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その夜、寝ながら考えていた。ライ角とロフト角には奇妙な相互作用がある。スイングプレーンの傾斜通りに振れば何事もないが、ヘッドのつま先が浮いたり、逆にかかとが浮いた構えで打ったりすると、ロフト角とライ角の意味が逆転することまであり得る。


私が作ったドライヴァーのロフトは45度くらいしかない。一般的な60度とは桁違いにフラットである。このドライヴァーを45度のスイングプレーンで振り回すなら、問題は起きない。しかし仮に極端な場合を考え、パターのようにシャフトを真っ直ぐ垂直に構えて振ったとしよう。サンドウェッジに近い縦振りということだ。



フェイスはどちらを向いているだろう。ライ角45度のクラブを60度の位置までつり下げるように立てて行けば、かかとが浮いた状態になる。ここときフェイスは右を向いていく。ロフトが大きいクラブほど右に向く度合いも大きい。ロフトゼロの、フェイスが垂直に立っているクラブなら、何事も起こらないが、ロフト65度のサンドウェッジだと、ほとんど右40度くらいを向いている。



このまま打てばボールは右に出る、というのが普通だが、ドライヴァーのようにロフトが小さい場合、ライ角との相互作用にもう一つの事情が関係してくる。割り箸の袋を折り曲げたり結んだりして遊ぶことがあるだろう。この袋の端の方を斜めに一回折り曲げるとアイアンのような、ゴルフクラブのようなものが作れる。



折り曲げる角度を45度にすれば、ライ角90度のクラブが出来上がる。ライ角が45度になるように、かなり斜(はす)に折れば、私のドライヴァーと同じクラブが出来る。この二つのクラブを見比べたとき、これを振ったら、どちらのヘッドの方が早くスクエアに戻ってくるか、考えてみていただきたい。



ライ角90度の方は目一杯ねじれを使う。シャフトのトルクの大小によってねじれの戻る時間が変わる。一方ライ角45度の方はヘッドの重みがシャフトをねじる力として働きにくいから、シャフトのトルクに関係なく、すぐにスクエアに戻るだろう。これを重心距離の話とか、シャフトのトルクの話とか言うのだが、そんなことはどうでもいい。



とにかくライ角がフラットなドライヴァーを背が高いゴルファーがいつも通り構えて振れば、ヘッドのかかとはかなり浮いている。たとえシャフトのトルクが大きくて、つまりねじれが大きくても、フェイスがスクエアに戻るのはすごく早くなるだろう。彼が普段使っているドライヴァーのライ角が適正であれば、そしてシャフトのトルクが私のよりも大きければ、私のドライヴァーでボールを打てば、ボールは左に吹っ飛ぶ。



しかもシャフトが柔らかければ、ドライヴァーという、最もロフトの小さいクラブだからロフト角よりもシャフトのしなりが戻り切っているかどうかの方が問題が大きい。戻っていなければフェイスは下向きでボールを打つからボールは上がらない。ロフトはほとんど意味を持たない。



こうして考えてくると、彼の愛用のドライヴァーはライ角が大きく、シャフトのトルクも標準より大きい割には「しなり」がやや小さい硬めのシャフト、ではないか、という結論に至る。ライ角というのはボールを右に飛ばすか左へ飛ばすか、そういう仕事もしている。自分のスイングプレーンに対してフラットなライ角だと左へ、逆にアップライトなライのセッティングだと右に飛ぶ。



もしかして、初心者のスライスの原因は市販のクラブの異常に大きなライ角のせいであって、本人の責任ではなかったのかも知れない。逆に考えれば、初心者には、その身長に対してちょっと不適当なくらいフラットなライ角のクラブを持たせれば、苦しまずにゴルフを始められるのではないだろうか。



どうせスイングが良くなれば、ボールはだんだんと真っ直ぐに、そしてついにはホックし出す。これはゴルフ200年の歴史的伝統なのだから。子供や孫にゴルフを始めさせようと思うとき、そういうフラットなライ角のクラブを与えてやれば、先生要らず、コーチ要らずでいきなり楽しくラウンドできます。と、思います。 筆者

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