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ルールによりセンターシャフトはパター以外では使えないことになっている。なぜか。真っ直ぐ飛び易(やす)いからではないだろう。打ったボールがシャフトに当たるので危険だからだと思われる。パターではその心配がないので許可されているのだが、それならなぜ全てのパターにセンターシャフトが使われないのか、L字パターを使ってがんばる私が言うのも妙な話だが、そこが不思議だ。



ゴルフに限らず、あるいはテニス、もっと言えばスポーツに限らず、何かしら競争があって、競技する人の数が増えて競争が激しくなると、それに使用される道具はある意味で進化し、標準化されていく。ただしその速度は場合によってまちまちである。特に趣味性の高いものは保守的で、進化の速度は鈍い。



昔のパターはアイアンのような形をしている。知らない人はアイアンだと勘違いするだろう。フェイスを正面から見たとき、アイアンと同じように三角形をしている。一組の三角定規の、60度、30度、90度になっている方の定規と同じ形をしている。しかしそれではバランスが悪いということで、パターフェイスは正面から見て左右対称型になっていった。



それでパターフェイスは正面から見て長方形になったのだと思うだろうが、左右対称というのは長方形だけではない。そう、実は一組の三角定規のもう一方の形、45度、45度、90度、の方も直角の頂点を上にすれば左右対称であり、実際そういうパターが作られた。私の3番アイアンのフェイスもそういう形に加工してある。オデッセイというパターのフェイスも長方形というより台形になっている。両端をそのまま上に伸ばせば二等辺三角形になるだろう。



普通の握り方が逆手で握る形になってきたのも進化である。さらに進んで前向きパッティングになるのは目に見えている。同様にパターシャフトもセンターシャフトが主流になっていく。実際今あるようなヘッドの端にシャフトを差す形は昔のアイアンの名残であり、シャフトがヘッドのそばでグニャッと曲がっているパターでは、グリップエンド方向からシャフトをのぞき込むと、シャフトはピッタリとヘッドのセンターを指している。



本当はセンターシャフトにしたいところを、パターがグースネックの場合など、ボールが見にくくなるような感じもあって、それで理論的にはセンターシャフトに、形はオフセンターシャフトに作っている、そういうことだ。しかしグニャッと曲がった部分の挙動は本当のセンターシャフトとは少し違う。フェイスが前に出ているタイプは、だから全てセンターシャフトになり、フェイスが右に引っ込んだグースネック形のパターだけにオフセンターシャフトが残る。



このような進化は、常にどこかが弱い人、非力な人など、身体的能力が劣る人たちが最初に取り入れることになっている。逆手のグリップが女子プロから浸透していったように、センターシャフトもまた女子プロゴルファーから主流になっていくだろう。ショートウッドやユーティリティーもやはり非力な女子プロが真っ先に取り入れ、それを男子プロがマネする形で現在に至っている。



ちなみに、私が初めて持ったウッドのクラブセットはグースネックで、今のユーティリティーと全く同じ形をしていた。特に4番ウッドなどは今ゴルフ場に持っていっても誰も何とも思わないだろう。木製だという点とシャフトがアルミだという点を除けば。これはスポルディングのエグゼクティヴというウッドセットだった。



センターシャフトも進化の一つだが、この進化という言葉には裏がある。理論的により理想的なものを使うということは、みんなが保守的になり、守りに入っていくことでもあるし、平凡化が進む。また天才的な個性を殺すことにもなる。昔は個性的なスイングのプロが多かった。才能が勝敗を決めた。



前にラケットの話をしたことがあるが、世の中のテニスン70パーセント、トップ100プロの90パーセントが使っていたラケットがあったとき、トップ3はそのラケットよりも古いタイプの難しいラケットを使い続け、一度もその進歩したラケットを使わなかった。ゴルフでも事情は同じで、プロゴルファーのトップはリンクスやピンアイが全盛だったときでも、それより古いタイプのアイアンを使っていた。



現代のゴルフクラブはドライヴァーが300グラム、フェアウェイウッドで330グラム、アイアンは350グラム程度だと思うが、プロゴルファーはドライヴァーだけは320くらいのアマチュアと同じものを使うが、それを除けばアイアンは昔と変わらない420グラムくらいの重さのものを使っていると思われる。特別なプロだけがもっと軽いアイアンを使用しているだろう。



重さは安定感を増す。軽ければいいと言うものではない。しかしこれもまた、将来的にはアマチュアのマネ、つまり非力な者達が開拓した道具を、プロが使うようになる。その時プロのスイングは変わる。軽くて不安定な道具をあえて使う理由はアマチュアと同じで、アイアンでも飛距離を伸ばすためであり、4日間トーナメントでの体力を最終日まで消耗させないためである。



重さという、かけがえのないものを捨てるに当たって、プロは軽い道具を正確に振れるような練習を始めるだろう。アマチュアはそうではなかった。軽くないと振れないからやむなく不安定だとわかっている軽い道具を使った。そこが違う。音を遮蔽(しゃへい)するには壁が重たいもので出来ているほどいい。フライホイールと同じで、振り子も重たいほど安定して動く。この「重さ」に勝てる技術、軽い壁でも音を通さない技術、それは簡単ではない。



クラブの重さは、新しい科学技術が発明されない限り、かけがえのないものであり続けるだろう。たかが「重さ」されど「重さ」なのである。たとえば私は飛行機に乗っているときにエンジンの音が気になる。10時間も乗っているとすごく気になる。それを解決するには耳栓ではダメで、エンジン音と逆の波形の音を作って、それをイヤホンを付けて流す。



これはカラオケで使われる手法で、バックのメロディーだけが聞こえて歌声が聞こえないようにするには、歌声の波形を逆転させた信号を入れる。そうすると歌声は相殺されて聞こえなくなる。実際飛行機用にそういう製品があるかどうかは知らないが、作ろうと思えば簡単に作れる。しかし「重さ」に変わるものは作れない。



だからプロゴルファーが何時かアマチュアと同じ重さの道具を使うときには、それに慣れる練習をするしかない。そうするとスイングも変わっていくに違いない。もっともその頃には、アマチュアはもっと先の世界を走っているだろうが。



というわけで、私は皆さんが天才的でなく、グース気味のパターでなければならないということでないならば、センターシャフトのパターをお薦めする。前向きパッティングをお薦めする。そして練習量が少ないならば出来るだけ重いゴルフクラブを使うことをお薦めする。アイアンよりショートウッドをお薦めする。 筆者 







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