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袖ヶ浦は貧乏なのか賢いのか、砂の薄いバンカーを造った。バンカーが苦手なゴルファーには非常に難しいバンカーである。しかしそれにはサンドウェッジの歴史的な事情が関係している。

50年前のサンドウェッジならば袖ヶ浦のバンカーは必ずしも難しいことはない。袖ヶ浦はそのサンドウェッジに合わせてバンカーを設計したかも知れない。その話をしよう。

私は二本のサンドウェッジを持っている。一本はコンソールという名のサンドウェッジである。これは以前大ヒットしたサンドウェッジで、無論そのころ私は持っていなかった。ずっと後になって研究用に1000円で買ったものだ。

このサンドウェッジはある意味で究極のサンドウェッジだが、またある意味で花火大会最後の、一発の大輪のようでもある。華やかに散ったその後には暗黒の闇が待っていた。

昔からバンカーショット最大の悩みはボールが出ないことだった。今でもそれは変わらないが、内容は変わっている。今のサンドウェッジはただ出すだけを考えた場合、出ないはずはない。

ただ距離感が問題になるので軽く打ちすぎて出ないだけだ。昔はどうやっても出なかった。つまりサンドウェッジ自体は進化した。サンドウェッジは「くさび」である。横の断面三角形のくさびを打つだけの話だ。だからサンドウェッジの進化はくさびの先端の角度を大きくするだけで良かった。

昔のサンドはピッチングウェッジのロフトを大きく作っただけなのでボールは上がらない。ボールと砂の間にくさびを打つとどうなるか。くさびの先端の角度が小さい場合、ボールは動かない。

くさびは軟らかい砂を押し下げるだけでボールを動かさない。硬い土の上にあるボールと土の間にくさびを打てばくさびは下には動かず、全てのパワーがボールにかかる。私のもう一本のサンドウェッジはロフトが63度あってソールは削り取られて全く厚みがない。くさびどころかただの板にように作ってある。

地面から打ってヘッドの力が100パーセントボールを押す状態でさえ40ヤードしか飛ばないクラブをバンカーで使えば直接ボールを打ってもボールを押す力はかすかで、ロフトの関係で上に飛ぶにしてもほとんど飛ばない。

つまりこのクラブはコントロールしないで普通に直接ボールをたたいても上に70度程度の角度で飛び出し5ヤードしか飛ばない。フルショットでも10ヤードだ。

ヘッドの裏に厚みを持たせたサンドウェッジはエクスプロージョンと言って直接ボールを打たなくてもボールは飛ぶ。力加減をすれば好きなように距離をコントロール出来る。直接ボールを打てばもっと飛ぶ。元々それがサンドウェッジの進化だと信じられてきたし、実際それは確かな進化に違いない。

ところがただ出すだけならいいが、加減しないと距離を合わせられない。距離感などと言う贅沢なことを考えない時代に発想された「出るサンドウェッジ」が、今になってゴルファーを悩ませている。

袖ヶ浦のように砂の浅いバンカーはくさびを打ったときに砂が締まって底に当たる。そうするとくさびが下に沈まなくなってクラブフェイスはボールを押すことになる。だからコンソールのような究極のサンドウェッジで打てばボールは吹っ飛ぶ。

雨に濡れたバンカーも同じだ。こういう時には昔のサンドウェッジの方がいい。薄いヘッドは砂に刺さってボールは飛ばないが、くさびの下が硬ければバウンドが起こり、ボールは案外飛ぶ。私が袖ヶ浦でプレーする人に持って行けと勧めたのにはそういう事情がある。

コントロールショットは難しい。だから私はいつもフルショットしかしない。アイアンの距離は番手一つで10ヤードから15ヤードしか違わないのだから5ヤードちょっとの誤差をコントロールショットで補う危険よりも初めから5ヤードショートかオーヴァーを選ぶ。バンカーは出ればいい。だからフルショットでしかも直接ボールを打つ普段通りのスイングで10ヤード先に行けばいいと思っている。

コンソールは30ヤード以上の長いバンカーショットの時に使う。軽く打ってもよく飛ぶので便利だ。上手なゴルファーはコンソール一本で全てをまかなえるだろうが、私にそんな技術はない。だからロフト63度の薄いヘッドのサンドウェッジが必要なのだ。私はバンカーの名手ではないからクラブを選び、その性質を理解して使う。

フルショットで10ヤード、普通に打って5ヤード必ず出るサンドウェッジ。直接ボールを打って出すだけのサンドウェッジ。エクスプロージョンの練習なんか出来ないゴルファーにはこれが一番。

歴史は回る糸車。砂は変わっってきた。テニスコートの人工芝には大量の砂がまかれる。芝を保護し適度の滑りを与えるためだ。この砂は本物の砂ではない。多くは瀬戸物の粉末であり、あるいは一種のコンクリートである。

バンカーの砂は昔から川の砂と決まっているが、今はわからない。袖ヶ浦の古い方はクラブを通り過ぎて真っ直ぐ行けば大網から九十九里浜に突き当たる。新しい方も東金を通って浜に出る。

袖ヶ浦が海の砂を運んだはずはないが、川砂はかなり高価で、海が近ければ海の砂ならただ同然に手に入る。あのバンカーでひどいめにあったゴルファーは「塩辛かった」と言うかも知れない。

わざわざ人工の砂を作ってそれが売れる時代になった。バンカーショットもサンドウェッジも時代の変化に対応する時期が来ているのかも知れない。人工芝用のテニスシューズというのがある。

いつの日にかバンカー用の人工砂が作られ、人工芝用のサンドウェッジが作られるかも知れない。笑っちゃうでしょ。筆者

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