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さすがに霞ヶ関のメンバー達だと思った。女性会員を受け入れるかどうか、決断そのものはどうでもいいが、外からの圧力でなしに、将来的なクラブ運営の円滑さを考えての決断、というのがいい。


当初、何でオリンピックのゴルフ競技を霞ヶ関でやらなければならないのか、の方がよほど怪しい話だと私は思ったし、そうなれば当然女性会員不可が問題になるのはわかり切っている。それでもこの話を一応受け入れたのはオリンピックというイヴェントの持つ意義の大きさだったのだろう。


テレヴィのニュースでは、霞ヶ関カンツリーがIOCの力に屈したかのような言い回しが目立つが、それは日本人感覚が色濃く反映した勘違いである。ゴルフはイギリス、あるいはアメリカから輸入されたスポーツであり、その最初期に作られた霞ヶ関カンツリーや東京ゴルフクラブなどは単に外国の流儀に沿って女性会員の受け入れをしなかった。


今回、IOCが求めた「男女平等」というのは、日本人の感覚で言うところの「男女平等」とはひと味違うのだが、それは日本人にはわからない感覚だ。イスラムを含むアジアには「男尊女卑」という思想がある。日本にもまだいくらか残っているが、霞ヶ関の女性会員不可はそういう意味の男女不平等ではない。


韓国ドラマが日本人女性に爆発的人気を博したとき、私は文化というものの皮肉を感じた。以前、オーストラリアの大学講師が会議で韓国に行ったとき、韓国の大学教授達との会議で、お茶くみをしろと言われ、激怒した。この人は女性である。それまで女性がそういう扱いをされる世界を一度も経験していなかったので、彼女はもう二度と韓国へは行かないと言った。


しかし彼女は日本へはたびたびやって来て、確か富士宮あたりの学校で教鞭を執っていた経験がある。だから韓国も日本と同じだと思っていたらしい。それほどに、韓国の男尊女卑の感覚は日本に比べて非常に強く残っている。それこそが、韓流ブームの源流になっている。


日本女性は韓国ドラマの魅力が、男尊女卑をベースにしていることに気づかない。つまり、自分たちは男女平等になりつつある日本に暮らしていることを喜んでいながら、韓国ドラマに魅入られて、韓国語まで学ぶほど熱中する。その矛盾に気づかない。韓流ドラマの魅力は、極論すれば今の日本にない、男尊女卑の文化そのものなのだ。


霞ヶ関の女性会員不可、というのは、決して男尊女卑の文化から出ているわけではない。たとえば、お茶の水女子大に男子高校生が受験しようとしたら、どうなるだろうか。それは拒否されるだろうが、お茶の水女子大が非難されるとは思えない。それよりも女子大に入ろうと思った男子生徒の方に、人々の興味が集まるだろう。


小学校の5年生くらいから、女子生徒達は下校途中の交差点で井戸端会議を始める。私が車で通りかかって、彼女たちに気づき、それから30分、時には1時間たって戻って再びその交差点を通りかかっても、彼女たちはまだ井戸端会議を続けている。それは女子の特権のようで、男子生徒が混ざっていることはあり得ない。


女の井戸端会議の逆の、男だけが集まっておしゃべりをするというような、女子のいない世界というのは、普通にはない。オーストラリア、ブリズバンにはソーシャルクラブというのがある。ブリスベンクラブとか、私の行くタタソールクラブとか、そういうクラブは女人禁制だったが、それはアジア文化の男尊女卑とは縁もゆかりもない。


そこへ女性がメンバーになりたいと裁判を起こせば、当然裁判では女性が勝つのだろうが、誰もそういう裁判は起こさない。必要を感じないからだ。女性は女性で、男性がクラブに行っている間、女達はおいしいものを食べながら井戸端会議をするのである。


IOCの言う男女平等もそういう感覚であって、アジアの悪しき伝統的文化としての男尊女卑を非難する意志はない。日本人だけがそう思うのである。元々アジアの男尊女卑は女性を守ろうという精神から生まれたものだが、ヨーロッパの女性は元々男性より強かったか、同じくらい強かったので、男性が守る必要はなかった。


良識が50年たって腐ると常識になる。腐らずに発酵しておいしくなる場合もあるが、大抵常識というのは腐ったゴミである。元々女性を守るために生まれた文化が、腐って男尊女卑の文化に変質したわけで、今のイスラム文化は典型的である。親しく接していると彼らがいかに女性を大事にしているかがわかる一方、男尊女卑的な景色に見えることもある。


霞ヶ関カンツリーの決断は穏当である。開催を拒否することも出来ただろうが、それはしなかった。IOCに屈したわけではなく、元々女性会員を受け入れない事情が男尊女卑とは無縁である、という認識がメンバー全ての心にあった、ということだろう。そこが素晴らしい。 筆者

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