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プロは苦手な部分を克服しようと練習する。クラブの番手だったり、ショットの種類だったり、あるいはパットや、ドライヴァー以外でティーアップする時のティーショットだったりする。毎日何百球もボールを打つ。ここまでの話ならば、アマチュアだって全く同じだと思うだろうが、プロは元々のスコアが違う。


トーナメントプロが友達と遊びでプレーしたら、レギュラーティーからだから悪くても70では上がってくる。シードのないプロで76,レッスンプロでも81は打たないと思う。このスコアは、ハンディがプラス2のアマチュアが、やはりレギュラーティーからプレーして出すスコアである。


しかしこのハンディがプラスの、ゴルフが非常に上手なアマチュアは毎日何百球もボールを打つわけではない。素振りは欠かさないと思うが、毎日ボールを打つことはないだろう。アヴェレイジゴルファーがプロのように毎日練習場でボールを打ってもスコアは良くならない。なぜか。


プロは練習によって苦手な部分、つまり不自由を克服しようとする。ところがアヴェレイジゴルファーのレヴェルでは、そもそも不自由が多過ぎて克服するのは時間的に考えてほぼ不可能である。だから幾らそういう練習をしてもあるレヴェルから先に行けない。


アマチュアの練習は不自由を克服して完璧な状態に持っていくことではなく、不自由とうまくつきあう方法を身につけることである。練習場でボールを打って自信を持つことは、3年先のワンショットのための練習にはなるだろうが、次の日のラウンドについては逆効果にしかならない。


視力に異常が発生して歩くのもままならない、と絶望感を抱いていた人が、何年かすると安全に車を運転できるようになる。それは視力が回復したからではなく、自分の持っている視力に慣れたからに他ならない。不自由はそのまま残っている。それでも良くなったのは事実だ。これは時間が解決したのだが、練習が解決したと言えなくもない。


不自由を克服する、というのにはこのように二つの道があり、方法があり、意味がある。アマチュアもプロも「こういうショットが打てるようになりたい」と思って練習する。プロならば練習でそうなれるかも知れないが、それは元々の才能があるからで、才能がなければ出来ないことは永久に出来ない。


あるいはたとえそれが出来るようになったとしても、人生の時間的制約や、ゴルフプレーが出来る体力的制約を考えたとき、アマチュアにとってそれは大抵合理的な練習ではない。同じ時間にもっとスコアが良くなる練習が幾らでもある。


上級になれる、あるいはなったアマチュアは「こういうショットが打てるようになりたい」と思って練習する時代が過ぎたと感じたとき、「こういうショットが打てるようになる」練習から「似たような結果が得られる、もっと簡単な別のショット」を考え出して、練習を始める。


体調が良くないとか、体が重いとか、少し熱っぽいとか、または手首が痛いというように、ラウンドするその日に不自由はいつでもどこにでも必ずある。不自由なしでトーナメントに臨むのがプロであり、不自由の中でスコアをまとめるのが上手なアマチュアである。


私はよくいろいろなものを作る。修理する。同じ修理をプロに頼んでもプロはやらない。プロが利益を考えてやらない場合もあるが、プロには出来ない場合の方が多い。そういうことがこの頃とても多くなってきた。アマチュアは同じ部品がなくても他の部品で代用するが、プロにその知識がないことも少なくなくなった。


プロには発想もなくなっている。アマチュアには何か使えるものはないか、代用できるものはないか、考えつく豊富な知識と経験があるが、プロにはない。道具と部品がきっちりと揃っていないと何も出来ないプロが増えた。アメリカのプロゴルファーみたいだ。だからアメリカのプロが勝てなくなった。


あれほどほとんどのトーナメントで勝利していたアメリカのプロ達が、何時の頃からかヨーロッパのプロに優勝を持って行かれるシーンが増えた。あり合わせの、今ある材料だけでおいしい料理を作れる人が少なくなったのは、レトルトと冷凍食品のお陰である。アメリカのお陰でもある。同じことなのだろう。


技術が専門分野に細分化され、それぞれの分野の奥が深くなって、隣の部屋でやっている研究の意味さえわからない、という学者が増える。そういう意味ではまさにプロの時代、プロの世界ではあるが、一方でアマチュアの方が豊富な経験と知識を持っていて、プロがそれを見習う時代が近くなっているのもまた事実だ。


例えをあげようか。5番アイアンが打てないと嘆くアマチュアが、毎日毎日練習場で5番アイアンを打つ。彼はたぶん、プロのように高い弾道で170ヤードをピタリと止まるボールを打ちたいのだろうが、実際には低い弾道で150ヤードしか打てない。プロは8番で170ヤードを軽々打つのに。


ところが、目の前の木が邪魔をしているライから150ヤード先のグリーンを狙う場合、アマチュアはいつも通り5番アイアンで普通に打てるが、プロは9番のフルショットでは木に当たる。やむなく9番を伏せて構えて低いボールをコントロールするか、5番で転がすか、しかない。こういう状況はしかし、あまりお目にかからない。


アメリカのコースは空中障害が少ない。障害物は地面の上と左右のラフしかない。しかしアメリカのコースもだんだんと古くなってきて、開業当時に植えた木が大きく育ってきたので、状況が変わった。日本のコースは古いコースを除けば、逆に木を伐採して造ってきたわけだから、空中障害を残せばいいだけの話だから簡単だったはずなのに、日本のコース設計家の誰もそれに気付かなかった。


アマチュアが最初にショートウッドを使い始めた。高い弾道で距離も出せる。それをプロがマネし始めた。アマチュアは常に考えるから柔軟な頭を維持している。プロはどんどん頭が固くなる。


時々思うのだが、アヴェレイジゴルファーと同じ飛距離しか出ないクラブセットを特注で作ってもらい、プロにそれを持たせてラウンドしたら、アヴェレイジゴルファーとプロゴルファー、どちらが勝つだろうか。まず間違いなくプロが勝つ。


しかしハンディが6程度の上手なアマチュアが、そのアマチュアの飛距離と同じ飛距離しか出ないクラブセットを持ったプロと戦ったら、この場合はアマチュアが勝つような気がする。ここに上手なアマチュアと普通のアマチュアの差が出てくる。果たしてなぜ、私がそう思うのだろうか。 筆者

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