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シャフトの長いクラブが苦手なゴルファーは少なくない。しかしそういうゴルファーも一番シャフトの長いドライヴァーは打てる。ティーアップできるからだと思っているだろうが、必ずしもそうではない。パー3はティーアップして打てるから簡単だとは思っていないだろう。


実際ティーアップしてあるボールをバッフィーやショートアイアンで打つのは非常に難しい。天ぷらしたり、それを恐れてダフッたりすることが結構多く、難しいショットである。シャフトが長くなる分扱いが難しくなるのは当たり前だと考えているゴルファーもいるだろうが、それも間違っている。

シャフトが長くなるほどインパクトでクラブフェイスをスクエアに戻すのが難しくなる。なぜか? クラブの根元、すなわちネック側からインパクトへ向かおうと考えるからだ。それは誰も同じだと思うだろうが、違う。日本人だけの考え方なのだ。


クラブフェイスがスクエアになるということは、フェイスの先端、トウの部分とネック、つまりヒールの部分を結んだ線が目標を向くということだ。ところが、日本人ゴルファーはシャフトとその延長線の終点、ヒールを基準にスイングをする。だからトウが遅れる。無理をして合わせようとしてミスをする。


ほとんどの日本人ゴルファーはスイングの基準点をシャフトの先の先、つまりヘッドのヒール、かかとの部分に置いてスイングする。シャフトからヘッドのかかとまでは一直線であり、この部分を正確に動かそうとする。


この一直線の棒の先に付いているヘッドやクラブフェイスは開いたり閉じたり、変化が激しい。ボールを打つのは確かにフェイスの真ん中だが、そんな動きの激しいところを基準にスイングするわけには行かない。


そこでゴルファーはヘッドのソールの一番かかと寄り、シャフトの延長上にあるヒールの部分に印を付け、スイング中にその点がスイングプレーンから脱線しないようにスイングする。フェイスの向きがダウンスイングでだんだんと閉じてくるのを感じながら、インパクトで合わせる。これが日本のゴルファーが持っているスイングのイメージである。


フェイスの真ん中とボールの真ん中がぶつかればいい。しかしフェイスの中心に印を付けてもそれはスイングプレーンの中で暴れ回るのでイメージが出て来ない。それでジャストミートするための手段として、クラブヘッドのヒール部分、あるいはそこを含むシャフト全体をスイングのガイドとして使い、正確なスイングを作る。


気付かないが、誰もがそうやってボールを打っている。ボールに対してクラブを構えるとき、ヘッドの先端を気にして見つめながらアドレスするゴルファーはいない。ゴルファーはみな、まずシャフトの延長線上にあるヒール部分を見ながらボールに対してフェイスをセットするのである。


別の言い方をすれば、スイングプレーンにシャフト全体と、ヒールに付けた目印がピタッと貼り付いて乗っている。そこからヘッド、フェイスがプレーンの上側に飛び出しているわけだ。そしてスイング自体はプレーン上で行われ、クラブフェイスはスイングにともなってグラグラと動く。


その動きがインパクトでちょうどうまく、フェイスが目標を向くように、あるいはドローやスライスを意識的に打つ場合は、そうなる向きにフェイスが向くように、練習する。動かしているのは、あるいは意識しているのはシャフトとその先端の、クラブヘッドのヒールに付けた目印だけで、それがプレーン上を正確に動けば、プレーンの上に乗っているボールはフェイスの真芯で打てると、そう考えてスイングしている。


上手なゴルファーはアイアンのフェイスを「差し込む」という表現をする。前に書いたが、刺身を切るには包丁を向こうから手前に引いて切る。向こうへ押しながら切るのではない。日本のノコギリもやはり引いて切るように刃が付いているが、金鋸(かなのこ)の刃は日本とは逆の、押して切るように付いている。


力が入りやすいのは押して切る方かも知れないが、正確に切るには引く方がいい。日本人ゴルファーはそういう文化の中でゴルフスイングも作り上げてきた。繰り返すが、クラブヘッド、したがってクラブフェイスはスイングプレーンの上側に乗っている。それはスイング中にペタッとプレーンに張り付いて寝ころんだ格好になるが、インパクトでは起きあがってくる。


クラブフェイスは開いている状態でインパクトに近づいてくる。つまり寝ている状態である。「差し込む」という表現の中にそれが見て取れる。差し込んだ瞬間、フェイスが真っ直ぐ立って目標を向くようにする。こういうイメージはクラブフェイスのヒールにスイングの基準を置くからこそ生まれるものだ。


世の中に「スライスの直し方」というセリフはゴマンとある。しかし西洋、特に身長の高い民族の多い世界ではほとんど聞かない。日本人はそれを知らない。たかがライ角されどライ角と書き続けて来たのは、ライ角の不自然さが日本人ゴルファーのスライス苦の原因の第一だからだが、原因は日本的文化にもある。外国ではドロー、引っ掛けの直し方の話の方が多い。それはなぜか。


開いた状態でインパクトに近づいていくフェイス、という考え方を捨てればどうなるか。クラブを構えたとき、ヘッドの先端、トウの部分、アイアンで言えばブレードの先端がインパクトで構えたところに戻ればいい、と考えたらどうだろう。こういうイメージのスイングでは、アドレスはヘッドの先から始まる。かかとからではない。


まずボールに対してフェイスの先端で位置関係を決める。皆さんとは逆だ。ヒールやシャフトの先の方からボールに対してアドレスを決めていくのではない。そしてバックスイングからダウンスイング、インパクトまで、意識はトウに集中させ、他のことは考えない。トウさえアドレスのときの位置にキッチリと戻れば、ボールはスライスしない。


ドローの心配をしなければならなくなる日が何時かはやってくるが、それまではフェアウェイウッドもロングアイアンもミスなく打てる。何しろフェイスが開いたままボールをヒットする理由がない。


クラブヘッドの先端、あるいはアイアンのブレードの先端(トウ)にスイングの基準を取るというのはそういうことなのだ。シャフトの先、ヒールなどには目もくれずにアドレスをヒールからセットせず、トウからセットする。日本人の知らないスイングのイメージがそこにある。


もしもアイアンのヒール部分の代わりにトウの部分にスイングの目印、ガイドを設けたら、その目印をスイングプレーン上で正確に動かすと、クラブシャフトはプレーンの下側にあることになるし、ボールもプレーンの裏側というか、下に張り付いているイメージになる。スライスが打てる状況ではない。


神経をクラブヘッドの先端、トウの部分に神経を集中すると、そのスイングからスライスは出ない。やってみればわかるが、今までよりもコックするタイミングが遅くなる。ノーコックではないが、自然にコックする位置がずれて、今までよりも真っ直ぐ引く時間が長くなる。


また、今までよりもハンドアップして構えるようになる。目印が不安定に動き回るフェイス上にあるため、バックスイングの途中からは正確なトレースが難しくなるが、トウを基準に、そこを正確に動かそうとバックスイングし、ダウンスイングする。

と、アラ不思議、ボールはスライスするどころか左に吹っ飛ぶ可能性が高い。ヒールから差し込むイメージはそこにはなく、フェイスの向きを考えるのでもなく、ただブレードの先端に付けた目印をしっかりとインパクトで元の場所に戻そうとするだけだ。


試しにクラブヘッドの先端だけ見つめてフェイスをセットして打ってみていただきたい。すぐには出来ないと思うが、何度かやっているとフェイスの先端だけに神経を集中してもスイング出来るようになる。

私が日本人のゴルフスイングのイメージが日本の文化から来ていることに気付いたのは40年も前のことである。それを実際に確かめられたのは37年ほど前だった。


あるときレイモンド・フロイドというゴルファーのスイングを見ていたら、このプロゴルファーは「差し込み」をしていないことに気付いた。その逆に、ヘッドの先の方から突っ込んでいく、非常に奇妙なスイングだった。しかし彼は強かった。何勝したか知らないが、ニクラウスよりもパーマーよりも、私にとってすごいゴルファーだった。 

スライスを直すにしても、シャフトの長いクラブでの大きなミスヒットを無くすにしても、今書いたようなイメージ、シャフトがスイングプレーンに乗っているのではなく、クラブヘッドの先端に目印を付けて、その目印がプレーンに乗っている、というイメージでスイング出来れば、問題は解決する。ボールはヒールの先にあるのではなく、クラブフェイスのトウの手前にあると考えてみたらいい。筆者

このタイトルは「倉庫」にある「クラブヘッドのどの部分を正確に動かそうとしてクラブを振っているのですか?」というタイトルのダイジェスト版です。


参考

実際のシャフトを忘れ、グリップエンドとヘッドの先端、ソール、あるいはブレードの先端とを結んだ仮想のシャフトをイメージし、その仮想シャフトを振るイメージが出来れば、長いクラブはミス無しに打てます。ただ、この打法はミスしない代わり、方向にあまり神経質にはなれません。方向にはアバウトなナイスショットが打てます。

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