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オーストラリアの小学校、中学や高校でテニスを教えていた頃、所属していたクラブのボスから習ったことがある。日本ではあり得ないレッスンだったので忘れられない。子供達にボールをトスして、子供達がそれを打ち返す。クロスに打ったボールは1点で、逆クロスに打ったボールは3点与えられる。



つまり、引っ掛けボールは点数が低いのだ。なぜかと言うと、クロスに打つのは簡単で、しかも強いボールが飛んでいくが、逆クロス、つまり向かって右の方向へ打つのは難しく、しかもボールは弱くなるので、力のある強いボールを逆クロスに打てることがテニスでは非常に重要なのだということだった。



パターで引っ掛けることはよくあるが、普通はそれをただのミスだとしか思わない。確かにミスなのだが、同じくらい右へ押し出すこともある。ところが引っ掛けの方がミスとしての印象が強い。なぜだろう。テニスの場合、左に引っ掛けたときのボールはネットすれすれに鋭いボールが相手コートに突き刺さるので、テニスが上手になったような錯覚を覚える。



クロスは自然と体を十分回転させた果てに打っていくから、当然打ったボールには力がある。しかし逆クロスは意識的にバックスイングを大きく取らなければ強いボールを打ち込めない。それには早いバックスイングが不可欠である。パターにバックスイングの早い遅いはないが、パットでも引っ掛けボールの方が力がある。だから大きなミスをしたような、そんな気分になる。



ドローボールとフェードボールを比べた場合、ボールをコントロールするにはフェードの方が格段に有利だ。しかし飛んでいるボールは明らかに弱々しい。ドローボールはコントロール出来ないが、飛んでいるボールは強い感じがする。同じ飛距離でも、ドローの方が強いボールのような感じがするのはなぜか。



パターでボールをヒットしたあと、ボールが持っている力が、与えられた初速だけだとすれば、プッシュアウト気味のパットも引っ掛けたパットも、初速が同じなら転がる距離も同じはずだが、実際には同じにならない。引っ掛けたミスパットの方が転がりが大きい。



フェードボールは好きなところへボールを置きにいくには便利だ。地面に落ちてからあまり暴れないですぐとまるからだ。ところがドローボールは落ちてから暴れる。私は前向きパットが最も優れたパットだと、今でも思っているが、前向きパットで打ったボールは言わばフェードボールのように思ったところに転がる割りに、最後の最後でカップに嫌われる。



パットでフェード風の打ち方をすると、引っ掛けたり押し出したりというミスはほとんど出ないが、ボールが弱々しくカップに嫌われる。たぶん、パットにもドローボールがあって、フェードボールよりも強いのではないかと、そういう気がする。だから実は引っ掛けボールがパットのボールとしては最もいいボールで、ただ方向が悪いだけではないかと、この頃考えるようになった。



引っ掛けボールを失敗と思うより、その引っ掛けボールこそが最高の球質のボールで、その球質のボールを思った通りの方向へ打ち出せたら、ボールはカップに嫌われることがない。だから引っ掛けボールの練習をする方が、確率高く真っ直ぐに打ち出せる打ち方の練習をするよりもはるかに価値のあることではないだろうか。



たぶん、そこにはボールの初速以外の要素、トップスピンの掛かり具合がある。それはテニスでクロスに打ったボールが持っている鋭い軌道とボール自体が持つ力強さと共通するものではないだろうか。クロスへ打つと、ボールはネットすれすれに低く飛んで、急激に落ちてコートの中に入る。かなりのスピンが自然に掛かっているのだ。



パットの引っ掛けの練習をしろ、というのは妙な話だが、引っ掛けてしまう角度がたとえば大抵20度だとすれば、いっそカップの右20度を狙って引っ掛ける練習をする方がカップ際に強いボールを打つことが出来る。前向きパットで唯一不可能なのが、引っ掛ける打ち方、そこから生まれる不思議な力を秘めたボールなのだろう。



私はいずれ前向きパットに戻ると思うし、ゴルフの世界は前向きパットの時代に向かっていると思うが、果たして前向きパットで引っ掛けボールと同じ強いボールを打つにはどうすればいいか、それがわかる前に、たぶん私の寿命は尽きるだろう。後は任せる。 筆者

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