少なくなって、エネルギーを貯めるシャフトで飛距離を維持し、そのぶんショットがぶれやすくなるのを機械的な正確なスイングで防ぐ、という傾向があるからだろう。

男子プロにはそういう傾向は見られない。以前よりもっと個性的なスイングの選手が多くなったような気がする。ベン・ホーガンを標榜(ひょうぼう)するプロは今でも少なくないが、5勝以上勝っているプロにベン・ホーガンはいない。

ホーガンと言えば、最近日本の女子プロトーナメントを見ることが多くなったのだが、森田何とかという細身の若手のスイングは古典的で非常に危ない、プロらしいスイングだ。あのスイングには飛ばしの技術が盛り込まれている。

ああいう危ないスイングを、現代の普通の女子プロはやらなくなった。彼女の飛距離はシャフトからでもなく、パワーからでもなく、その危ない飛ばせるスイングから来ている。

たとえば彼女が年に何勝もするために、考えられる道は二つある。ひとつはその飛距離を保ったまま、方向性と安定性を向上させることだ。もう一つは飛距離のマージンを方向性と安定性に振り替えることだ。

飛距離を落としてそのぶんをショットの安定性に替える。特別な才能、感性がない場合、この方法で成功するプロが圧倒的に多い。彼女がシャフトをRからSへ、あるいはSからXSへと硬いものを使用するなら、スイングの改造なしに、スイングは安定し方向性も向上する。

どちらの道を選ぶのか私に知る由(よし)もないが、大抵は才能に賭ける。そして成功も失敗もなく10年が過ぎる。一番見慣れた風景なのだ。

日本の女子プロが硬いシャフトを使い始める日がやってくるだろう。有り余るパワーがあって使うプロはいるが、そうではなく、パワーがそこそこでも、使うプロが出てくる。その時が日本の女子プロの進化の日だ。

硬いシャフトはショットのイメージと実際がピタリと合う。飛距離よりもそのフィーリングにゴルフスイングの楽しさを見いだすプロが出てくることが大事だ。それは柔らかいシャフトを機械的に打つゴルフとは似て非なるものである。 筆者

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