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遠心力という単語はたぶん訳語だろうが、わかりにくい訳語だ。読者は角速度1という数字の意味さえ知らないだろう。ゴルファーはドライヴァーを握りしめて、目標へ向かって思い切りボールをたたく。それは間違いだが、遠心力という訳語は誤解の多い訳語である。



テニスのサーヴを教えるときにも、全く同じ話をしなければならない場合が多い。テニスプレーヤーもまた、相手コートを狙ってボールをたたいてしまうのである。しかしプロにそういう感覚はない。遠心力を目一杯使ってボールを打ち、そのボールが飛ぶ方向を練習によって熟知しているだけの話なのだ。(私はテニスのコーチです、念のため)



バックスイングのトップからダウンスイングに掛かった瞬間、もしもヘッドがシャフトから抜けたら、ヘッドはどの方向へ向かって飛んでいくだろう。私は一度ドライヴァーヘッドを飛ばしたことがある。



ボールは真っ直ぐ予定通り飛んだが、ヘッドがどこへ飛んだかというと、目標の左約30度、距離15メートルに落ちていた。それを見て、私は自分のスイングの問題点を考えた。



遠心力とボールが飛ぶ方向とは90度ずれている。円の接線は直径に対して90度。接線の長さは角速度に対応して伸びるが、角速度が1なら長さも1になるだろう。つまり、ゴルファーは目標に向かって思い切りボールを打っていては遠心力を使えないのである。




ケプラーの話で書いたとおり、ゴルファーはクラブヘッドを真っ直ぐボールに向かって投げるのだから、ヘッドはボールの下の地面奥深くへ潜り込んでいく、はずのところを、シャフトがそうはさせじと引っ張るので、やむなくボールをたたいた後フィニッシュへ向かうのである。



ボールはそのスイングの遠心力方向に対して90度左側に、最大パワーで飛び出す。私の折れたドライヴァーヘッドは、本来ならばまずボールのあるところの地面に一瞬激突してから、どこかへ跳ね返って飛んでいくべきだった。シャフトがなければ。



ボールを飛ばしたい方向に思い切り振るのは正しいことではない。セットしたボールと自分の目を結んだ線の、無限に延長されたその先へ向かって思い切り振るのが、遠心力を使ったスイングということである。スイングのレッスンでコーチがよく言うのはそういう意味なのである。



ボールは回転する円周、つまりスイングの接線方向へ飛ぶ。だから、飛ばしたければ目標方向へ打とうとしてはいけない。これが遠心力で打つということだ。ただし、どこに飛ぶかは練習次第で、しかも角速度オメガの自乗の力で引っ張られるから、足腰を十分鍛えなければバランスを崩す。 筆者

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