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アイアンをアドレスするときとウッドをアドレスするときと、同じ方法でアドレスするゴルファーはほとんど存在しない。「ほとんど」と言ったのは、何度か書いたことがあるように、アイアンフェイスの上端のエッジを目標に直角に合わせるゴルファーが存在するからです。



もちろん短いアイアンではやりませんが、2番アイアンや3番アイアンではやる人がいます。ところで、読者はアイアンをどうアドレスしますか。クラブを目標に直角に合わせようとして、飛球線と直角に「合わせる」のはアイアンのどの部分ですか。普通はアイアンのブレイドで合わせるでしょう。

(ブレイドとは、フェイスの一番下、地面に触る部分、あるいはソールとフェイスの交線)



ブレイドのラインはフェイスに刻まれている溝(グルーヴ)と平行です。アイアンヘッドは3角形なので、上部の縁(ふち)のラインとブレイドのラインは平行になりません。ところがウッドはフェイスに刻まれている溝と上部の縁と、そしてフェイスの一番下のラインはみな平行です。



(ウッドの場合、フェイスの一番下の、地面に接する部分をアイアンのようにブレイドと呼びません。ブレイドとは「刃」という意味で、確かにアイアンはブレイドですが、ウッドは「刃」になっていないからです。ここでは面倒なのでウッドの方もブレイドと呼びます)



アイアンは誰でもブレイドとボールを接近させ、そのブレイドを見ながら「直角」、つまり目標にフェイスを向けようとします。しかし、ウッドを構えるとき、アイアンと同じようにウッドのブレイドで合わせますか?そんなゴルファーは一人もいません。なぜならその部分はアイアンほど幅が広くないので、合わせにくいからです。



これはとても重要なことです。そして知らないと恐ろしいことが起こります。アイアンをアドレスするときに、フェイスの上端のエッジを目印にして、それに直角にアドレスするゴルファーがいると言いましたが、ウェッジでは当然そんなことはやりません。全く方向が違ってくるからです。



ところがゴルファーがショートウッドを構えるとき、気付かないまま、似たようなことが起きているのです。ウッドの場合もドライヴァーやスプーンならば誤差は小さいのですが、ショートウッドになると、今話をした特殊なアイアンのアドレス方法で、ウェッジをそれでやってしまったのと同じくらい、無茶なことになっているのです。



だからショートウッドを使うには、自分がどうやってフェイスを目標に向けているのか、アイアンとウッドでどう違った方法を使っているのか、知っていなければならないのです。それでは、ウッドはどこを基準にアドレスしていますか。アイアンと違うことは明白です。さて、あなたはどこでアドレス、方向を決めているでしょう。



一般的には、フェイスの上部、フェイスとヘッドの上部の面が交差するところのラインを見てアドレスを決めています。あるいはフェイスに刻まれた溝のどれかを使って直角を出しているはずです。それって、アイアンの上部のエッジで合わせているのと同じことでしょう。ただ、アイアンとウッドはフェイスの形が違うので、ウッドではそれが可能になっています。



アイアンのブレイドでアドレスを決めるのと、ウッドの上部のラインでアドレスを決めるのと、どこが違ってくるでしょうか。方向は変わりません。そこがアイアンとウッドの違うところです。しかしデプス、深さは変わってきます。



アイアンの場合は方向を決めるのに使ったブレイドの右側にフェイスがあります。そこでボールを打つのです。しかしウッドは逆で、アドレスを決めたラインの左側にフェイスがあります。ボールを打つフェイスが左に出っ張っているのです。この違いがあるために、ウッドは得意なのにアイアンが打てない、アイアンは得意なのになぜかフェアウェイウッドが打てない、そういうことが起こるのかも知れません。



インパクトの位置と、打ち出す方向を決めて構える位置が違っていれば、それはボールを置く位置が不当に、知らぬまま違っているのと同じです。たとえば私が試した実験を紹介します。私の9番ウッドは黒の塗装で、フェイスだけは銀色です。黒いマジックを使ってフェイスを塗りつぶします。



溝が切ってある、その一番下の溝から数えて3本目の溝から上を全部黒く塗りつぶしてみました。そして銀色に光っている部分と黒の部分の境目のラインを使ってアドレスしました。上は黒く塗りつぶしてあるので、境目はよく見えます。ちょっと小さいですが。これって、何が今までと違ってくるか、わかりますか?



ドライヴァーの場合、フェイスとヘッドの上部の境目に出来るラインを使ってアドレスしますが、ロフトが小さいので、上から見ている限り、ブレイドの部分との位置の差はわずかです。ロフトが大きくなるにしたがって、その位置の差は大きくなり、ショートウッドになってくると、3センチも離れて見えるようになります。



ロングアイアンとウェッジでも事情は同じですが、アイアンは常にブレイドで合わせるので、上部がどこにあろうが、関係ありません。ところがウッドはフェイスの上部に見えるラインで合わせる癖がついていて、しかもそのラインはロフトによってブレイドとの位置関係が変化します。



ボールを打つのはフェイスです。アイアンはそのフェイスの下端、つまり先端でアドレスするので、フェイスの位置はロフトに関わらず、常にブレイド、つまりアドレスするために使うラインと位置関係自体は一定で変わりません。ウッドはそれがロフトによって動いていく、変わっていってしまうわけです。




ご存じと思いますが、私のアイアンはスワンネックです。実際に「スワンネック」という名前の「モノ」がないのに、所有権、ドメインネイム、著作権、使用権、何だか知りませんがとにかく売ることを目的に沢山の登録者がいまして、それでやむなくイージー・スワンという仮の名前を付けてR&Aに申請した、リヴァースグースネックのアイアンです。



このアイアンはシャフトの先よりも前、左側にクラブヘッドが出っ張っているのですが、ブレイドの位置とシャフトの位置関係は一定に作ってあります。つまり、出っ張り具合が一定ということです。私はフェアウェイウッドが得意なので、アイアンもウッドと同じ構造にしようと思ってこのイージースワンを作ったのです。



市販の全てのアイアンも同様で、ブレイドとシャフトは同じ位置関係になっています。角度は番手ごとに少しずつ変わりますが。しかしウッドはこの点の考慮がなく、ロフトが変わっても何の思想も無しに、ただ作り上げたヘッドにシャフトを差していきました。



それで、シャフトが刺さっている位置とブレイドとの距離が一定ではありません。ハシゴの一本一本の間隔が同じでないハシゴを、目をつぶって登るような感じでしょうか。使いやすいハシゴでないことは確かです。4番ウッドまでならばさほど問題は起きませんでしたが、ショートウッドになると、にわかにこのずさんなシステムの弱点が露呈したのです。



今気付いたのですが、私が初めて使ったフェアウェイウッドは頂き物のスポルディングのイグゼクティヴで、このフェアウェイウッドにはグースネックのような工夫がしてあって、たぶんアイアンと同じように、シャフトとブレイドとの位置関係を揃えていたのではないかと思います。



皆さんも、自分が使用しているショートウッドとスプーンのヘッドをよく見比べて、ヘッド上部の、いつも目標を合わせるのに使っているラインと、フェイスの先のブレイドとの距離(上から見たときの二本の線の離れ具合)が同じかどうか眺めて見ることをお薦めします。場合によってはそれが原因でうまく打てないのかも知れません。



フェイスの下端のラインと上端のラインの間隔(ヘッドを真上から見た時の間隔)を合わせる簡単な方法はグースネックのような工夫をすることですが、出来ればヘッドの形状を工夫した方がバランスの良いクラブが作れます。



グースネックはインパクトの時の遠心力の方向が不自然になります。普通のクラブではシャフトがインパクトを迎えたときに、遠心力はシャフトに直角の方向に出ます。仮にスイングが、時計の針が回るように素朴ならば、インパクトの時、遠心力は平らな地面に、目標へ向けて矢印を描いたとすれば、まさにその矢印が遠心力の方向です。


ハンドファーストに打つゴルファーならば、矢印はやや下向きに、地面に斜めに刺さるようになるでしょう。グースネックのアイアンを使ったときに感じる微妙な違和感は、ハンドファーストに打っているわけでもないのに、遠心力の矢印が地面へ刺さる方向になっているからです。



ハンドファーストに打たなくてもハンドファーストと同じに打てるところがグースネックの良さでもあるのですが、不自然といえばどこか不自然な感じがあります。金槌はたたく部分が出っ張っていますが、もしもそこが引っ込んでいたら、正確にたたくのには便利かも知れませんが、力の入れ方が難しくなるでしょう。筆者

補 ゴルフパートナーで働く皆様へ

今私が書いてきたような使いやすいショートウッドはクラブメーカーでは作れません。メーカーはトッププロに最高のクラブを供給し、有名プロと同じクラブを使いたいと思うアマチュアゴルファーを相手に商売をするわけで、アマチュアにしか用のないクラブを作るわけにいかないのです。



テニスラケットでも状況は同じです。私は30年前から、いつかそういう方式が壁にぶつかると思っていましたが、テニスラケットの世界ではそれが現実になりつつあるのです。新しく作られるラケットは当然プロ仕様です。実際には重さや硬さなどがかなり違うのですが、傾向としては同じです。



ストローカー全盛の時代が長く続いて、ラケットはどんどん硬くなってきましたが、一般のアマチュアはダブルスの試合なども多く、そうなるとヴォレーを打つ機会の方が多くなります。ヴォレーは柔らかいラケットの方が楽で、硬いと非常に難しくなるのです。ですから生徒に頼まれて新しいラケットを買うと、必ず前のラケットよりも打ちにくい、という現象が起きます。



どんなに探しても前のラケットより硬いラケットしか市場にはありません。生徒達は古くなったラケットを買い換えて、きれいな新しいラケットが欲しいのですが、硬いラケットしかないので、それに慣れるしかないわけです。慣れるのに数ヶ月かかりますが、それでも前のラケットよりは使いにくいのです。



かといって古いラケットはきれいではないので使いたくはないようです。もしもラケットメーカーが新しいデザインで、きれいで、しかもヴォレーの楽な柔らかいラケットを作ってくれれば問題はないのですが、それは出来そうで出来ない相談なわけです。



そのうちに昔の柔らかなラケットを知らない世代になって、ラケットはこんなものだと思ってくれるので、メーカーは助かるのです。そこに私のような者が、古い柔らかいラケットを使わせたりすると、余りにヴォレーがしやすいということに気付いてしまうのです。しかしラケットは売っていませんから、どうにもなりません。



ゴルフクラブもテニスラケットも、メーカーはアマチュアだけのための道具を作ることは出来ません。しかしゴルフパートナーならばどうだろうかと、ふと思いました。クラブメーカーとしての呪縛(じゅばく)というか制限はありません。ゴルファーとのつき合いも豊富です。店舗も全国展開ですから、自社製品を発売しても売り場に困ることはないでしょう。



自社製品といってもクラブメーカーと競合する製品ではありません。ショートウッドはゴルファーの高齢化と共に需要が増え、激戦区になりつつあると思います。私がクラブはウッドだけでいいと思ったのはヨネックスが総ウッド風のクラブセットを作るよりも前のことでした。



ヨネックスの発想は時期が早すぎて失敗しましたが、今は、すでにその時期に入っています。しかしクラブメーカーとしてはどうしても手を出せない分野です。ここに書いたクラブは誰にでも作れます。こまかな工夫が幾つかあるといえばありますが、そんなものを無視しても、このクラブは立派に出来上がります。


大事なのは誰が買うか、何時、どんなところで買うか、でした。ゴルフパートナーはその全てを持っていると思われます。100円クラブがあった頃にはよく利用させていただきましたし、コブラの9番ウッドも、伝家の宝刀のオリマーも、みなゴルフパートナーで手に入れました。



ここで説明したこと、そしてそのクラブは、ゴルフパートナーの利用者がクラブを売りに来たとき、買い換える予定のクラブがないような利用者が、もしかすると買ってくれるかも知れないし、このクラブがゴルフパートナーの店舗にしか無いクラブということで、それまでゴルフパートナーに無縁だったゴルファーが来店する、という意味もあると思うのです。



いかがでしょう、作ってみては。

ゴルフパートナー様










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