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ゴルフもしないくせに、玄関にはキャディバッグが3つもある。そのうちの二つのバッグから、それぞれ私の長いドライヴァーが突きだしていた。じっと見ているとそれらはルール違反のクラブだった。



その昔、所ジョージさんがルール違反のドライヴァーを制作して話題になったことがある。同じウッドクラブを、私は彼よりずっと前に作っていたのだが、当時、メタルウッドが出てきて、それまでのパーシモンや合板で作られた本当の「ウッド」はゴミ同然になり、いくらでも手に入った。


ベンホーガンのウッドが多かったと思うが、私は毎日毎日そういうウッドヘッドに穴を開け、シャフトを差し込んでいた。小さな卓上ボール盤を買い込んだ。ボール盤の台は水平になっているが、あれはネジをゆるめると右左に倒せるようになっている。


倒した角度が大体わかるメモリも付いている。私のボール盤の台はずいぶんと長い間左30度に固定されていた。この上にウッドのヘッドを乗せ、ど真ん中に穴を開け、シャフトを差し込むわけだ。



この、いわゆるセンターシャフトのウッドを多くに人に使ってもらったが、評判はよくなかった。飛ばないからだった。しかしこのクラブが有効なゴルファーもいた。非力でさほど経験のない女性ゴルファーはボールが真っ直ぐ飛びさえすればゴルフになる。



たとえ飛距離が100ヤードでも、レディースティーから打てば3回でグリーンに届く。普通のクラブは曲がるから150ヤード飛ぶクラブでも3回でグリーンには届かない。これは今でも同じことだし、男性ゴルファーでも事情は全く変わらない。



つまり、シャフトがヘッドの真ん中を貫くクラブが一番曲がらない。L字パターを何本か眺めると、少しずつ違うのに気付く。本来のL字パターはシャフトの後ろ側と言うか、下側と言うか、裏側のラインを真っ直ぐたどればヘッドのかかとに一致する。


ところがかすかに、シャフトの太さの半分程度、ヘッドが後方に突きだしている、尻尾(しっぽ)の付いたL字もある。これが進化である。これはもはやL字と言うよりもピンタイプの普通のパターになったということだ。



なぜが知らないが、パターのルールは甘くて、センターシャフトさえルール違反にならないのに、他のクラブはかかとが出ることをきびしく規制されている。シャフトがくねくねと曲がったパターがあるが、シャフトの真っ直ぐなラインを延長してたどると、パターフェイスのど真ん中を通る。



つまり、疑似センターシャフトのパターなわけだ。なぜわざわざシャフトを曲げてセンターシャフトにしたのか知らないが、まだセンターシャフトがルールに適合しなかった時代だったからかも知れないし、センターシャフトにするとボールが見にくくて売れないからかも知れないし、あるいは、センターシャフトが新しすぎて馴染めないゴルファーに配慮したのかも知れない。



ともかく、センターシャフトがいいというのはパターを作る人たちに共通の認識だったことは確かだ。原始的なL字パターにかかとの出っ張りはない。その代わり、ヘッドの先の方へ行くにしたがって厚みが増す。アイアンのソールを見ればわかるが、同じように先へ行くほど厚みが増している。



パターがアイアンの延長で作られたという点では、同じ構造の方が違和感がない。だから初期のL字は先の方がややふくらんでいる。ニクラウスはそういうパターを使っていたらしい。その後、L字のパターはスッキリとしてきて、ネックからトウまで同じ厚みになっていった。



私のドライヴァーはライ角をフラットにするため「へ」の字のジョイントが付いている。玄関に立っているドライヴァーを見ると、このジョイントのために、シャフトの延長線がヘッドのかかとに真っ直ぐつながらない。パターで言えば尻尾が出ているのだ。つまり、このドライヴァーは飛ばないが曲がらない構造を持っている。



重心距離というのか、それが非常に小さい。さらにシャフトが硬くてねじれがほとんどないので、このドライヴァーは二本の長いパイプで作ったブランコのようだ。ブランコは綱(つな)でぶら下げるのが一番いい。柔軟だから漕ぎやすい。次にチェーンのように短い鉄棒をつなげたものが、やや柔軟で丈夫だからいい。



ゴルフクラブはこういう原理になっている。それで最近のクラブは柔らかくなってきている。しかし、パターに許可したものが、なぜ他のクラブには許されないのか、それがわからない。センターシャフトは飛距離を落とす作用と真っ直ぐ飛ばす作用を持っている。



一方かかとに差し込むシャフトは飛距離を与える。だから飛距離については出来るだけかかとに、もっとかかとに、そんなかかとはないが、シャフトを差せば飛ぶし、トルクの馬鹿でかい柔らかいシャフトを使えば飛ぶ。



飛ばないクラブを作る方を形状で規制して、飛ぶクラブの方はクラブヘッドの物性での規制にとどめている。それは妙だろう。真っ直ぐ飛ぶクラブが怖いのかもしれないが、一般ゴルファーは飛ぶクラブの方を選ぶに決まっているし、たとえ曲がらないクラブといっても、どんな打ち方でも曲がらないわけではないのは飛ぶクラブの場合と同じ理屈だ。


一般のゴルファーは飛ばなくても真っ直ぐ前進すればスコアになる。これは事実だが、スコアよりぶっ飛びの一球を楽しみにゴルフをするのが一般ゴルファーの事実だ。トーナメントプロはどうか。彼等は飛距離を必要としている。



しかし、飛距離の出るクラブを必死に規制するより、飛ばないが曲がりにくいクラブの製造を許可する方がはるかにいい。そうすればマスターズのチャンピオンのスコアを昔のチャンピオンとまともに比較できる。



飛距離の伸びに合わせてコースを長くしていくばかりでは歴史的な比較が出来なくなる。それは歴史の意味をなくすることに等しい。飛ばないが曲がらないクラブをトーナメントプロは使うか、使わないか、それを考えるだけで楽しい。どのプロはどちらを選ぶのか、どちらが勝つだろうか。



これならコースを長くしていく必要はなく、ラフを深く、フェアウェイを狭くするだけで済む。私はかかとに尻尾の生えたクラブがルール上で許可される日は近いと思うが、それはゴルフの先生から仕事を奪うかもしれない。しかし、クラブの業界にとっては、新たな製品を開発して売るチャンスが広がることにもなるだろう。 


この頃のクラブ屋は軽さが限界に来た関係で、いやにシャフトのねじれが大きいものを作るようになっている。月一ゴルファーにとってゴルフはいよいよ難しくなっているわけだ。新しいクラブより、古いクラブの方がスコアはまとまる。まっ、いいか。飛ばすのが楽しみなんだから。筆者













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