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釣りはやらないが、わかりやすい話なので。砂浜からの投げ釣りではどれだけ遠くへエサを、つまりおもりを投げられるかが大事だ。力のある釣り人は硬いシャフトの磯竿を使うだろう。パワーさえあれば、硬いシャフトを十分しならせ、そのしなりの戻りを使って遠くまでおもりを飛ばすことが出来る。



しかし同じ投げ竿を非力な女性が使っても、竿はほとんどしならない。まるでしなりのない棒を振るようなもので、おもりは遠くまで飛んでくれない。それよりは、もう少し柔らかな竿を使い、シャフトのしなりを利用したら、おもりはそれなりにビューンと飛んでいく。そういうことがイメージ出来る。



このイメージのいいところは、ゴルファーが自分のシャフトを選ぶ時の参考として、自分のスイングのイメージと重ねられることだ。ドライヴァーを振ったときに、どれくらいのしなりがあれば自分にピッタリな、最大の飛距離を稼げるスイングが出来るか、何となくイメージが浮かぶ。たぶん、飛距離の約8割はこのイメージで決まるのだろう。



女性が磯竿を振っているのを見たことはないが、竿は軽いほど楽に振れるだろう。ただ、軽くて硬い竿を作るのは簡単でないし、硬すぎればやはり女性は使いこなせない、という感じもわかる。もう一つ問題なのはおもりの重さだ。ゴルフボール一個と同じ重さのおもりを投げるとして、これならあまり硬いシャフトでない、少し柔らかなシャフトの方が良さそうな感じがする。硬いシャフトをパワーでしならせる意味はなさそうだ。



しかしおもりの重さがゴルフボール4個くらいになると、柔らかい竿ではしなり過ぎて、竿を後方へ振ったときに、後ろの砂浜におもりがぶつかりそうだ。そうやって砂浜の投げ竿はちょうどいいものが選ばれていく。女性のパワーを考え、男性のパワーを考え、その範囲でしなりが大きく、それが戻る時の力が最強になる竿を、釣り人一人一人が見つけていく。



無論例外はある。ちょっと工夫すれば、女性のパワーで男性並の遠投をすることはできる。たとえば砂浜に大きな穴を掘る。深さ6メートルくらいで、幅が1メートル。その穴を背にして海を見つめ、竿を思い切り後ろに振ってから投げる。浜辺の投げ釣りはバックスイングが90度ちょっとまで、浜に竿が当たるところまでしか許されない。しかし大きな穴を掘ることで、バックスイングは倍の180度まで回せる。



釣り人に、こんなアホなことを考えるのがいるとは思えないが、理屈は理屈だ。ゴルフ界の飛距離王と言われたジョン・デイリーが女性用の投げ竿風のドライヴァーで300ヤードのビッグドライヴを放ったのも、同じ理屈だった。パワーヒッターが柔らかなシャフトのドライヴァーを使うと左に引っ掛ける、という話は常識だが、それは多数のゴルファーにとっての事実ということで、例外には通用しない。



すべからく、わかりやすい解説や話というのはみな、例外を切り捨ててスッキリした話をするからである。実際には例外も少なくないから、真面目に話をすれば大抵はゴチャゴチャとややこしい話になる。私が柔らかいシャフトを使うとスライスして右へ飛ぶが、非力なわけではない。スイングが普通ではないから、常識が当てはまらない。


前に書いたが、昔代ゼミという予備校が「これで合格間違いなし」というような参考書を出した。100ページに満たない薄い本だったと記憶している。一方で昔の東京の電話帳みたいな、広辞苑並に分厚い参考書を出した予備校もあって、それには「最低これだけは覚えるように」という但し書きがあった。



7人のうち一人が合格すれば予備校の評判が上がる時代だから、代ゼミは賢いわけで、それに比べて本の厚さを見ただけで誰も買う気になれないような、そんな全員合格のための参考書を作るのはアホといえばアホ。ただ、そういう一種の真面目さが全く受けなくなったのが現代の日本である。さみしい時代になってしまった。



さて、ここまでの話は投げ釣りの竿を例にとって、シャフトのしなりを最適にして飛距離を最大にする、という話だった。ところが、浜の投げ釣りと、ゴルフのドライヴァーの間にはちょっとした違いがある。未来のシャフト、というタイトルの意味はここからが始まりなのである。つづく

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