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再び右足首が突然腫れたが、薬が買えない。歩けない。階段は幼い子供のように一段ずつ両足を乗せて降りる。それでもなぜかクラブは普通に振れる。そういう状況の中、飛ばすスイングの仕掛けが、フッと浮かんできた。それは河野高明プロのスイングに新しい解釈を与えた。



飛ばすスイングの仕掛けは一つしかないし、今では誰もがその仕掛けを知っている。ただ、出来るか出来ないかだけが残る。それでいろいろな人がその仕掛けを実践するためのルートのようなものをいろいろ考え、沢山の方法が紹介されている、だろうと思う。私が昨日から考えているのも、まぁ、そういう登山ルートの一つなのかも知れない。



私自身のスイングは典型的な飛ばないスイングである。最も飛ばないスイングの見本といってもいいだろう。自然にそういうスイングになったので、それは運命ということにしてある。一方でテニスのサーヴは飛ばすスイングを使っている。サーヴは2回打てるから、最初のサーヴは飛ばすスイングが使えるからだろう。サーヴもティーショットも、速度が速い方が有利なのは明らかだが、ゴルフの方がミスしたときのダメージは桁違いだ。



外に出て、ヘッドの付いていないシャフト(70グラムのただの棒)を右手で握り、アイアンマット目がけて思い切り振る。どんなスイングになるか、やってみれば誰でも同じスイングになるのではないか。ゴルフスイングの軌道にはならない。もっとも、右手一本で振るから当然ゴルフスイングとは違うわけだが。



この場合、シャフトはほとんど重さを感じないほど軽いし、面もないから方向を気にしなくて済む。地面にある仮想のボールを目がけ、ただただ思い切りたたこうとだけ考えると、そのスイングはメンコ打法になっていた。シャフトはゴルフスイングのように右へ動いて行かない。ヒジを折り畳みながら真っ直ぐ右肩へ担(かつ)ぐような形になる。



これは不思議な発見だった。控えめに少しだけ腰が回りながら、アドレスの位置からシャフトを真っ直ぐ右肩へ背負(しょ)っていくような格好になった。これって、メンコを地面にたたきつけるのと同じだ。残念なのは、今どき子供の頃にメンコに命を懸けていた人がほとんどいないということと、河野高明プロのスイングに感動した人もいないことだ。



私はゴルフの細かい指導方法をテニスレッスンに応用したテニスコーチだが、テニスにはゴルフにないスイング分析がないではない。たとえばワイパー打法というのがあって、これはすでに固有名詞化しているので、ワイパー打法で、と言えばそれで通じる。8の字打法、というのもある。クラッチ打法、もある。



8の字打法とは、黒板に、横向きに寝かせた8の字を描くようにラケットを振る。普通の書き順で書けばいいのだが、スタート地点は人によって様々ある。8の字の交差点から上に向かってスタートする人が多いが、パワーのない子供がプロの大人相手にラリーするにはもっと前、交差点より左側の下からスタートする。



インパクトは交差点だが、まだ背の低い小さな子供は交差点を過ぎた、やや高いところで打つ。私は河野高明プロのスイングを8の字打法と考えていたが、半分は当たっていると思うが、見方を変えるとメンコ打法でもあることに気付いた。彼のバックスイングを今のゴルファーが見たら仰天する。



河野プロはアドレスで構えたクラブを普通に右方向へ持ち上げていかない。極端に言えば、真っ直ぐ正面へ持ち上げていく。その動作と共に腰が回転するのでシャフトは右方向に動くのは動くが、それは野球のバットを構えている選手の人形を手で右へ回すようなもので、人形の形は変わらない。



地面に向かって何かを思い切りたたきつけようとするとき、その動作は誰でもほぼ同じになると思われる。片手でたたきつける場合にはメンコと同じ動作が最も強くたたきつけられる。ゴルファーだって、それがゴルフではなく、ただ棒を振って、ボールの位置に置いた石ころや壁の一部をたたき壊すだけと考えれば、ゴルフスイングはやらない。ゴルファーはその自然な打法、と言うか、たたき方を思い出せないほど、余りに長く、沢山ゴルフスイングをし過ぎてしまったのだ。



ゴルフスイングを忘れて、もう一度何かをたたく、打つということだけ考えると、両腕は伸びない。腰の動きも思いの外わずかしか動かない。ヒジは必ず両腕とも曲がる。スイングの始めから曲がり始めてもおかしくはない。杉原輝男プロが使っていたスイングも、バックスイングのスタートでクラブが右へ上がっていくと言うよりは前に上がっていた。



杉原プロのスイングが独特なのは、ゴルフを忘れてただ力一杯ボールをたたくために理想的な方法と、ゴルフボールを真っ直ぐ飛ばすために理想的な方法とが、両極端で融合していたからだろう。



ここまでの話は右手、片手でたたく場合だったが、左手一本でたたく場合はゴルフスイングと同じ動きになる。だから左腕を主体にしてスイングするゴルファーは今のまま行くしかないし、それが一番飛ぶスイングになるわけだが、パワーレヴェルはかなり違う。右手メンコ打法の半分も出せない。両腕を使った本来のゴルフスイングで右腕をどこまで使うか、その程度が問題になる。



一方右腕で打つゴルファーはメンコ打法ではなかなかボールに当たらないが、どれだけメンコ打法の要素を取り入れられるか、そこが飛距離に直結する。ただし、いつも言うことだが、飛距離でスコアは良くならない。単にそれでゴルフが楽しくなればいい、という前提での話である。将来プロになりたい子供達は本気でやってもいいが。



ドライヴァーを正面へ上げていったその後の話はまだしていないが、当然切り返しがやってくる。この切り返しが鋭くなるからスピードが出る。その時問題になるのが手首のパワーで、これは人によって様々だ。振り回す棒が、或る重さを越えるとこの打法のイメージが消える。そこがそのゴルファーの手首の限界になる。



野球のスラッガーはバットを立て、バットの先を前に、ホームベースの上に被せるように構えるが、それはメンコ打法と同じことで、そこからどうやってスイングするか、それも手首のパワー次第である。バットを肩に担いで水平に構えるバッターはヒットメーカーで、このスタイルでの長距離ヒッターは大リーガーにしかいない。パワーが違うからだが、メンコ打法もバックスイングからの切り返しに耐えられる手首のパワーの範囲が限界になる。


私自身は軽いクラブを嫌うが、軽いドライヴァーはそういう点で有効なのかも知れない。逆に言えば、軽いドライヴァーを使うなら、普通のゴルフスイングではもったいないと言うべきだろう。私はブルドーザーで高速道路を走るような馬鹿馬鹿しいスイングをするが、その逆のタイプの、馬鹿馬鹿しい話になってしまう。



私は手首が強いが、それを静止力に使う。それを動力に使えばボールは飛ぶだろう。テニスはまず相手コートに入れることから始まるので、自然にそういう感覚がゴルフにも出ているわけだ。練習場で飛ばすことから始めたゴルファーは私の逆になるだろう。もっとも、子供の頃から始めた場合は、初めはやはり飛ばすことに熱中するだろうが、子供には時間があるから、そのうちに正確に打つことを考え始める。



河野高明プロのスイングは自宅にヴィデオが残っていると思うが、ブブックに映像を載せる方法を知らないので、どこかで探してみていただきたい。8の字打法かメンコ打法か、読者にはどう見えるだろうか。 筆者





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