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「前へ習え」のように手首から先が腕と一直線になる形は手首の自然状態ではない。あれは無理をしている。手首の自然状態では腕と手の甲はわずかな角度を持って曲がっている。その角度を保ったままスイングすれば熊手型になる。これが熊手型スイングである。

一方ほうき型は手首を手の平側へ出来るだけ折り曲げ、打つときにその手を蝶番(ちょうつがい)のように回転させパワーを生み出す仕掛けだ。普通に考えるとほうき型の方がボールを強くたたけるような気がするが、必ずしもそうではない。

テニスプレーヤーなら二つのスイングの本質的な違いを理解するのは簡単で、バックハンドのスライスが熊手型、ドライヴがちょうどほうき型になっている。ドライヴは仕掛けが簡単でパワフルだがうまく打てるまでに時間がかかる。

スライスは仕掛けが難しく、身に付くまでに時間が掛かる。それに自分から打っていくにはあまりパワフルではないが、形を覚えてしまうとどんなボールでも楽に正確に打ち返せる。今では当たり前すぎるバックハンドのトップスピンだが、実はたった40年前まで、バックハンドでドライヴを打つプレーヤはいなかった。それだけ難しい。

バックのドライヴを武器に世界一になった最初の選手はロッド・レーヴァーである。彼以降、バックのドライヴは一般化した。ほうき型というのは仕掛けが簡単明瞭な割に使いこなすまで時間のかかるスイングである。ものになる前に人生が終わることも少なくない。

飛ぶ飛ばないの話しに戻ると、それは「手羽先は案外重い」というタイトルになる。手首を逆L字に固定すると頑丈な構造になってインパクトで手首の形は崩れない。つまり手首で力を吸収してしまう心配がない。その代わりにインパクトの衝撃は肩に来る。肩は固定できないからそこで負ける分だけ力は吸収されてしまう。

しかし肩は手首より大型なので、吸収される量は少ない。熊手型の場合腕力があるということの意味は、インパクトの衝撃に負けないので力の吸収量を少なくできるということである。

これをスタティックパワーと言うとすれば、柔らかいほうきで打つ力はダイナミックパワーである。ステッピングモーターは電気が入っているとものすごい制止トルクを持っていて、軸をペンチでつかんで回そうとしてもなかなか回らないが、電気が切れるとフリーになる。

ほうき型はダイナミックパワーを使うので力を入れているのがすぐわかるが、スタティックパワーはどれほどの力で支えているのか、外から見てもわからない。それで多くのゴルファーはごく自然にほうき型を選ぶが、ほうき型は死ぬまでずっと気力勝負であり、気を抜いたらアウトだ。

熊手型はテクニカルで覚えるのに時間がかかるが、出来るようになると気を遣わなくて済むスイングで、人生の平均的スパンを考えると取っつきにくい熊手型の方に利があると、そう言い続けて20年。筆者

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