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このクラブは昔はタラコと呼ばれていた。それがいつの間にかおしゃれな名前に変わった。私は商売の邪魔はしないように心がけているが、平均的な日本人ゴルファーにこの種のクラブを持つ意味はない。その話をしよう。

日本で儲けているくせに、日本人仕様のドライヴァーを作らず、アメリカ仕様のドライヴァーだけ作ってそれを日本人に売って儲ける。器用な日本人に頼っていると言えば確かにそうだ。

アメリカで日本人仕様のドライヴァーを売ろうとしても使いにくくて絶対に売れないが、心の広い日本人は不自由を根性で乗り越え、平然と、高価な使いにくいドライヴァーを買い続けている。

メイカーとしては二種類作る手間が省けるのでとても助かるわけだ。日本の企業を日本人が助けているのだから、それはそれでいい。

しかし、ユーティリティーというクラブは、仕様云々(うんぬん)以前に、アメリカ人並の腕力があってこそのクラブだから、それを日本で売り込むというメイカーの姿勢は、恩を仇(あだ)で返しているのと同じだ。
私の腕力はオーストラリアの女性とあまり変わらない。日本で女性と腕相撲をして負ける男性はまずいないと思うが、相手がオリンピックの柔道金メダリストだとわからない。それと同じくらい強い。

先日のTPCトーナメントで、プロ達は175ヤードを7番アイアンで打っていた。7番と言えばロフトが33度前後で、私のミズノの9番ウッドが33度と書いてある。私は7番アイアンだと135ヤードから140まで打てるが、同じロフトの9番ウッドでは150以上飛ぶと思う。

まだあまり使っていないのでわからないが、残り150ヤードを6番アイアンで打とうとして、少しでも登りの傾斜を感じれば、5番アイアンよりも9番ウッドの方が使いやすい。逆風に限って5番アイアンで打つ。

アイアンとウッドが同じロフトの場合、ウッドの方がミスが少ない。飛距離も出る。それだけアイアンが打ちにくいクラブだということだが、それなら何でアイアンを使うかというと、アイアンのヘッドはボールを打ったあと、さらに地面の下へ向かって走る。

ボールに強いスピンを掛けるにはこれしか方法がない。ウッドのように、ヘッドが地面の上を滑るように走るとき、それでもロフトに従ってそれなりのスピンは掛かるが、アイアンとはスピン量が違う。

ただし、「スピンは掛けられない理屈・・・」に書いたとおり、平均的日本人の腕力ではスピンは掛けられない。スピンというのはエネルギーを回転に変えるのだから、エネルギーが足りなければスピンする分飛距離が落ちる。

ウェッジくらいになればスピンは掛かるだろうが、6番アイアンよりも長いクラブでアイアン特有のスピンを掛けようとすれば、それは8番で打つのと同じ飛距離と同じスピン量しか得られないから、意味がない。

つまり、5番アイアンのロフト27度でアイアンを使っても、アイアンを使う意味は出てこない。それより同じ27度のウッドを使う方がいい。女子プロが6番アイアンより長いアイアンを使わないのは、腕力に照らして絶妙なセッティングなのだ。

女子プロのドライヴァーの飛距離がどれほどか知らないが、それよりも何割か飛ぶゴルファーにだけ、アイアンを使う意味が存在する。それでも、だからといってアイアンの方がいいとは言えない。

アイアンは難しいクラブだ。ヘッドが板状なのでトルクが非常にクリチカルだから、ちょっと動きが変わればフェイスの向きはクルッと変わってしまう。その点ウッドは安定している。

ユーティリティーを使うくらいなら、同じロフトの、ソールのべターッと広いフェアウェイウッドの方が桁違いに打ちやすい。ユーティリティーというのはアイアンと同じように打ち込むことが出来るように、ソールの奥行きを小さくしてあるクラブだ。

アイアンを使う意味がわかっていれば、そして自分の腕力がわかっていれば、日本人ゴルファーにとって最も不似合いな、意味のないクラブだということがわかるだろう。

それならなぜ、地面にヘッドを打ち込む力があればロングアイアンで済むはずのアメリカのプロが、ユーティリティーを使うのか。それは同じロフトであれば、ソールの広いフェアウェイウッドよりも飛距離は落ちるがスピン量をやや多めに取れるからだ。

フェアウェイウッドかユーティリティーかの選択は、その場の状況による。あるいはクラブ本数の制限で、初めからウッドかユーティリティーのいずれかをバッグに入れているので、本当はウッドを使いたいときでもユーティリティーで間に合わすこともある。

どちらにしても十分なパワーがないと打ち込む意味は出てこないわけで、平均的な日本人にそのパワーはない。私は逆風が強いときと、ランが稼げて障害物がないときにロングアイアンを使うが、それ以外はほとんどフェアウェイウッドを使う。

平均的な日本人のパワーで最高のパフォーマンスを望む場合、そのキーになるのはフェアウェイウッドの上手下手である。余程短いコースは別にして、普通の、6400ヤード前後のコースではフェアウェイウッドがうまくなければゴルフにならない。

ユーティリティーの無意味さがハッキリわかるのは、ゴルフ場が正常な長さを持っている場合だ。短いコースでは何でも使えるので、ついユーティリティーという新しい道具を使ってみたくなるのかも知れないが、作戦としては全く意味がない。

仮に、ユーティリティーのヘッドに、車の後ろに付いているようなダウンフォース用のフィン、薄い板状のソールを取り付けたとすると、それは元のユーティリティーよりはるかに打ちやすく、ミスも出なくなる。何のことはない、フェアウェイウッドのことだ。

ユーティリティーというクラブは根本的にパワー仕様のクラブである。パワーがあるゴルファーだけに有意義なクラブだ。そういう本質的な事実を隠して、まるで逆に非力なゴルファーのためにあるように宣伝して売るというのは、やっぱり恩を仇で返しているとしかいいようがない。そのうちに天罰が下るだろう。

女子プロのクラブセッティングは実に理にかなっている。生活がかかっているから当然だが、日本の男性ゴルファーの飛距離が女子プロと同じなら、クラブのセッティングも彼女たちを見習えばいい。男子プロを見習ってどうしようというのか。

ちなみに、非力な人の工夫は、もしもそれを怪力の人が使えば、もっと効果的になる。全てがそうはならないが、いつの時代もスポーツはパワーとテクニックのヴェクトルだから、パワーのある人は非力な人の努力をマネすることで飛躍することが出来る。

それは実に楽な話で、研究はみんな非力な人たちがやってくれる。それを必要に応じて取り入れればいいのだから、パワーの有利はどこまでも続く。ユーティリティーを買うくらいなら、優れた設計のフェアウェイウッドを買うべきだ。

私は女子プロの試合をほとんど見ないから知らないが、女子プロがユーティリティーを使うとは思えない。余程パワーのあるプロが使うならわかるが、普通のプロが使っているとすれば、そんなセンスでは試合には勝てないだろうし、すぐに使わなくなってゴミになるだけだ。 筆者

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