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余りにパットが下手な私だから、パットの上手なゴルファーの助言には耳を傾ける。パターの芯で打たないとカップ際でボールが逸(そ)れる、と言われた。なるほど私のパットは典型的で、普通の人が打ったのならば入るはずのパットが、普通の軌道を描いてカップに向かっていっても、最後の最後にフッと曲がって入らない。


そういうことはパターのうまいゴルファーにも時々あることだが、私の場合はそれが時々でなく、必ず起きる。だからみんな私の30センチのパットをとても楽しみにする。普通ではあり得ないことが起こる。そこがいいらしい。パターの芯、テニスラケットで言えばスイートスポットで打てなかったとき、テニスの場合はボールが普通に飛ばない。方向も予定より少しズレる。



テニスでボールを打つ場合、テニスン達はボールを見ている。パットの場合、ゴルファー達は無論ボールを見ているのだが、パターフェイスの向きも慎重に確認している。つまり見ている。ストロークするときはボールを見ると言うよりパターヘッドが正確に動くようにと、ヘッドを見ている。テニスではラケット面を見ないでスイングする。ボールだけ見ている。



テニスボールがラケットのスイートスポットに当たらなかった場合は、狙ったところから幾らかズレるが、そういうことは滅多に起こらない。パットの場合はスイートスポットに当たったのか外れたのか、ほとんどわからない。ワンラウンド平均で、3パットが3分の1以上ある私だが、打った瞬間に打ち損じたと気付くのはワンラウンド平均でも1回しかない。



つまりほとんどは予定通りの方向へ転がり始める。ラインが読めないのと、カーヴの加減がイメージできないから入らないわけで、決して打ち間違えたわけではない。真芯で打てば、ボールの勢いは予定通りになるだろうし、方向も予定通りだが、真芯を外したとしても、私の場合少なくとも方向に関しては予定通りだ。それでも入らない。



真芯で打てと言う、パットの上手なゴルファーが言うには、芯を外した場合、ボールがカップ付近で芝に負けて曲がるという。しかし、それは単にボールの勢いがないだけの話だろう。芯を外してなお、方向に狂いがなければ、芝の向きに負けて入らないだけの話だから、もう少し強く打てばいいことになる。



ところが、パットは方向と強さが同等の権利、意味を持っている。ラインが直線ならそうでもないが、真っ直ぐのラインはない。したがってボールはカーヴする。そうなると強さ次第で入ったりカップをかすめたりする。芯で打つか外れるかが問題になる。外れるなら常に外れればいいので、別に芯で打つ必要はない。


そう考えてくると、スイートスポットの広いパターに価値が出てくる。テニスでは30年前にデカラケが作られ、スイートスポットが格段に広くなった。しかし世界のトップ3の選手達はデカラケを使わなかった。つまりトップ100の中の約80人がデカラケでトーナメントを戦っていたが、トップ10には一人もいなかった。



例外は現在錦織プロのコーチをしているマイケル・チャンただ一人である。私もデカラケを使わなかった。フェイスの小さな昔ながらのラケットの方が強いボールが打てたからだ。スイートスポットが小さくなればなるほど、芯に当たったとき、エネルギーの伝達にロスがない。



パターにパワーは不要だから、スイートスポットの広いパターで打てば、芯を外すことがほとんどなくなるし、力加減は慣れればいいだけで、特別なパワーはいらない。そういうコンセプトで最近のパターは作られている。つまり、芯を外すことがない代わりに芯で打ったときの何とも言えないすてきな感触がない。


たぶん、テニスにデカラケが登場したときと同じで、ランキングのトップ3に入るようなプロ達はスイートスポットの広いパターを嫌うのではないだろうかと、そんな気がする。アマチュアのほとんどが使い、プロの多くが使っていながらトッププロだけが使わないパター、それが芯の小さな、スイートスポットの小さいパターなのである。


だから私は芯のない、広い、つまらないパターを使うべきなのだが、流行のパターは買えないので、作ってみようかと、考え始めた今日この頃。どうせ作るなら市販にない広いスイートスポットを持ったパターを作ろうか。 筆者



テレヴィのトーナメントなどで解説をしているプロ達が、パットに関してよく使う言葉に「転がりがいい」というのがある。彼等はパットのスイングを見ただけで「今日はとてもいい打ち方をしていますね」などと、その日そのプロのパットがいいか悪いかわかるらしい。



どこがどうしていいのか、という解説はないが、結果を見てそう言っているようなインチキではないようだから、きっとスイングのどこかを見てわかるのだろう。芯で打てと言う話を、ゴルフ帰りの車の中で、ずっと考えていた。どんな打ち方をしようが、打たれてしまったボールの科学的ポテンシャルはほとんど速度だけである。



ところがプロの解説者達はボールを打つ強さがいいとは言わない。強めに打っているとも言わない。転がりがいいと言う。打たれたボールがその速度以外に持っている力には回転力もある。ただしそれは打たれてからわずかな距離の間だけの話で、大体パットラインの全長の4分の1までくらいだろうか。



1メートルのパットなら、最初の25センチは回転力が生きている。無論わざと回転力を与えればの話だが。順回転の方が逆回転よりいいだろうと、それは誰でも思うことだ。順回転なら芝生のグレインに負けないし、ボールは思いの外長く転がる。タイヤから煙を出しながらスタートする車と同じことだ。



パットをごく普通に打った場合、ボールは回転しないでズズッと出る。動かない犬を無理矢理引っ張るのに似て、犬の足なら擦(す)れて火傷(やけど)する、かも知れない。ボールも最初はそんな感じで出ていくが、すぐに摩擦の関係で回転し始める。これが自然な回転。



青木プロのパッティングスタイルは有名だが、ああいう風にヘッドのつま先を上げて構えると、ボールのセンター、高さ2センチちょっとのところにパターフェイスが当たるとは限らない。パターのブレードがボールの上半分、北半球のどこかに当たる可能性がある。そうするとボールに順回転が掛かる。



パターのロフトがマイナスでもボールは順回転するが、打ち方を工夫しないとボールを地面方向へ押しつけてしまうから、リバウンドで跳ね返ってパワーをロスする。ヘッドを斜め上に動かしながら打つ必要がある。しかしそれも何だか不自然だ。


プロの言う転がりのいいパッティングとは、たぶん打ち出しの最初のところのパターヘッドの動きを見て、プロが感じ取る何か、なのだろう。それがボールの速度でない以上、やはり順回転の量以外にない。ただプロ自身も、どうやれば必ずそうなるのか、ハッキリしない、微妙なところなのだろう。



だから単に今日の誰それのパットは転がりがいいとしか言えない。わかっていれば、
どういう風に打っているから転がりがいいと、簡単に解説してくれるだろう。

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